【バスケ】2013年度開幕特集② 主将×副将対談 & 矢嶋瞭復帰特集

蛯名&田中①主将×副将対談

2013開幕特集 2弾は、蛯名涼主将(4・洛南高)と田中貴啓副将(4・福大大濠高)の主将、副将対談だ。両者とも、バスケの名門校出身であり、高校生の時にウィンターカップに出場した経験も持つ。経験・実績ともに十分であり、適役といえるだろう。一昨年、昨年とチームとしても個人としても満足のいく結果を残せていないだけに、ラストイヤーに懸ける両者の思いは強く、「勝ちたい」というその気持ちだけが彼らを突き動かしている。主将・副将に選ばれた経緯から、上級生になり、チームをまとめることの難しさまで、慶大バスケ部の内実を赤裸々に語って頂いた。

 ──昨シーズンを振り返って、いかがでしたか。

蛯名: 元々、2部ってそんなに弱くないと思っていたんですけど、試合に出れなかったのが1番悔しいというか、それ以上にうちがチームとして成り立っていなかったので、結局形にならず、結果を残せなかったです。

田中: 昨シーズンは上級生が怪我して試合に出れていない中、自分がベンチにいて、何も出来ないのが悔しかったです。今年は自分も試合に出ることは勿論ですし、怪我した同期が戻ってくるので、それに乗って自分もプレーで引っ張っていきたいなと思います。

──昨シーズンで印象に残った試合はありますか。

田中: リーグ戦の1戦目の中央戦(関東大学バスケットボールリーグ戦9戦目)です。前半戦は負け越していたのですが、蛯名が復帰してくれたことで、勝てなかったですが、ディフェンスから頑張るだとか慶應の持ち味である泥臭いところが出るようになりました。1人の影響力の大きさを感じた試合であり、僕はとても印象に残っています。

蛯名: その試合があったから主将に押してもらったという部分もありますし、いい意味で印象に残った試合かもしれないです。悪い意味で印象に残ったのは、皆は全然意識していないかもしれないですけど、矢嶋が怪我した後の京王電鉄杯の法政戦が酷かったです。矢嶋がそれまで点数で引っ張っていて、大体競っていて、青学にもいい試合をしていたのに次の日の法政戦がボロボロで、負けてしまいました。今年はそういう状況にしてしまったら終わりだなという風には感じています。何でそうなったかというと、芯が抜けてしまい、皆ふわっとしたプレーしかできていなかったので。そういう時にはしっかり締めれたらなと思っています。

「懸ける思いは相当なものなので、あとはそれをどうチームに上手く還元できるか」

「懸ける思いは相当なものなので、あとはそれをどうチームに上手く還元できるか」

──主将・副将になった経緯と意気込みを教えてください。

蛯名: そもそも主将をやりたかったのが僕と矢嶋と田中で、同期と「誰がなればチームが機能するか」とか「何が足りないから誰ができる見込みがあるのか」などといった話し合いをしました。結局、コートに出てプレーで引っ張れる人が主将になった方がいいんじゃないかということになり、先程も話題に上がった中央戦を皆が評価してくれたので、僕が主将ということになりました。やることとしてはそんなに変わっていないと思っているんで、意識することでもないです。ただ、責任が重くなったり、それに耐えられるかどうかだけかなと思っています。ただやっぱり、皆から言われたのは、もう少しチームのことを考えられるんじゃないかということで、自分がどれだけ出来るかとかは考えるのですが、チームを勝たせるために下級生をどう引っ張ればいいかはもう少し考えた方がいいと言われています。まさにその通りで、人を動かすのが得意ではないですし、人を1つの方向に向かせるのも難しくて、プレーではできると思うんですけど、成長すべき点はそこかなと思います。

