慶應義塾體育會の中でも、特に長い伝統と輝かしい実績を誇るのが、野球部と蹴球部。100年以上の歴史を刻み、日本のスポーツ界に幾多の伝説を残してきた両部活を今季率いるのが、
野球部主将・外丸東眞(環4・前橋育英)と、蹴球部主将・今野椋平(環4・桐蔭学園)だ。
互いに100名を超える部員を束ねる主将、そして日本代表として日の丸を背負った経験を持つ選手として、二人は春シーズン、多くの葛藤と挑戦を経験した。しかしそんな彼ら、実は〇〇で親交の深い“仲良しコンビ”でもある。
そんな2人の対談が実現!プライベートのエピソードから、主将としての覚悟、そして「日本一」への思いまで。
今回はその後編をお届けします!慶應義塾體育會ファン必見のスペシャル対談を、ぜひ最後までご覧ください!
ーー代々の主将から受け継いだカラーや、その上で自分なりに新たに加えた点は
今野:僕たちは伝統みたいな感じで、ディフェンスが強いので、 低く、泥臭く、楽しいプレーをすることは変えてはいけないと思いますし、多分ひとつ共通認識としてあって。 代々結構主将の色は違って、去年の人と比べると結構トップダウンというか、上からビシッと言ってチームを引っ張っていくみたいな人が多かった印象なんですけど。自分が(主将に)選出してもらった理由として、結構いろんな選手とコミュニケーション取ってたり、昔から試合に出させてもらっていることを評価してもらっていて。トップダウンというよりは、結構1年生もちょっとずつ試合で関わりそうな人とか積極的にコミュニケーションを取ったり、色々な人と喋りながらみんなで頑張ろうっていう感じの自分のスタイルを変える必要はないと思っているので。必ずしもトップダウンで頑張ろうっていうのは、そういう時もあると思うんですけど、自分の強みというか、皆で頑張ったところを出しつつ頑張ればいいかなと思います。
外丸:俺は1年生の時、 2年生の時、3年生の時で主将を下山(悠介、現・東芝)さん、廣瀬(隆太、現・福岡ソフトバンクホークス)さん、本間(颯太朗、現・Panasonic)さん、それぞれ違ったキャプテンだと思うんだけど。そういうのを見てきて、自分は「ザ・キャプテン」を追い求めるよりは、「自分だけのキャプテン」というか、あんまりこう追いかけすぎず、自分らしく。一番は自分が試合に出て、プレーで引っ張るっていうところが一番いいなと思ってやってます。

外丸らしくチームを牽引する
ーーそれぞれの部、今年のチームの特徴は
外丸:まず人数が多い。人数は多いけど、先輩後輩関係なく仲良くてという感じ。 プレーは4年生の出場者は少ないけど、下級生の力が支えになっている。 勢いがあって、 試合だけじゃなくて、普段から雰囲気よく、楽しくやってるっていう感じです。
今野:オフグラウンドでは下級生、上級生関係なく仲いいのでめちゃくちゃ壁があって厳しいとかはないです。グラウンド上では僕らも結構、フォワードもバックスも強力で。バックスっていうポジションでは結構 4年生がいて、ずっと1年生ぐらいから結構出ている人が多いです。反対にフォワードの方は 4年生で出ている人が少なくて、そこに1年生とか2年生も結構入ってきて。自分的にはさっきも言ったんですけど、下級生にもノビノビとやってもらいたいので、主将だから強く言わなきゃいけないところもあるんですけど、1年生にはあんまり言わず、ノビノビと頑張ってほしいなと思います。
ーー春のリーグ戦を通して 就任当初の自分と今の自分で主将としての考え方で変化した部分は
外丸:理想としては、自分がチームを勝利に導くピッチングをすること。その中でうまくいかないことももちろんあって。その時に、ブレない・弱さを見せない・常に先を見続けるという姿勢がより必要だと気づきました。
今野:僕も同じこと思ってました(笑)。
自分的には、グラウンドに立ち続けなければいけないなと思いつつも、怪我で春シーズンも中々試合に出られなくて。一緒にプレーする中で気づいたことを見つけて伝えるのが自分のスタイルだったのに、実際は外から見てアドバイスして、背中で魅せるみたいなことはできなかった。理想としては、1試合1試合重ねて自分もチームも一緒に成長することだったのにそれができなかった。でもそんな時に、もう一回ブレずに自信を持って前に立たなければいけないというのを春シーズンを通して思い知らされました。
春シーズンうまくいかなかった結果が多くて、その中で「自分が出てたらこうできたのに」というようなことは置いておいて、「チームの今」を常に考えなければならない。でも、ブレてしまって自信を持って全員の前で話すことはできていなかったかもしれないと振り返って思います。全員の投票で選んでもらったという信頼もあると思うので、もう一回自信を持ってブレずに自分自身が目標に向かっていかないと強くなれないと実感しました。

