【野球】５回一挙７得点！猛打爆発で初勝利飾る　明大①

４月２５日（土）東京六大学野球春季リーグ戦　明大１回戦

開幕カードの法大戦を連敗で落とした慶大にとって、絶対に負けられない明大戦が始まる。１点ビハインドの４回、横尾俊建（総４）の同点アーチで試合を振り出しに戻すと、５回には谷田成吾（商４）の３点適時打などで一挙７得点。投げては先発の加藤拓也（政３）が、8回までを1安打1失点の快投を披露する。最終回に明大の追い上げを許すも振り切って、待望の大久保監督・横尾主将が率いる慶大の初勝利をもぎ取った。

 

	１	２	３	４	５	６	７	８	９	計
明大	０	０	０	１	０	０	０	０	４	５
慶大	０	０	０	１	７	０	０	０	×	８

 

　明大：●柳、齊藤、水野、星―坂本

　慶大：○加藤拓、小原大―小笠原

◆慶大出場選手

	ポジション	選手名（学部学年・出身高校）
１	[６]	山本泰寛（環４・慶應義塾）
２	[４]	北村祐樹（商４・丸亀）
３	[９]	谷田成吾（商４・慶應義塾）
４	[５]	横尾俊建（総４・日大三）
５	[７]	齋藤大輝（商３・慶應義塾）
６	[３]	沓掛祥和（商３・慶應義塾）
７	[２]	小笠原知弘（環４・智辯和歌山）
８	[１]	加藤拓也（政３・慶應義塾）
	１	小原大樹（環３・花巻東）
９	[８]	梅野魁土（環４・福岡大大濠）

 

開幕２連敗で法大から勝ち点を落とした慶大。優勝のために、もう星を落とせない展開だ。４月とは思えない暑い日差し、そして今日開催された「若き血デー」により赤く染まる応援席の下、明大との一戦に臨んだ。

 

初回の加藤拓の立ち上がり。初回、２回と２死を取ってから四球でランナーを許すものの、150キロを超える直球と低めに制球された変化球で、左打者を多く並べる明大打線を翻弄。「調子は良かった」（加藤拓）という言葉通り、３回まで安打を許さない上々の立ち上がりを見せる。対する慶大打線も、明大先発・柳の巧みな投球術の前に苦しむ。３回２死、山本泰寛（環４）が右方向への二塁打を放ち、初のチャンスを作るも北村祐樹（商４）が続けず、無得点で前半３回を０－０で終える。

 

４回表、快調に飛ばしていた加藤拓だが２死１塁の場面。ここで佐野恵に甘く入った初球を捉えられ、この日初めて打たれた安打が適時二塁打となり、先制を許してしまう。後続を抑え１失点で留めるが、慶大は追う展開となった。

 

しかし流れを渡したくない慶大を救ったのは主将の横尾だった。４回裏１死、甘く入った柳の２球目をフルスイング。「少し詰まった」（横尾）というものの、滞空時間の長い横尾らしい弾道を描いた打球は、レフトスタンドへ吸い込まれる同点ホームランとなった。

 

さらに５回裏、先頭の梅野魅土（環４）が「自分が出て流れを呼び込もう」と四球で出塁すると、すかさず盗塁を決め、役割を果たす。山本泰も四球を選ぶと、続く北村の犠打は相手の失策を誘い、ノーヒットで無死満塁のチャンスを作る。ここで今日２三振に倒れている谷田に打席が回る。「三振しなければ１点は入ると思って楽な気持ちで」（谷田）打席に入った谷田は、カウント３－２からの６球目。「真っすぐ狙っていた」（谷田）と柳の１３４キロの直球を捉える。やや詰まりながらも打球は伸び、センターオーバーの適時二塁打。大きな3点が追加される。この適時打を皮切りに畳み込んだ慶大は続く横尾に適時打が生まれ５－１。沓掛祥和（商３）が猛打賞となる３本目の安打でさらにチャンスを作ると、この回２度目の打席の梅野にも３点適時三塁打が飛び出し、一挙７得点のビッグイニング。神宮球場に若き血が鳴りやまない展開に、「ベンチも盛り上がった」（山本泰）。

 