田中: 僕は主将に立候補しました。その理由としては、昨年、僕は試合には出ていなかったので、役職に就いて自分を追い込み、やらなければいけない環境を作りたいという思いがありましたし、プレーで引っ張りたいというのもありました。蛯名が主将に決まった後に、蛯名に足りないものは何かって皆で考えて、彼は優しい性格なので、厳しく指摘できる人がいいのではないかと考えました。1、2年生の時からの自主練習の姿勢というのを皆が少なからず見てくれていて、人に言うには自分に厳しく出来る人がいいということで、皆が僕を押してくれて、副将を任せてくれました。副将の役割としては、雰囲気作りや自主練習をまず自分がやって皆を刺激して動かすことだと思っています。今は、練習中は誰よりも声を出して、頑張ろうとは思っています。そういうところで引っ張るのも1つのリーダーシップだと思っているんですけど、やっぱり4年生なので、プレーでも引っ張っていきたいので。今年は授業もないので、全部バスケに注ぎ込みたいと思っています。

 

蛯名『何が何でも勝ちたい』

田中『自分の役割を磨き続けて』

 

──今シーズンのスローガンの意味は何ですか。

蛯名: スローガンを決めるのはすごく悩んだんですけど…。

田中: 去年は日本一という大きな目標を立ててしまったのですが、今年は慶関戦や電鉄杯、早慶戦、トーナメント、新人戦もあるので、短期的に目標を定めていこうとなりました。1つ1つ目標を達成して、積み重ねていこうということです。

蛯名: とりあえず勝ちたいという思いを胸に刻んでいますということです。

──上級生としてどうチームを引っ張っていきたいと思っていますか。

蛯名: 最近、引っ張るということがとても難しくて、意識して引っ張れるもんじゃないなと感じています。今は全然自分のプレーが出来ていないのですが、やれば自然と付いて来るし、でもやろうと思ってやれないとブレ幅が大きすぎて、結局自分のプレーが出来ないということに最近気づいてきました。でも、それでもやらせなければならない立場なので、すごい難しいなというのは最近思っていて。これから電鉄杯、トーナメント、早慶戦とあると思うんですけど、自分のできることをやって、それをどんどん増やしていかないと、と今は思っています。先生がおっしゃっている指示を自分が徹底して、自分がやらせたいことも自分ができるようにならないといけないと思っています。人を引っ張るのは難しいと改めて感じていますし、何をやらなければいけないかという話になると、自分ができることをしっかりやろうということです。

「全部バスケに注ぎ込みたい」

「全部バスケに注ぎ込みたい」

田中: 今まで試合がなかったので、練習中にどう引っ張るかということを考えていたのですが、自分もプレーはあんまり上手な方ではないので、技術面は蛯名に任せて、自分は練習に取り組む姿勢などで引っ張っていきたいです。誰よりも速く走るとか、声を出すとか、誰でも出来ることを皆に浸透させて、気持ちの面で1つに出来たらなと思っています。高校の時も、最後は試合に出て引っ張れたので、大学でも時間は短くても、自分の役割を磨き続けてチームを引っ張れたらなと思います。

──今年は今までと違い、何を特に変えるべきだと考えていますか。

蛯名: 言い続けてきたんですけど、技術があれば勝ちきれるんでしょうが、瀬戸際で負けてしまうのは気持ちの問題だと思っています。技術の問題以上に踏ん張りどころで踏ん張れないのが、1番の原因だと思っているので、練習でもよく言うんですけど、もうだめだと思ったところからもう1つ頑張れるように個人も周りも言い合えるようにというのは言い続けてきました。それを僕はリーグ戦でいなかった間にそこが足りないと思ったので、目の前にボールがあるのに、とれなかったりというのが目立ったし、悔しかったのでそれをやろうと思っています。それができれば、そんなに2部であんなに負けることはないはずなので、1回で悪い流れを断ち切れるように、意識付けをしています。

