【ラグビー】苦渋の敗北も みちのくに咲いたラグビーのレガシー/太陽地所presents弘前ラグビープロジェクト2026 vs早稲田大学

ラグビー

5月10日、みちのくの城下町・青森県弘前市で伝統の〝春早慶〟が開催された。序盤は慶大らしいしぶといディフェンスで奮戦したが、前半11分に早大に先制トライを許すと、じわじわと点差を広げられる苦しい展開となる。後半にHO藤森貴大(経4・慶應)のトライで一矢報いたものの、シーズン開幕から続いていた連勝は2でストップすることとなった。それでも、青空の下に集った約2500人の観衆の心には、早慶両校の伝統、そしてラグビーのレガシーが鮮明に刻まれた。

 

2026年5月10日(日)太陽地所presents弘前ラグビープロジェクト2026 vs早稲田大学 @弘前市運動公園陸上競技場

 

◯慶大 5{0-29,5-34}63 早大●

太陽地所presents弘前ラグビープロジェクト2026

慶應義塾大学

2026/05/10 (日)
13:00 K.O.
@弘前市運動公園陸上競技場

早稲田大学

前半

後半

 

前半

後半

トライ(T)

コンバージョン(G)

ペナルティゴール(PG)

ドロップゴール(DG)

29

34

合計

63

後半16分 藤森(T)

得点者

前半11分 鈴木(T)

前半25分 清水(T)

前半26分 服部(G)

前半31分 清水(T)

前半34分 田中(T)

前半35分 服部(G)

前半37分 植木(T)

後半12分 山下(T)

後半19分 若林(T)

後半26分 山下(T)

後半29分 平山(T)

後半30分 服部(G)

後半42分 藤井(T)

後半43分 服部(G)

後半48分 若林(T)

 

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

井吹 勇吾

175/101

環3

桐蔭学園

2

藤森 貴大

173/102

経4

慶應

3

中谷 太星

180/115

環3

東福岡

4

西野 誠一朗

184/97

法2

桐蔭学園

5

山﨑 太雅

189/107

商2

県立浦和

6

恩田 優一郎

177/100

政4

慶應

7

申 驥世

175/97

文2

桐蔭学園

8

中野 誠章

176/107

文3

桐蔭学園

9

森 航希

170/75

環4

桐蔭学園

10

脇 龍之介

171/83

商3

慶應

11

加藤 旭陽

166/84

政3

慶應志木

12

松田 怜大

174/86

環4

桐蔭学園

13

諸田 章彦

172/82

環3

桐蔭学園

14

草薙 拓海

176/88

政2

桐蔭学園

15

田村 優太郎

174/80

環3

茗溪学園

16

小川 士潤

172/100

経3

慶應

17

浦城 尚生

176/105

商3

慶應

18

キーヴァー ブラッドリー京

182/90

総3

常翔学園

19

トーマス ニコラス パパス

199/106

総2

Anglican Church Grammar School

20

茅 万希司

179/84

環2

慶應

21

岡田 海世

184/92

環2

清真学園

22

本田 李成

180/93

政2

慶應

23

尾関 航輔

166/70

政2

慶應

24

青木 晟時

175/85

経4

本郷

25

横山 卓哉

177/85

総2

報徳学園

26

飯盛 滉之助 

170/84

商3

西南学院

27

西機 大河

176/78

商2

流通経済大学付属柏

28

金谷 悠世

170/76

法2

慶應

 