８－１と大量援護をもらった加藤拓は「楽に投げさせてもらえました」と、６、７、８回を危なげなく抑える。自慢の直球に加えて変化球でも空振りを奪え、思い通りの投球を披露。８回を佐野恵に打たれた適時打による１安打だけで明大打線を抑え込む。

 

回はそのまま進み、９回表のマウンドへも加藤拓が立つ。しかし先頭の高山に四球を許すと、続く菅野に二塁打を打たれてしまう。すると上西への４球目にバッテリーミスが生まれてしまい、２失点目。そして上西に四球を与えると、佐野恵に適時打を許してしまい８－３に。さらに嫌な流れを止められず、続く代打・小倉に四球を与えて無死満塁の大ピンチを作ってしまう。ここで大久保監督は熱投を続けた加藤拓から、今季初登板の小原大樹（環３）へスイッチ。大役に、小原は「心臓が飛び出るくらい緊張した」という。その言葉通り、代打・東原への３球目を地面にたたきつけてしまい４点目を献上し、さらに四球を与え無死満塁のピンチ。しかしこの絶体絶命の場面で、小原のもとに「『点差があるからもっと楽に投げろ』と言ってくださった」（小原）と、横尾主将が声をかけに行く。この言葉で「すごく楽になりました」（小原）とギアチェンジ。明大の代打攻勢をかわし、内野ゴロの間に１点を許すも２死までこぎつける。最後は好打者である石井を相手に力勝負で挑み、左飛に打ち取って試合終了。大久保監督、横尾主将になって神宮初勝利を収めた。

 

自慢の打線が火を噴いた。法大戦では「みんな自分の結果ばかり気にしていた」（山本泰）と、慶大らしさを失っていた。どの時代においても野球部は個の力だけでなく、チームのために自分の役割を全うし、勝利をもぎ取ってきた。それだけに各々が自分の役割を果たした、５回の７得点というのはとても慶大らしさが出た攻撃だった。終盤は明大の猛攻に遭ったが、「自分たちの足りない部分や気の緩みがあったことがわかったのでよかった」（小笠原知弘・環４）と前向きにとらえる選手たち。優勝へ向け結束をさらに強くして明日も勝利し、何としてでも勝ち点を手にしたい。

 

 

 

【Today’s Legend】優勝へのカギ握るＫＥＩＯ野球の体現者　谷田成吾

法大戦では悔しい思いをした谷田成吾。この日も２三振を喫していたが、迎えた第３打席。甘い直球を見逃さずに走者一掃の３点適時二塁打を放って球場を沸かせた。大学日本代表候補メンバーにも常連のように名を連ね、着実にステップアップしている谷田。最高学年として見えないプレッシャーもあるだろが、神宮ではもうおなじみの背番号24も、もうラストイヤーを迎えている。ともに率いてきた横尾と共に慶大野球部の歴史を語るうえで、外せない存在になるだろう谷田。今季も彼の1プレー1プレーに目が離せない。

 

記事　荒川智史

◆打撃成績

		１	２	３	４	５		６	７	８
[６]	山本泰	右飛		右２		四球	四球			空三振
[４]	北村	空三振		左飛		捕犠失	中飛			二ゴロ
[９]	谷田	空三振			空三振	中２③		一ゴロ		中飛
[５]	横尾		遊ゴロ		左中本①	右安①		四球
[７]	齋藤		遊飛		一ゴロ	空三振		二ゴロ
[３]	沓掛		二安		中安	左安		三ゴロ
[２]	小笠原		左飛		中安	四球			遊ゴロ
[１]	加藤拓			右飛	空三振	空三振			空三振
１	小原
[８]	梅野			二ゴロ		四球	右中３③		空三振

 

◆投手成績

	投球回数	打者数	球数	安打	三振	四死球	失点	自責
○加藤拓	８０/３	３４	１３１	３	９	７	５	３
小原	１	４	２１	０	１	１	０	０

 

 

 

◆選手コメント

 