田中: 一昨年は家治さんが頑張って、昨年は伊藤が頑張っていて、1人で頑張っていることが多かったので。ちょっとのプラスにしかならないと思うんですけど、ベンチも一体感を持って出来るようにしたいなと思っています。

──今年のチームについて、印象を教えてください。

蛯名: 下級生が伸び伸びやって、4年生が支えるというか。土台に4年生がいなきゃいけなくて、実際やるのは2年生、3年生という感じです。どの学年が欠けても上手くいかないと思いますが、大事なところは4年生が締めて、でも正直、力としては2、3年生の力が大きいと思います。しかし下級生主体という意味ではなく、僕らも勿論やりますし、その上で下級生の力を引き出すこともしないといけないなと考えています。僕らの土台の上に2、3年生が、うまく乗って、思う存分やってくれればという感じです。

田中: 点取るのは矢嶋だし、ディフェンス頑張るのは蛯名だし、リバウンド取るのは本橋だし。それができれば、正直負けないと思っていますし、ゲームもしっかりしてくると思います。そこに下級生のいいところが出せれば、いいチームになるのではないかと思います。44生の役割を果たして、いかに下級生に力を出してもらえるかだと思っています。

インタビューに答える蛯名(写真: 右)と田中(写真: 左)

インタビューに答える蛯名(写真: 右)と田中(写真: 左)

──最後に、今年の目標を一言お願いします。

蛯名: 1部に上がりたい、という思いだけですね。本当にリーグ戦に懸ける思いは強いです。去年出ていないですし、この先バスケを続けるつもりないですし、そう考えるとリーグ戦まで5ヶ月くらいまでしかない中、12年間やってきたバスケの最後のシーズンになるかと思うと、何が何でも勝ちたいなと思います。懸ける思いは相当なものなので、あとはそれをどうチームに上手く還元できるかだと思っています。厳しいとは思うのですが、目標は1部昇格です。

田中: 目標は日本一です。今までは漠然と目標を立てて、正直、目標を見失っていたと思います。ですが、今年は春シーズンは早慶戦優勝とか、トーナメントは勝ちあがるとか、短期的な目標を達成して、1つ1つ積み重ねていって、一部昇格して、最終的には日本一になりたいです。

──ありがとうございました。

※この取材は04月20日に行いました※

(記事: 丸山由鶴)

 

②矢嶋瞭 復帰特集インタビュー

矢嶋瞭(総4・福大大濠高)

 

頼れる男が帰ってきてくれた。正確無比なアウトサイドシュートを武器に得点を量産する慶大が誇るエース、矢嶋瞭(総4・福大大濠高)だ。上級生として迎えた昨シーズンは、4月に膝を故障しシーズンを棒に振るという悔しい1年に。外から仲間達を見守ることしか出来なかった歯痒さを味わっただけに、最終学年である今年度に懸ける想いは誰よりも強いだろう。また、中高と全国でも有数の選手と評価されながらも、未だに1度も全国の舞台でトロフィーを掲げたことは無い矢嶋。学生として迎える最後の年に、昨季の鬱憤を晴らす為、そして自身初となる日本一獲得の為。勝負の1年への想いを語ってもらった。

 

──復帰後数試合を経験して、いかがですか。

復帰したということはいいことだと思うのですが、僕に要求されていることは4年生としてチームをまとめあげて、勝ちにつなげていくことなので、それが今日は全くできなかったです。復帰して喜んでる暇は無くて、もう僕にはやるしかないので、焦らずというのもあるんですけど、もっと鬼になってやらなければならないと思います。先生に要求されていることのレベルは高いんですけど、それは当たり前で、僕はチームでもっとやっていかなければならない立場だと思います。なので去年一年間できなかった分も、覚悟を持ってやっていきたいと思います。

──その中で得た課題はありますか。

すべてが課題なんですけど、六大学ではやって、なかなか勝てなかったこともありまして、ディフェンスもオフェンスもチームでまとまってないところがあったり、本当に課題が山積みです。なので何が課題と言われたら全部です。その課題があることによって修正していく部分も価値があると思うので、そこを突き詰めてやっていきたいと思います。