早稲田大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

杉本 安伊朗

176/105

スポ4

國學院久我山

2

清水 健伸

171/93

スポ4

國學院久我山

3

新井 瑛大

179/105

教育4

大阪桐蔭

4

米倉 翔

181/93

スポ4

修猷館

5

宮川 侑大

191/107

スポ2

砺波

6

久我 真之介

181/94

文構3

早稲田実業

7

牧 錬太郎

174/93

スポ3

桐蔭学園

8

松沼 寛治

177/93

スポ4

東海大仰星

9

大賀 雅仁

170/73

スポ4

桐蔭学園

10

服部 亮太

178/80

スポ3

佐賀工

11

山下 恵士朗

170/71

スポ3

早稲田佐賀

12

島田 隼成

174/77

スポ3

修猷館 / Mt Albert Grammar School

13

名取 凛之輔

172/81

スポ2

大阪桐蔭

14

鈴木 寛大

175/79

スポ4

倉敷

15

植木 太一

173/78

人科3

関東学院六浦

16

田中 健心

173/95

スポ3

桐蔭学園

17

遠藤 直輝

175/98

教育3

早稲田実業

18

平山 風希

180/119

スポ2

大分東明

19

惟村 詠甫

179/94

基理4

桐蔭学園中等

20

笹部 隆毅

189/99

スポ1

東海大相模

21

野島 信太郎

170/84

教育4

東海大仰星

22

山田 凜太

168/81

法4

茗渓学園

23

多田 陽道

182/84

商3

早稲田実業

24

川端 隆馬

162/70

スポ2

大阪桐蔭

25

藤井 雄士

175/90

社学3

札幌山の手

26

森田 倫太朗

168/74

スポ4

報徳学園

27

若林 海翔

174/81

社学2

東海大仰星

28

佐々木 豪正

171/74

文4

早稲田実業

戦評

強風が吹き荒れる中始まった弘前での早慶戦。多くの地元の観客が集まり歓迎ムードのなかで開催された。この日、青森県出身であり、昨季慶大蹴球部の主力として活躍した小舘太進(令8商卒)が特別ゲストとして登場、場内解説を担当した。

特別ゲストとして登場し歓声を浴びる小舘

春季交流大会を2連勝と流れに乗る慶大。今年「日本一運動量の多いチーム」を目指す慶大にとって、いかに我慢強く早大のアタックを食い止め、好機を見いだしていくかが鍵になる。

早大のキックオフから始まった前半。序盤、ラインアウトモールを多用し力強く攻める早大に対し、粘り強いディフェンスでなんとか食い止める慶大との構図になる。前半1分にはテンポの速い早大の攻撃に対し、中野のスティールでペナルティを奪い、思い通りのデイフェンスを早速みせる。

会心のスティールを見せ、吠える中野(中央)

しかし11分、相手のダミーランナーを駆使した攻撃で攻められ、最後は外からのトライで先制点を許してしまう。

12分、早大のラックに対して諸田が果敢に絡みにいくと、相手のペナルティを誘発し、諸田は大きな雄たけびを上げる。

松田(右)のタックルに合わせ、ボールに絡む諸田

15分には早大にゴールライン5m付近まで攻められるも、加藤が渾身のタックルで相手選手をタッチラインへ押し出し、トライを防いだ。今度は17分にも、ゴールライン手前まで押し切られるものの、中野がこの日チーム3本目となるスティールを見せ、失点を防ぐ展開が続く。

しかし、その後は早大のタイトなモールやハイテンポなアタックに対して食い止められず、徐々に点差を離されていく。中盤以降は早大が主導権を握る展開となり、苦しい時間が続く。

反撃に転じたい慶大に40分、チャンスが訪れる。敵陣でペナルティを得ると、タッチへ蹴りだしラインアウトからの攻撃を選択する。密集したモールでゴールラインに近づこうとするも、オブストラクションをとられてしまう。41分には、早大のペナルティからの鋭いランで押し込んでいくも、直後のパスが乱れ攻め切ることができず、そのまま前半終了。前半の間に点差を縮めておきたいところだったが、慶大はミスやペナルティが続き攻めあぐねる形となった。

今季ここまで全試合で先発している森

序盤は粘り強いディフェンスでしのいだものの、中盤から徐々に点差を離され、アタックでもインゴールに迫る機会を多く作れなかった慶大。反撃に転じるべく、ハーフタイムに3枚の交代カードを切った。山﨑に替えてパパスに替えて尾関諸田に替えて横山を投入して巻き返しを図る。

すると42分、自陣でボールを受けた田村がキックフェイントで意表を突いて早稲田の防壁に生まれた僅かな隙間にランを仕掛け、相手を引き付けてから中野にパス。さらに、中野からもう一度リターンパスを受けた田村が再びビッグゲインを見せる。会場解説席の慶大OB・小舘に注目選手として挙げられていた田村のプレーで反撃ののろしを挙げる。

中野(右)からのパスを受けディフェンスラインを突破する田村

47分、敵陣でペナルティを得た慶大はタッチに蹴り出してからのラインアウトを選択。後半最初の得点を奪い、追い上げを見せたいところだったが、強風でラインアウトが乱れ、トライを挙げることはできない。すると、逆に早大のハイテンポなアタックにディフェンスラインを崩され後半最初のトライを献上。点差を広げられる苦しい立ち上がりとなる。

