4月4日に開催された関東大学女子サッカーリーグ開幕戦。慶大ソッカー部女子のシーズン初ゴールは、主将の右足によってもたらされた。
相手のスピードあふれる攻撃からセットプレーで押し込まれ、苦しい時間帯もあった。慶大守備陣が蹴り出した陣地を回復するボールを前線で幾度となく拾い、キープしたのが、主将の野村亜未(総4・十文字)だった。
スコアレスで迎えた後半。野村はスルーパスに反応すると、相手DFと上手く入れ替わり、キーパーと一対一の大チャンス。キーパーが飛び出してきたタイミングで、右足で滑り込みながらシュートを放った。時間が止まったように、ボールはゆっくりと無人のゴールへと吸い込まれていった。決して野村らしい強烈な一撃ではなかったが、ストライカーとしての技術が詰まった、また主将としての執念が乗ったシュートだった。
試合は終了間際に追いつかれて引き分けに終わったが、野村のゴールはチームに大きな勇気を与えた。
大学入学後、2部での3季で52ものゴールを積み重ねた野村。主将となった今季は、初めての1部の舞台でラストシーズンを戦う。
「みんなが自分の背中を見てプレーするということで、ゴールを決め切らないといけないという責任感もありますし、自分を見て仲間に刺激を与える、原動力になるような存在になれればと思っています」。
左腕に巻いたキャプテンマーク。ユニホームに刻まれた9の背番号。野村にかかる重圧は計り知れない。それら全てを背負い、センターフォワードのポジションでチームの先頭を走る。仲間のために、組織のために、ストライカーの主将として使命を果たす覚悟は、開幕戦のプレーから十二分に感じ取ることができた。
以前、こんな質問をしたことがある。「野村選手にとって、ゴールとはどんなものか」。野村はこう答えた。「ゴールを取って一番嬉しいのは、みんなで抱きついて喜び合う瞬間で、あの瞬間がほんとうに大好きで、あの一瞬のために毎日頑張っていると言っても過言ではないくらい好きなんです。みんなで体を張って守ってつないだボールを、得点という形で喜び合う瞬間が一番好きで、最後に決めたのが私だったとしても、その前にはたくさんの仲間の想いがあって、その想いが一つになったものがゴールだと思います」。
21年以来5季ぶりに、ようやく掴んだ1部の舞台。一筋縄ではいかないことは、開幕戦で決められた終了間際の同点弾で誰もが痛感しているだろう。昨季、2部で13連勝を果たした慶大も、そう易々と白星を挙げることはできない。
だからこそ、何度でも見せてほしい。荒鷲の絶対的ストライカー・野村亜未がゴールを決めて、チームが勝利する光景を。そして、ゴールを決めて仲間と喜び合う、“あの瞬間”を。



(記事:柄澤晃希 写真:柄澤晃希、神谷直樹、奈須龍成)


