第1週の法大戦では4戦目までもつれる死闘を演じるも勝ち点を落とし、空き週を挟んだ第3週の明大戦は連敗で勝ち点を献上。是が非でも勝ち点が欲しい慶大は、第4週で東大と対戦する。今春は連勝で勝ち点を奪ったが、昨秋の第2戦ではまさかの敗戦を喫しているだけに、決して油断はできる相手ではない。
開幕カードの法大戦で勝ち点を落とし、迎えた明大戦。第1戦では先発の渡辺和大(商3・高松商業)が7回2失点(自責点1)と試合を作ったものの、法大戦全試合に登板し失点を許していなかった2番手・小川琳太郎(経4・小松)が終盤にまさかの2者連続被弾。そのまま1―4で敗戦した。第2戦は明大投手陣を前に打線が沈黙。5投手を注ぎ込む小刻みな継投に翻弄され、8回まで三塁も踏めず散発4安打に終わった。先発した外丸東眞(環4・前橋育英)は5回もたず4回2失点で降板。その後も追加点を奪われ0―3で敗戦。これで明大戦は2024年春季から8連敗となった。

今季も連敗で勝ち点を落とした明大戦
2017年秋季以来、16季ぶりの勝ち点を狙う東大は、第1週で早大、第2週は明大と対戦し4連敗を喫している。頼みのエース・渡辺向輝(農4・海城)が試合を作れていないのが誤算か。早大1回戦では7回2/3を投げ10被安打6失点、明大1回戦は5回8被安打4失点と打ち込まれている。一方、今季抜群の安定感を誇っているのが松本慎之介(理II2・國學院久我山)だ。ここまで3試合に救援登板、計9回1/3を投げ5被安打2失点、防御率0.96は第3週終了時点でリーグ3位と圧巻の成績。高校時代に甲子園のマウンドにも登板している経験豊富な左腕が、第1先発を任される可能性も浮上している。今季第2先発を任されている江口直希(工3・海城)が2試合ともに3回もたず降板。計5失点と振るわないため、渡辺が第2先発、あるいは救援に回ることもあり得るだろう。

今季安定した投球が光る松本慎
打線は明大戦で2試合無得点に終わったものの、今春の王者・早大から4点を奪った底力は侮れない。最も警戒すべきは、ここまで打率.313を記録している秋元諒(文Ⅰ2・市川)だ。今春の慶大戦では無安打に終わっているが、早大不動のエース・伊藤樹(スポ4・仙台育英)から一発を放った長打力は、他大学の強打者と比べても謙遜ない。他にも早大戦で勝負強さが光った樋口航介(理Ⅰ2・海城)、今春の慶大戦で打点を挙げている大原海輝(文4・県立浦和)、明大戦では出場がなかったものの、昨秋慶大1回戦で渡辺和から3ランを放った中山太陽(経4・宇都宮)など好打者が揃う。早大戦で初本塁打を記録した、主将の杉浦海大(法4・湘南)は怪我の影響で代打での出場が予想される。

打撃好調の秋元に要警戒だ
一方、ここまで6試合を戦ってきた慶大は攻守ともに野手陣が精彩を欠いている。守備面ではすでに10個もの失策を記録しており、続く法大とは4つの差をつけてリーグワースト。2024秋季、2025春季は12個で共にリーグ最下位の数字となっており、今季はそれを遥かに上回るペースで積み重ねている。明大戦で打線が低調だっただけに、勝負所での守備のミスは足を掬われかねない。
さらに、今春リーグ最多の15本塁打、202塁打を放った自慢の重量打線も鳴りを潜めている。春は全試合に出場し、10打点をあげた中塚遥翔(環2・智辯和歌山)、同じく正捕手として君臨した渡辺憩(商2・慶應)の2人が、攻守に冴えず明大2回戦でベンチ入りメンバーから外れるなど、指揮官も頭を悩ませているようだ。そんな中でも一際目立った活躍を見せているのが、常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)。長打こそ出ていないものの、6試合全てにおいて安打を放ち打率.391を記録している。加えて、常松に次ぐ8安打を放っている林純司(環2・報徳学園)、今秋デビューを果たし5安打記録している竹田一遥(環1・聖光学院)、法大3回戦でダメ押しの3ランを放った一宮知樹(経1・八千代松蔭)など、下級生も活発。明大戦では2試合で1得点のみに終わったが、本来の打ち勝つ野球を今カードで取り戻せるか。

今季4割近くの打率を残している常松
投手陣は法大戦で4試合23失点と振るわなかったものの、明大戦では2試合で7失点と奮闘した。来たる東大戦のキーマンには、第1先発が予想される渡辺和を挙げたい。登板したここ3試合は全て自責点1に抑えており、本来の投球が戻りつつある。その上、今春の東大1回戦では9回14奪三振、わずか1被安打で完封勝利を挙げている。今季初の勝ち点獲得に向け、チームに流れを呼び込む圧巻の投球に期待だ。

渡辺和の圧巻の投球で今季も勝利を呼び込みたい
(記事:林佑真)