【野球】渡辺和の好投に打線が応えられず カード初戦を落とす/東京六大学野球秋季リーグ戦 明大1回戦 @明治神宮野球場

野球戦評

2025年9月27日(土) 東京六大学野球秋季リーグ戦 明大1回戦 @明治神宮野球場

明大から23年秋以来9試合ぶりの勝利を目指し臨んだカード初戦。慶大は3回に1点を先制されるも、5回に常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)が右前適時打を放ち1対1の同点とする。力投を見せていた先発・渡辺和大(商3・高松商業)だったが、7回に本塁打を浴び1点を勝ち越され、続く8回には2番手の小川琳太郎(経4・小松)が二者連続本塁打を許し1対4とリードを広げられる。打線は反撃することができず、悔しい敗戦となった。

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明大0010001204
慶大0000100001

慶大バッテリー:●渡辺和、小川琳、水野ー吉開

明大バッテリー:◯毛利、菱川、大川ー小島

慶大本塁打:なし

明大本塁打:瀨1号ソロ(渡辺和)、榊原1号ソロ(小川琳)、小島1号ソロ(小川琳)

◆慶大野手成績

位置選手1回2回3回4回5回6回7回8回9回
[8]今津慶介(総3・旭川東)右安捕犠野投ゴロ二ゴロ
[9]村岡龍(商3・慶應)空三振三安四球空三振
1小川琳太郎(経4・小松)
1水野敬太(経2・札幌南)
[5]渡辺憩(商2・慶應)空三振空三振
5今泉将(商4・慶應)左飛右飛
[7]常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)遊ゴロ空三振左安①見三振
[3]中塚遥翔(環2・智辯和歌山)遊ゴロ空三振中飛右飛
[6]林純司(環2・報徳学園)右安空三振中飛見三振
[4]竹田一遥(環1・聖光学院)空三振遊ゴロ見三振
H吉野太陽(法3・慶應)左邪飛
[2]吉開鉄朗(商3・慶應)三直左飛一邪飛
H森村輝(総4・小山台)左安
[1]渡辺和大(商3・高松商業)投安三失
H貞包健勝(環2・城北)空三振
9一宮智樹(経1・八千代松陰)三ゴロ

◆慶大投手成績

 選手投球回打者投球数被安打被本塁打与四死球三振失点自責点
先発渡辺和大(商3・高松商業)728101511621
2小川琳太郎(経4・小松)0 2/3518320022
3水野敬太(経2・札幌南)1 1/3618200200

4日間にわたる激戦の末に開幕カード・法大戦を落とし、天皇杯奪還に向け後がなくなった慶大は23年秋季以来勝利がなく、苦手とする明大との1回戦に臨んだ。法大戦では先発投手が試合を作れなかったことで中継ぎ陣にも負担がかかり、打線の粘り強さを活かせなかった慶大。悪循環からの脱却を左のエース・渡辺和に託し、プロ注目の強打者・小島大河(政経4・東海大相模)らを擁する明大打線に立ち向かう。

そんな渡辺和は初回、先頭打者の出塁を許すも、最後は小島をスライダーで空振り三振に打ち取る。2回表にも渡辺和は1死一、三塁のピンチを迎えるが、下位打線を二者連続三振に抑え、マウンド上でガッツポーズを見せる。

マウンド上でガッツポーズを見せた渡辺和

するとその裏、今夏の日米大学野球選手権大会で最優秀投手賞に輝いた明大先発の毛利海大(情コミュ4・福岡大大濠)に対し、1死から2ストライクと追い込まれた林純司(環2・報徳学園)が変化球を軽打し右前打で出塁。更に盗塁も決め、得点圏で打席には吉開鉄朗(商3・慶應)。カウント2-2から鋭い打球を放ったが、これは三塁手の正面に飛び、先制点とはならない。

3回表、2つの失策で1死一、三塁のピンチを招くと、4番・小島に犠飛を浴び、先制される。しかし、直後の5番・宮田知弥(商4・横浜)の打席で捕手・吉開が盗塁阻止を見せ、追加点は許さない。

追いつきたい慶大はその裏、先頭の渡辺和が内野安打で出塁すると、続く今津慶介(総3・旭川東)の犠打に野選が絡み、更に村岡龍(商3・慶應)の三塁線への絶妙なバントで無死満塁の大チャンスを作る。しかし、ギアを上げた毛利の前にクリーンアップが三者連続空振り三振に倒れ、絶好の機会を逸する。

先制を許した渡辺和だったが、4回、5回と危なげない投球で明大打線に的を絞らせない。自身の好投で波に乗った渡辺和は5回裏、先頭で三塁線に強い打球を放ち、相手の失策で出塁。更に1死から村岡が粘って四球を選び、一、二塁のチャンスで再びクリーンアップに打席が回る。ここで4番・常松が右前打を放つと、二走・今津が快足を飛ばし、気迫のヘッドスライディングで本塁生還。同点に追いつき、打線が左腕エースの奮闘に応える。

常松の一打で一時同点に

一気に本塁へ生還した今津の好走塁

同点に追いついた直後の6回表、渡辺和は1死から小島に四球を与えるも、続く宮田の打球を中塚遥翔(環2・智辯和歌山)の好守で一直に打ち取り、後続も抑え無失点に封じる。その裏の攻撃は三者凡退に終わり、試合は同点で終盤へ。

7回表、渡辺和は2死から好投の毛利に代えて、代打に起用された瀨千皓(営4・天理)に左翼席に飛び込む痛恨の本塁打を浴び、1点を勝ち越される。その裏、追いつきたい慶大は先頭の渡辺和を代え、リーグ戦初出場となる貞包健勝(環2・城北)を代打に送るも、明大の2番手・菱川一輝(文4・花巻東)の前に三振に倒れ、後続も凡退し無得点。

これ以上の得点は許したくない8回表、法大とのカードでは全4試合に登板した小川琳が今季5試合目のマウンドに上がり、右翼には一宮知樹(経1・八千代松陰)が入る。しかし、1死から大学日本代表の榊原七斗(情コミュ3・報徳学園)、小島に二者連続本塁打を浴び、1対4とリードを広げられてしまう。更に光弘帆高(商3・履正社)に右三塁打を許したところで、小川琳に代わり水野敬太(経2・札幌南)を起用。水野は代打・今井英寿(政経4・松商学園)を三振に斬って取り、追加点のピンチを凌ぐ。

8回のピンチを抑えるなど1回1/3を零封した水野

食い下がりたい慶大だったが、8回裏は3番手で登板した大川慈英(国4・常総学院)の前に、中軸が三者凡退。

9回表は失策と安打で2死一、三塁のピンチを招くも、前の打席で本塁打を放った榊原の左邪飛を常松が好捕し、最終回に望みを繋げる。

その裏、このままでは終われない慶大は、大川の前に林純、代打・吉野太陽(法3・慶應)が倒れるも、代打の切り札・森村輝(総4・小山台)が意地の左前打を放つと、守備の隙をつき2死二塁のチャンスを作る。しかし、続く一宮は三ゴロに倒れ、試合終了。明大にカード先勝を譲った。

ベンチに向かってガッツポーズを見せた森村

先発・渡辺和は7回2失点と試合を作ったが、打線が明大投手陣の前に好機を活かせず。終盤の一発攻勢に泣いた慶大はカード初戦を落とし、天皇杯奪還への道のりは一層険しいものとなった。次戦ではチーム一丸となり、まずは3季ぶりの勝利を掴みたい。

(記事:髙木謙、福田龍之介、写真:河合亜采子、鈴木啓護)

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