──昨年のチームを外から見て、いかがでしたか。

去年は外から見てて、下級生だったり同じ学年の人だったりといろいろ要求してる部分もあって、試合に出てないのですが、僕が本気で勝ちたいということを下級生や同級生に伝えてたり… 具体的にですよね(笑)リーグ戦とか大事なところで下級生が多く、勝負どころで負けた部分がすごく多かったので、そういうところで決めきれる人だったり、チームとしてまとまったり、ディフェンスをやるというところをもっと今年はやらなければならないのかなと思います。去年できてなかったので、そこが課題です。

──シーズンインするまでに取り組んだことを教えてください。

新4年生で話し合いだったり、今年どういう風にしていこうということだったり、チームを変えていかなければならないよねという話し合いをしました。やっぱり今年絶対一部に上がって、インカレ優勝というしっかりとした目標を掲げて、それを達成するために何をやっていくべきかを話し合いました。自分としてもいろいろとやってきました。笑 一番やってきたのは体幹を鍛えて、体を大きくするというよりは、ビルディングで体を大きくするよりも、体幹だったり、バスケットの動きというのをしっかりやってきました。体はそんなに大きくなってないかもしれないですけど、体幹の部分だつたり、バスケットに必要な筋力というのは昔よりはつけてきていると思います。

「もっと鬼になってやらなければならない」

「もっと鬼になってやらなければならない」

──最終学年になって変わったものはありますか。

実際変わったものはなくて、大学入ったときから日本一という目標はブレてないので、それを4年でも成し遂げていかなければならないと、今までもってるものです。

──新チームの状態をどう感じていますか。

まだまだですね。今日も2部の相手に負けましたし、明治戦でも1部に上がろうと言ってるのに大差で負けたりしてますからね。結果が出ないと周りから評価されないと思うので、まぁ評価するのは周りなので、自分たちはがんばってきたと言っても何も始まらないですし。先生にも言われていることなんですけど、もっと真剣にバスケットに向き合っていかなければならないのかなと。

──ご自身のチームでの役割についてお願いします。

僕は得点をとることと、オフェンスリバウンドだったり、ルーズボールという部分を人一倍やらなきゃいけないなと思います。去年外から見てて、そういう部分が欠けていましたし、下級生に要求していたので、まずは自分が体現して、下級生に矢嶋さんがそういう風にやっているから自分もついていこうというのを僕がやっていかなきゃならないと。それが僕の使命だと思っています。でも先生からは得点を取れと言われているので、当たり前に得点をとらなければならないので、それプラスその部分が役割だと思います。

──得点を取ることに対する意識について教えてください。

六大学から復帰して、自分が行かなきゃというのが、悪循環で、チームの流れを壊したり、大事な部分で軽いシュートを打ってミスしたりというのが、明らかに出てきたので、今日の試合が終わって伊藤ともいろいろ話したんですけど、自分が行かなきゃいけないところだったり、でもゲームを作るのは伊藤なので、その司令塔に合わせて、もっとチームとして話し合って、どういうときに僕がボールを貰うのかというのをもっと話し合って、その中で1番得点をとるというスタンスは変わらないんですけど、自分が自分がというのではなく、チームに合わせて、コンスタントに20点30点と当たり前の様にとっていきたいと思います。

──最後に、今年の目標について教えてください。

日本一です。ですがその前に1部復帰ですね。本当に後輩に迷惑をかけるばっかりなので。去年も後輩に迷惑をかけてばっかりだったので。でも今の現状から見て、まだなかなか改善しなきゃいけない点がたくさんあるので、1つ1つ今日からクリアしていって、最終的には日本一、1部復帰というのをしっかり目指してがんばっていきたいです。

──ありがとうございました。

(記事: 水島涼太)

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