最下位に沈む慶大は今節、勝ち点で中央大に3ポイント差をつけられている状況で、ホーム・下田グラウンドに中央大を迎え撃った。前節に続いてシステムは4-2-1-3を採用し、同じメンバーで試合に臨んだ。前半27分に右サイドのクロスから強烈なヘディングで先制を許すも、直後の30分に角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)のクロスに反応した藤井漱介(商3・静岡学園)が頭で合わせて同点に追いつき、試合は1−1の同点で前半を折り返した。前半追いついた慶大だったが、後半開始直後に左サイドからのクロスを頭で合わされ失点し再び追う展開に。79分、辻野悠河(商4・暁星国際)が左サイドを突破して送ったグラウンダーを村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬Uー18)が蹴り込み同点。さらに85分、角田の展開から齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が得意の形でカットインし、右足で放った一撃がゴール右隅に突き刺さり逆転に成功した。しかし終了間際、PKを与えて決められ3-3のドロー。慶大は勝ち点1を積み上げ、11位に浮上した。
2025/9/27(土)18:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学3-3中央大学
【得点者】
27分 中大 遠山湧斗(牧嶋波亜斗)
30分 慶大 藤井漱介(角田惠風)
49分 中大 田中幹大(牧嶋波亜斗)
79分 慶大 村井亮友(辻野悠河)
85分 慶大 齋藤真之介
90+1分 中大 杉山耀建
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 3 三浦成貴(商3・浜松開誠館) |
| →86分 27 霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| 23 三浦大其(経2・慶應) |
| →67分 14 村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U-18) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| →40分 25 小野翔大(経2・慶應) |
| 13 藤井漱介(商3・静岡学園) |
| →63分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
FW | 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
後期関東リーグ初勝利を目指す慶大は、前節に続いて4-2-1-3のシステムを採用。またスターティングメンバーも前節と同じ顔ぶれで第13節・中央大学戦に臨んだ。先制点を取って早い時間からペースを握りたい慶大は5分、角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が左サイドでボールをキープして相手のファウルを誘い、ゴールに近い位置でフリーキックを獲得する。フリーキックの名手・角田が右足を振り抜くもキーパーにセーブされ先制点は奪えない。

角田のFKもゴールには至らず
序盤から激しいボールの奪い合いが見られ、ロングボールを主体に攻める相手とショートパスを軸に攻撃を展開する慶大とで一進一退の攻防が続く。試合が動いたのは27分、右サイドの自陣深くにおいて相手のスローインから中へ精度の高いクロスが上がり、これを強烈なヘディングで合わせられて前節同様先制点を許してしまう。

先制点を奪われた慶大
早い時間で同点に追いつきたい慶大は直後の30分、最終ラインのビルドアップから齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が左サイドから相手陣内深くまで侵入しペナルティエリア角付近の角田へパスを送る。角田が相手のプレスを躱しながら左足で中へ浮き球のパスを送り、これに反応した藤井漱介(商3・静岡学園)が頭で合わせ今シーズン初ゴールを決め同点に追いつく。

同点弾の藤井
勢いに乗った慶大は33分、田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)が自陣で相手のファウルを受けながら藤井へ縦パスを送り、中央でボールを運んだ藤井もまたファウルを受けながら齋藤真へパスを送る。このパスを受けた齋藤真が得意の斜め45度から右足で巻いていくシュートを放つもわずかにポストの右に外れる。このファウルで負傷した田中はプレー続行ができなくなり、40分に小野翔大(経2・慶應)と交代。

無念の交代となった田中
直後の41分には相手センターバックのクリアミスをカットした立石宗悟 (法4・桐蔭学園)がゴールキーパーとの1対1に持ち込むもビックセーブに阻まれる。攻め込みながらも逆転ゴールが奪えずもどかしい展開が続く中、44分に相手コーナーキックからこぼれ球を押し込まれるも、慶大の守護神洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)がしっかりキャッチ。勝ち越し点は許さない。

立石がゴールに迫るも阻まれる
前半最後の決定機は45+2分、クロスのクリアボールをバイタルエリアで拾った角田がダイレクトでシュートを放つも、相手ゴールキーパーに横飛びで弾かれゴールには結びつかない。前半はこのまま1-1で終了した。追いついて前半を折り返した慶大であったが、後半開始早々、ディフェンスに当たったパスの跳ね返りを拾われ左サイドに展開されると、鋭いクロスを供給され、走り込んできた相手FWにヘディングで合わせられ、再び追う展開となる。