横尾俊健（総４）主将

（初勝利ですおめでとうございます）監督に一勝をプレゼントできてよかったです。（ホームランの感触は）ちょっと詰まったんですけど、入ってくれてよかったです。（反応でしょうか、読みでしょうか）ストレートを張っていました。（追加点のタイムリーもでました）１打席１打席大切に行きました。（サードでも緩いゴロへの好守備がありました）しっかり準備できていたので、反応できてよかったです。（明日に向けて）今日と同じように一生懸命やっていきたいと思います。

梅野魁土（環４）   

(今季初勝利、今の気持ちは)純粋に勝ててよかったです。(5回の大量得点の足掛かりとなる四球。どういった気持ちで打席に入っていましたか)先頭打者だったので、自分が出て流れを呼び込もうと思っていました。(盗塁はサインですか)塁に出たら(盗塁)していいよという感じなので、自分のタイミングが計れたら、いっています。(そのあとは見事な走者一掃の三塁打でした)けっこう飛んだので(笑)、外野を抜けてくれてよかったと思います。(明日にむけて)負けると優勝が遠のくので連勝で勝ち点をとりたいと思います。

小笠原知弘（環４）

（今日の試合を振り返って）２連敗から入ったのですが今日は打線が奮起して勝てたので良かったとは思うんですけど、最後の方に追い上げられてしまって、自分たちの足りない部分や気の緩みがあったことがわかったので、逆に追い込まれた状態になって良かったのかなと思います。（1回の走者が３塁の場面で、加藤拓投手に打者と勝負するように指示したことについて）僕たちはバッティングが売りのチームということもあって、やっぱり点を取れなくちゃ勝てないので、1点を争うのではなくとりあえずバッターと勝負して打ち取るように伝えました。加藤はランナーを気にするようなピッチャーではないので、結果的に打ち取れてよかったと思います。（全体的に四球が多かったことについて）四球が多かった中で考えたのは、やっぱり加藤はもともと四球が多いピッチャーですがそれもいいところではあるので、そこを上手く使いつつ、要所要所でとらなければならないところはとって、その中で打たれないようなリードをしました。そういった意味では僕は今日の加藤はよかったとは思っています。（9回にタイムをとったときはどんな声かけをしたか）やっぱり結局立ち直れないまま代わってしまったんですが、失策ではないですけどライトへどっちつかずの打球が飛んでいたので、そんなに気にしないようにと声をかけました。加藤は熱いピッチャーなのでどうしても気持ちが上がってしまうので、タイムをとった時はホームランを打たれてもリードはまだあった場面だったので思いっきり投げるように言いました。（今日の７番という打順について）正直、７番も８番もあんまり変わりませんでした。（明日に向けて一言）明日は誰が投げるかまだわからないですが、絶対勝てるようにこれからまた調整をしていきます。あとはやっぱり、チームがいい勝ち方ができると全体として勢いに乗れると思うので、そういった勝ち方を目指したいと思います。

谷田成吾（商４）

(今シーズン初勝利おめでとうございます。今日の試合を振り返って)疲れる試合でした。(法大戦から２週間が経ちました)特に法大戦までと変えることは何もないですけど、いつも通りしっかり準備して臨もうと思って練習しました。(第３打席は無死満塁という場面で回ってきましたが、どんな気持ちで打席に入りましたか)同点でしたし、ノーアウト満塁で内野も(定位置まで)下がっていたので、三振しなければ１点は入ると思って楽な気持ちで打席に入りました。(前を打つ北村選手の打席中、大久保監督から耳打ちされていましたが)北村にはバントのサインが出ていたんですけど、もしそれが失敗になったとしてもお前がカバーしてやれよ、という話でした。(初球は空振りでしたが、カーブに対してフルスイングでした。狙っていたのですか)そうですね、カーブが来ると思っていてその通り来たんですけど、ちょっとボール球だったので。でもタイミングは合っていました。(フルカウントから二塁打を放った球はストレートでしたね)はい、変化球はボール球が多かったですし、カーブはタイミングが合っていたので、ここは真っすぐに張っていけばいいかなと思って、真っすぐ狙ってました。(打った瞬間の気持ちは)ちょっと詰まったんですけど、最悪犠牲フライにはなるだろうと思って打球を見てました。打ててよかったなと思いましたし、ほっとしました。(凡退に終わってしまった他の４打席については)いい打席もありましたけど、まだまだ内容がいまひとつなところがありました。でもとりあえず勝ててよかったので、明日もう一度切り替えて1試合1試合頑張っていきたいと思います。(修正点はどのあたりなのでしょうか)タイミングは合っているとは思うんですけど、スイング自体が自分の思った通りに振れていないなと感じるところが少しあります。ちょっとずれるだけでヒットではなくなるので、そういった微妙な部分を明日の試合までに調整したいと思います。(ぜひ明日、連勝で勝ち点を取ってください！一言お願いします)はい、連勝でいきたいと思っているので、明日も一戦必勝で頑張りたいと思います。

