TEAM2019の初陣となった今節。慶大の関東リーグ一部復帰を目指した戦いが始まった。24分にバックパスのミスからボールを失うと、ミドルシュートを決められ先制点を献上。直後にクロスバーをかすめる好機があったが、ものにすることは出来ず。後半開始早々の決定機も逸すると、以降は大きなチャンスを作れずに試合は終了。ボールを大事にするサッカーを今季も初戦から貫いたが、黒星発進となってしまった。
第25回関東女子サッカーリーグ 前期第1節 vs流通経済大学
2019/04/14(日)16:00KO @慶應義塾大学下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0-1流通経済大学
0-1 24分 藤根有彩(流通経済大学)
◇慶大出場選手
GK 加藤楓琳(総4・常盤木学園)
DF 熊谷明奈(総3・十文字)
DF 奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース)
DF 足立智佳(環3・大阪桐蔭)
MF 小川愛(総3・神村学園)
MF 佐藤幸恵(総3・十文字)
MF 工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)©
MF ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)→63分 高橋佳里(総1・常盤木学園)
FW 平田朋(環2・日ノ本学園)→69分 松木里緒(環4・常盤木学園)
FW 鈴木紗理(総3・十文字)
FW 山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)
第25回関東女子サッカーリーグが開幕した。昨季、無念の降格をした慶大は今季、二部で戦う。流通経済大学をホームである下田グラウンドに迎えての開幕戦となった。
志鎌奈津美(常盤木学園)が務めたGKには昨季までCBで活躍した加藤楓琳(総4・常盤木学園)が入り、更に、新一年のブラフ・フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)がスタメン起用された。
慶大は昨季の4-2-3-1から3-4-2-1にシステム変更。最後列の3枚の並びは左から奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース)、足立智佳(環3・大阪桐蔭)、熊谷明奈(総3・十文字)の順。ブラフと佐藤幸恵(総3・十文字)が両ウィングバック、小川愛(総3・神村学園)と工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)がダブルボランチを形成。そして、トップに平田朋(環2・日ノ本学園)、二列目には山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)と鈴木紗理(総3・十文字)という布陣で臨んだ。
開幕戦の緊張からか、序盤は落ち着かない試合展開が続く。短いパス回しで攻める流経大に対し、慶大は5-4-1のブロックを作り守る。カウンターの機会を得ると、前線に残る平田に一度当ててから展開する攻撃の形を数回見せた。ボール保持時には相手のプレスの人数に合わせて3CBの中央の足立がポジションを調整し、常にピッチ上に三角形の位置関係を形成しようと試みていた。GKの加藤は11人目のフィールドプレイヤーとして安定した組み立てへの参加を見せ、19分には加藤から佐藤を経由し、工藤が右サイド裏のスペースに侵入。アーリークロスを供給したがゴール前で待つ山本には届かなかった。更に、昨季あまり行わなかったショートコーナーを一つ目のCKで見せるなど変化を加えた。しかし、迎えた24分、ピッチ中央で不用意なバックパスをさらわれると、PA外からミドルシュート決められ、もったいない形で先制点を献上。GKの加藤も体勢が整わなかった。反撃に出たい慶大は35分、カウンター攻撃から左にはたき、最後はブラフがゴール上隅を狙った巻いたシュートを放ったがクロスバーに嫌われてしまう。なかなかチャンスを作れないでいると、39分の相手のFKでファーサイドの選手をフリーにしてしまい、あわや失点という場面もあった。44分にも強烈なシュートを浴びたが、ここは加藤が素晴らしいキャッチングを見せて追加点は許さなかった。