途中出場の小野
同点に追いつきたい慶大は52分、齋藤真の対角線のサイドチェンジを受けた三浦大其(経2・慶應)がマイナスのクロスを供給。小野が鋭く合わせたが、シュートはポスト右をかすめて外れ、同点弾とはならない。続く56分、右サイドでボールを持った三浦大が倒され、ペナルティエリア付近からのFKを獲得。キッカーは角田。右足でゴールへ巻いたボールは枠内を捉えたが、相手GKの好セーブに阻まれ得点には至らない。

角田のFKも決まり切らず
中大が5バックにシステムを変更して堅固な守備ブロックを形成するなか、慶大は流れを変えるべく、63分に藤井に代えて前節ゴールを決めた辻野悠河(商4・暁星国際)を、67分には三浦大に代えて前節アシストを記録した村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬Uー18)を投入する。

前試合でアシストを記録した辻野
すると79分、バイタルエリアでボールを受けた永澤昂大(政4・國學院久我山)が、フリーでポケットに侵入した辻野へパス。辻野はドリブルでえぐり込み、ゴール前へ鋭いグラウンダーのクロスを送る。そこに待ち構えていた村井が迷いなく振り抜きシュート。GKも反応したが届かず、ボールはゴールネットを揺らした。慶大は再び同点に追いつき、スタンドから大歓声が響き渡る。

2試合連続ゴールの村井
勢いに乗った慶大は85分、相手のクロスをGK洪潤太が落ち着いてキャッチすると、素早く角田へスロー。受けた角田は中盤で2人のディフェンスを巧みにかわし、左サイドの齋藤真へパスを送る。ボールを受けた齋藤真は得意のゾーンへと持ち込み、鋭くカットイン。右足から放たれたシュートは美しい軌道を描き、ゴール右隅に突き刺さった。劇的な一撃でついに逆転に成功すると、会場はこの日一番の大歓声に包まれる。

齋藤真の見事なゴールで逆転

下田グラウンドが歓喜に湧いた
このまま逃げ切りたい慶大は86分、三浦成貴(商3・浜松開誠館)に代えて霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース)を投入し、守備を固めて終盤の時間帯に臨む。しかし90+1分、ゴール前での一瞬の対応の遅れから、ドリブルでPA内に侵入した相手選手をスライディングで倒してしまい、痛恨のPKを献上。緊張に包まれる中、これを冷静に決められ、スコアは3ー3の同点に。