春季を振り返る今野
ーー主将になって、自分自身が一番成長したと思う部分は
今野:人前で話す機会が多くなったので、その点「どういうことを頭で考えたら、みんながもっとまとまるのか」とかを考えるのは、就任当初よりはうまく変わっていっていると思います。
150人くらいの人数の先頭に立って引っ張っていくのって、将来あるかないかくらいのことで、全員が経験できるわけじゃない。そういう立場として、思い切って行動したり、新しい取り組みを始めたりするときに「あの時ああしてればよかった」と後悔したことも既にあったので、ちょっとした勇気・自信を持つことの重要さに気づけたことも成長かなと思います。
外丸:今までは自分中心になりがちなところもあったけど、主将になって自分だけじゃなくてチームのことを考える時間が増えたこと、これが1番成長したところです。
ーー「この部分は自分の競技にも活かせそう」と感じた点はあるか
今野:(外丸の)周りの影響を受けないところ、独特なスタイルやリズム感はスポーツにおいて重要だと思ってて。この良い意味での図太さは、俺に欠けてる部分かなと思います。
外丸:俺はその逆じゃない?(笑)
今野:(外丸は)人前に立って喋ったり、自分の伝えたいことがうまく伝わりきらないような部分がたまにあるので、そこは俺を見習ってほしいです(笑)。

補完し合う二人
ーー主将から見た今年のチームの強み
今野:メンバーに結構全学年混ざっていて、1年生のフレッシュ感から4年生の経験豊富さのある人まで色々な人がいるので、お互いが刺激しあっているのは強みの1つかな。あと、いい意味で波がある。波に乗ったらすごい元気よく良い雰囲気で強くなれるのも強みです。
外丸:ちょっと被る部分もあるけど、勢いがあるところ。ここぞという時の結束力は強みかなと思います。
ーー野球部/蹴球部にここは負けない!というところ
今野:圧倒的にフィジカルの部分(笑)。あと体重とか。
外丸:蹴球部に負けないところ、なんだろう…
今野:怪我の数とか?
外丸:うーん。練習時間は野球部が長いかも。
今野:でも活動自体の長さで言ったら負けない(笑)。あと飯食う量も、かな。
外丸:ランニングの量は多い!いや、ラグビーもか(笑)。

終始笑顔が絶えない外丸
ーーそれぞれの部活の注目選手を教えてください
外丸:副将の今泉将(商4・慶應)で。僕はピッチャーなので、副将として今泉が野手陣をまとめてくれている。4年生で試合に出ている選手が少ない中で、副将の彼に注目です。
今野:(熟考の末、)石垣慎之介(政4・慶應志木)で。ラグビーを知らない人とか(この対談をご覧になっている)普段野球を見ているような人が見ても、「こいつすごいな」と言わせるプレーを一番しそうなのが石垣かなと思って。ランが特徴的なんですけど、慶應の得点力が課題とされる中で最後トライを決めきってくれる選手としていてくれていて、とてもありがたいです。
ーー最終学年として秋冬へ向けた意気込み、目標をお願いします!
外丸:「リーグ戦優勝・日本一」という目標は変わらない。ラストシーズン、このチームで優勝したい。もちろん、他大学もそういう思いを持って挑んでいるとは思うんですけど、慶應はそこを上回る。どこにも負けない強い思いを持っているという自負があるので、勝利の塾歌を歌いたいです。
今野:僕らも「口だけの代だ」とか言われたくないので、この夏どれだけ成長できるかが大事。伸び代はすごいあるチームだと思うので、自分が先頭に立って自信を持って引っ張っていく。秋初戦の青山学院大戦(春は敗戦した相手)、すごく大事な一戦になるので、勝ってうまく波に乗れるか。そのために常に「日本一」という目標を見据えて夏合宿できつい練習を乗り越えます。

チームを鼓舞する今野
冗談を言い合いながら終始和やかな雰囲気で、笑顔が光るこの二人。それぞれの場所でチームを牽引し、夏合宿を経て「日本一」を目指して彼ららしく走り出している。

ピッチャーのポーズをとってくれました!
(取材:加藤由衣、工藤佑太、島森沙奈美)