両チームともハーフタイムでの選手交代はなかった。50分に慶大は後半最大のチャンスを迎える。工藤が右サイドにボールを展開し敵陣に侵入すると、ゴール前の山本が浮き球を胸でそらし平田が良い体勢でシュート。決定機であったがボールは惜しくもクロスバーの上を通過し、同点弾とはならなかった。自身も「最初は結構緊張した」と振り返ったように前半は思うような動きができなかったブラフも、後半は積極的に仕掛けるようになり印象的なプレーを何度か見せた。62分にはそのブラフに代わり、同じく新一年生の高橋佳里(総1・常盤木学園)を投入。高橋はボランチに入り、工藤が左サイドにポジションを移動した。高橋は途中出場での公式戦デビューとなったがスムーズに試合の流れに乗り、ワンタッチパスを多用して慶大にリズムをもたらした。また、攻守の切り替えも素早く、上々のデビュー戦となった。更に、69分には平田に代わって今季から主務を務める松木里緒(環4・常盤木学園)を投入。山本がトップの位置に移動した。それでもしばらくチャンスを作れなかったが、80分にFKを獲得。鈴木が直接ゴールを狙うも、これはGKの正面に飛びネットを揺らすことができない。残り時間も少なくなり、リスクを背負って前からのプレスに人数をかけるなど、攻勢に出たが決定機を生むことはできず。終了間際の大きなピンチを奥本が身を投げ出したディフェンスで防ぎ追加点は許さなかったが、0-1のまま試合終了のホイッスル。一部昇格を目指す慶大にとって厳しい結果の開幕戦となった。
神戸でインカレを戦い、下田グラウンドで尚美学園大学に敗れTEAM2018が幕を閉じてから四か月。関東リーグ一部復帰を目指す新チームの開幕戦であった。今季も慶大は伊藤洋平監督の下、ボールを大事にするサッカーを継続していく。今節は、新一年生も二人出場し、フォーメーションも変わったことによる真新しさがあったものの、いまいち自分たちのサッカーを表現しきれなかった印象であった。試合中、伊藤監督はボールを持っていない選手のポジション取りに関しての指示をしきりに行っていたが、試合後にも「覚悟が足りず、パスコースが明らかに少なかった」と語り、選手たちのオフザボールの動きに関して非常に高い水準を求めていることがうかがえた。負けはしたが、このサッカーを貫く上で完成度を高めていくのに時間がかかるのは織り込み済みであろう。”インカレ優勝”という非常に大きな目標を掲げたTEAM2019には、今節の敗戦で下を向いている時間はない。
(記事:柴田航太郎 写真:萬代理人)
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以下、試合後のコメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
明らかに準備不足でした。
――具体的にはどういった点が
やろうとしてるサッカーに対して、覚悟が決まってなかったという感じですね。
――メンタルの面ということか
ポジション自体には価値が無くて、ポジションというのは認識されて発信されなきゃ価値ないと思ってるんですけど、結局このやりたいサッカーに対してパスコースが明らかに少なかったと。覚悟が足りなかったと捉えています。
――初戦を終えての改善点は
次節は相手が違うので難しいんですけど、やっぱりこういったサッカーをやる以上そのポジションに何が求められていて、ボールと関わっていないところで何が出来るかっていうのをもう1回認識しなきゃ行けないとおもってます。
――今季の戦いに向けて意気込みを
またフィールダーからキーパーを出したので、当然ほかのキーパーと同じ土俵で勝負してもしょうがないので、徹底的にボールを大切にするっていうサッカーを貫こうと思ってるので、もちろん失敗はありますしシーズン序盤なんていうのは上手くいくはずがないと思っているので、1年間通して最終的にインカレ優勝するっていうストーリーを皆さんにお見せ出来ればなと思っています。
工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)主将
――今日の試合を振り返って
ホーム開幕ということで勝ちたかったです。しかし、なかなかゴールまで行けず、失点してしまい、不甲斐ない試合でした。
――主将として初めての公式戦でした
背負いすぎず、いつも通りのプレーを心がけました。
――ボランチとして先発しましたが、途中から左ワイドにポジションを移しました
左ワイドに入って、求められたのはスプリントだと思います。積極的に左から攻撃するということだったので、積極的にプレーすることを意識しました。
――次節に向けての意気込み
負け癖をつけたくないので、次節で勝てるように今日の試合で出た課題を克服して、またチーム一丸となって戦っていきたいです。
ブラフ・フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)
――試合を振り返って
初めての慶應での公式戦で最初は結構緊張して思うようなプレーができなかったので、でも周りの選手が自分のプレーに対してカバーしてくれたりそれが最後までもたなくて負けた形だったと思うので、練習からも自分自身からもっと積極的にやらなきゃ行けないと思いました。
――後半は前半に比べて動けていた印象
ハーフタイムで自分でもっといけと言われていたのでそこを意識してやりました。
――左ウィングバックでの出場となった
ウィングバックだとスフィーダでずっとやってた守備も生かせるし攻撃もできるので、すごい自分に合ってるポジションなんじゃないかなと思ってます。
――次戦に向けて意気込みを
絶対に1部昇格できるように自分自身、そして周りのチームの人達とも連携を深めて次節は絶対に勝っていきたいと思います。