攻撃をアシストした永澤
試合はこのまま終了し、激しい撃ち合いとなった今節は3-3のドロー決着。慶大は勝ち点1を積み上げるにとどまった。一方で、試合前に同じ勝ち点で並んでいた東海大が敗れたため、順位は1つ上がり11位に浮上。次節はその東海大との直接対決をアウェイで迎える。負けが許されないシックスポイントマッチとなる一戦、慶大イレブンの戦いぶりに大きな期待がかかる。
(記事:甲大悟、小野寺叶翔 取材:愛宕百華、塩田隆貴、小野寺叶翔、甲大悟、髙木謙)
◇齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)
ーー勝ち点3差の中央大学との一戦。どのような気持ちで試合に臨んだ
今節こそ、ホームで勝ち点3を積んで、これから順位を上げていくための足がかりにしていこうという認識は共有していました。
ーー同点で試合を折り返した。後半に向けてどのようなマインドセットを
同点で後半を迎えることは想定内だったので、後半自分たちがギアを上げて中大さんの守備を崩そうという共通認識を持って臨みました。入りは悪かったのですが、全体を通しては悪くないゲーム展開に持って行けたと思っています。
ーーゴールシーン、角田選手からパスを受けた瞬間について
内側に相手が居ないのは分かっていたので、自分の得意な形に持って行って足を振れば決められると思い、あのプレーを選択しました。
ーー最終的に追いつかれたものの最下位を脱出。この勝ち点1をどう捉えるか
「勝ち点3を落とした」という見方もありますが、自分たちがやりたいサッカーは明大戦、中大戦で表現できたと思うので、あと一歩のところをみんなで踏ん張ることができれば、次節以降、勝利を積み重ねることが出来るのではないかと思います。
ーー次戦・東海大戦に向けて
次こそは勝ち点3を取れるよう、部員全員の力を合わせていきたいです。
◇角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)
ーー試合を振り返って
前期から培った経験を踏まえて自信を持って臨んだ試合でしたが、最後追いつかれて勝ちきれなかったことがとても悔しいです。
ーー途中交代した田中選手からキャプテンマークを受け取った
キャプテンマークという部分は特に意識していませんでしたが、ユウタ(田中)はチームの中心選手なので、彼が居なくなったとき、今日出ている選手の中では僕が引っ張っていかなければという気持ちは強かったです。
ーー逆転ゴールをアシスト
自分の前に大きなスペースがあった中で、ボールキャリーは僕の得意なプレーなので、その部分は貢献できたと思います。ただ、直後の3失点目は僕がプレスバックでボールを奪い切れていれば防げた失点だったので、アシストしたことより、失点に絡んでしまったことの方が強く印象に残っています。
ーー次戦・東海大戦に向けて
後期リーグ2試合、良い試合はしているものの引き分けに終わってしまっているので、チーム全員で良い準備をして、絶対に勝ち点3を取りたいと思っています。
◇村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U−18)
ーー今日の試合を振り返って
前期に中大さんに1-2で負けていて、今のチーム状況を踏まえても勝ち点3を取りたい中で、最終的に追いつかれて3-3で引き分けに終わってしまい、勝ち点1しか積み上げられなかったことが悔しいです。
ーー前節に続いて1点ビハインドからの投入
点を取るしかないので、点を取ることだけを考えて試合に入りました。いい意味で割り切れていたと思います。
ーー同点ゴールを振り返って
右サイドでの出場でしたが、フォワードくらいの気持ちでエリアの中に入っていったことがたまたま実ったのかなと思います。
ーー前節はアシスト、今節はゴールを記録。今のコンディションについて
コンディションはあまり変わっていませんが、途中出場から得点に絡むことについては良いイメージを持てています。
ーー次戦・東海大戦に向けて
自分たちより下の順位にいる相手には絶対に負けられないので、絶対に勝ち点3を積み重ねて、インカレの出場権を得られる順位まで巻き返すきっかけにしたいと思っています。
◇藤井漱介(商3・静岡学園)
ーー試合を振り返って
中大さんと勝ち点3差がある中で、前節の明大さんに勝ちきれなかったことも踏まえて、勝ち点3を取り切るための準備をしてきました。試合展開としても、先制されても同点に追いつき、勝ち越されても逆転するという良い流れが来ていて、サッカーの内容も良かっただけに、勝ち切りたい試合だったと思います。
ーーゴールを振り返って
相手のセンターバック2人がウィークポイントというスカウティングが事前にあったので、自分と宗悟(立石)の2人でクロスに入っていく部分であったり、縦パスを受ける部分で脅威になれるように準備をしていました。その中で、惠風(角田)からめちゃくちゃ良いボールが入ってきたので後は合わせるだけでした。自分はヘディングが得意なので、冷静に決めることが出来たと思います。
ーー膝の状態について
本調子ではなく、出場時間も短くなっていますが、トップ下という新しいポジションに挑戦している中で、まだまだ改善できる部分はたくさんあると思っているので、今後のプレーに期待していただけると幸いです。
ーートップ下へコンバートされた理由
前期から何試合か惠風(角田)がトップ下を務める機会が何度かあったのですが、彼としては4-2-3-1ならボランチをやりたいという意向がありました。前期は他にトップ下をできる選手が居なかったので、僕が怪我から復帰したタイミングで、僕をトップ下で試してみようという話になりました。
ーー次戦・東海大戦に向けて
明大戦、中大戦と、勝利に近いゲーム内容で勝ちきれない試合が続いている中で、ディテールにこだわり、チーム全員で勝ち点3を取れるような準備をしていきたいです。
◇中町公祐監督
ーー残留争いのライバルである中大と勝ち点1を分け合った
得点チャンスを多く作れたことを筆頭に、自分たちの攻撃的なサッカーという部分を出せたと思います。守備では相手のサイドからのクロスへの対応でエラーが起きてしまいましたが、全体的に選手たちの中には一定の手応えがあったのではないかと思っています。
ーー後半はリードを許し、中大にゴール前にバスを停めるような展開となった
サッカーは中央にゴールがあって、そこを守るスポーツです。とはいえ、逆に人数が手薄になるエリアもありますし、我々はポゼッションをしながらゴールに近づくためのルートを上手く辿れていました。中大さんに構えられていた中でも、ゴール前にボールを送ってチャンスを作れていたので、特に問題は無かったと思います。
ーー逆転した後に追いつかれ、降格圏脱出とはならなかった
今のサッカーを続けていればまったく問題無いと思います。
ーー次節は残留を争う東海大との一戦
どのチームとやっても「自分たちのサッカーをやって勝つ」という部分は変わらないですし、我々はまだ1部1年目なので、残留争いについて話すにはまだ早いと思います。しっかりと日々の練習を積み重ね、良い状態で次の試合に臨みたいです。