山本泰寛(環４)

(法大戦からどのようにチームを立て直したか)本当に法大戦は慶應らしさがなくて、みんな自分の結果ばかり気にしていたんで。そこで慶應らしさをもっと出していこうということで、みんなが楽しんでできる、練習でもひとつひとつのプレーを全員でプレーすると考えてここまでやって来ました。(二塁打を打った場面はかなり喜んでいましたが)そうですね(笑)。久々のちゃんとしたヒットだったんで。嬉しかったです。(その後は２四球。ここから打撃の状態も上がっていきそうですね)はい。いい感じでボールを見れているんでしっかりこれからも打っていきたいです。(最後の場面は内野手として何を考えていたか)ひとつひとつ、欲を出さずに取っていこうということを内野手で話したんでまあ勝ってよかったです。(集中打によってチームの雰囲気もよくなったのでは)ベンチも盛り上がりましたし、みんなが楽しくできて本当によかったです。(明日へむけて)明日も負けられない試合です。法大に２回負けてしまったんで。明日も厳しい試合になると思いますが、しっかり戦っていきたいです。

小原大樹（環３）

（１３年秋以来の登板だった）場面がしびれる展開だったので心臓が飛び出るくらい緊張しましたけど、神宮球場で投げることは楽しいと改めて認識することができました。明日も落とせないので勝てるように頑張ります。（行けと言われた時の心境は）行くしかない、０で抑えてやるぞという気持ちでマウンドに行きました。（登板した場面は無死満塁だったが）失点が加藤についてしまうので、０で抑えて次につながるようなピッチングをしようと思いました。（まだ点差はあった）点差はあったんですけどマウンドに行ったら０に抑えたいという気持ちが出てしまって、そこで横尾主将が「点差があるからもっと楽に投げろ」と言ってくださったので、その一言ですごく楽になりました。（これからの意気込み）まだ優勝の可能性あるので、優勝に向けて一球一球しっかり投げて０点に抑えたいと思います。

加藤拓也（政３）

(今日の試合を振り返って)８回までは良いピッチングが出来たと思うんですけど、９回にバタついてしまったのでそこは反省すべきところですが、勝てて良かったです。(今日の調子は)調子は結構良かったので、最後まで投げたかったんですけど…。まあ、悪くはなかったです。(今日の投球は変化球の割合が多いように見えたが)相手も真っ直ぐを待っている中で、今日は変化球でストライクが取れたので使っていこうということで小笠原さんが(サインを)出してくれたんだと思います。(そういった配球は捕手の小笠原選手と相談しながらやっているのか)リードとかはほぼ任せているので、僕は小笠原さんのミットにめがけて投げるだけだと思っています。(今日は打線の大量援護がある中での投球だった)楽に投げさせてもらえました。(明日以降に向けて)勝つしかないので、そこに貢献できるよう頑張ります。

沓掛祥和（商３）

（本日の試合を振り返って）みんなのバッティングが良かったです。とりあえず勝てよかったです。（３安打でしたが）本当は１安打だと思っているのですが、（運良く）落ちてくれて良かったです。（５回は打線がつながりましたね）打って勝つのか慶應の野球だと思ってます。みんな振れているので、打ってくれると思いました。（９回は反撃に遭いましたが）守っていてめちゃくちゃ緊張しました。この前のこと（法政戦第２戦）も頭をよぎりましたが、点差が点差だったので負けるはずないと思いました。守っていて寿命縮みました。（本日は今季初勝利ですが）嬉しいです。ただそれだけです。（明日に向けて）明日も今日みたいな感じで、がんがん打って慶應らしい野球で勝ちたいと思います。