このままでは終われない慶大は15分、逆風を逆手に取った尾関の絶妙なボックスキックで早大のオフサイドを誘発。敵陣深くへの侵入に成功する。

ボックスキックを蹴る尾関

2mに迫る高身長を誇るパパスがしっかりマイボールを確保すると、モールへ移行。しかし、早大の決死のディフェンスもあり、モールで直接グラウンディングすることは難しい状況となった。ここで、最後尾でモールを指揮する藤森がタッチライン側の狭いサイドにボールを持ち出すと、タックラーを弾き飛ばしてインゴール左隅へ飛び込み、渾身のトライを挙げた。

トライを挙げた藤森

昨季、対抗戦でチーム最多の5トライを記録し、ラストイヤーに懸ける4年生HOのトライで早大に食い下がる。

しかしこの直後、早大のキックオフからのアタックで再びトライを奪われ、なかなか点差が縮まらない。

前半より更に風が強まった中で風下側の陣地に回った慶大は、陣地回復を試みても飛距離が伸びない。逆に敵陣までボールを送り込んでも、大学ラグビー界屈指の飛距離を持つ早大SO服部亮太(スポ3・佐賀工)のキックが追い風に乗るため、簡単にエリアを奪い返され、自陣に押し込まれる時間帯が続く。

65分には途中投入のキーヴァーが自陣インゴールで相手のグラウンディングを許さずヘルドボールを誘うも、直後のインゴールドロップアウトが強風に押し戻されると、二次攻撃からインゴールを明け渡す。風がもたらした影響は甚大だった。

相手に向かっていくキーヴァー

この後もじわじわと点差を離され、最終的には5-63というスコアでノーサイドを迎えた。春季交流大会開幕から危なげない2連勝でスタートダッシュに成功し、良い流れで迎えた春の早慶戦だったが、苦渋の大敗となった。それでも、目標である「日本一」を成し遂げるため〝打倒赤黒〟は至上命題だ。本番である秋の対抗戦、そして冬の大学選手権でリベンジを果たすため、蹴球部の「ALL IN」は更に加速していく。

史上初めて青森県で開催されたラグビー早慶戦は、約2500人の観客が詰めかける大盛況となった。試合前には地元のラグビーチーム「弘前サクラオーバルズ」によるハカの披露や、タマ伸也氏による歌唱パフォーマンスで会場全体を熱気に包み込んだ。プレー中も慶大ファン、早大ファン、初めてラグビーを観る人の全員にリーチする場内向け解説が試合を彩った。

ラグビーのレガシーを継承していく上で、早慶戦という伝統の一戦が持つ役割は大きい。これからも、両校の熱い戦いが日本ラグビー界全体をけん引していくことだろう。

 
選手インタビュー

♢恩田優一郎(政4・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

自分たちがやりたいことができなかった試合だったと思います。できていた時間が全くなかったとも思いませんが、それを貫き通せなかったし、貫き通せなくなった瞬間に自分たちが崩れてしまいました。点差にも現れていますし、あまりラグビーに詳しくない観客の方にも伝わるくらい崩れてしまったので、自分たちの足りていない部分を痛感しました。

ーーディフェンス時にペナルティが多くなった要因は

早稲田の速い展開ラグビーに対してタックラーだけでなくて、2人目が接点に入っていって、ラックを長引かせることでディフェンスラインを整える時間を作るということにフォーカスしていました。しかし、試合ではそれが全然できておらず、自分たちが後手に回ってしまったことがペナルティの多さに繋がってしまったと思います。

ーー今季初スタメンとなったが、試合に臨む上で意識したこと

主将として試合にスタートから出るということに責任感を感じていましたし、自分が1番体を張るという気持ちで試合に臨みました。

ーー次戦・明大戦に向けての意気込み

春シーズンは1試合ごとに一喜一憂するのではなく、春シーズンを通して自分たちがどれだけ成長できるかが大事だと思っています。今日の試合で出た課題を1つずつ潰して、前年度のチャンピオンチームである明治大学にチャレンジしていきたいと思います。

 

♢トーマスニコラスパパス(総2・Anglican Church Grammar School)

ーー今日の試合を振り返って

今日の試合はとてもタフな試合でした。早稲田はとても上手くプレーしていました。我々もハードワークしましたが、相手はタックルでもキャリーでも強くファイトしてきましたし、テンポの速いラグビーを展開してきました。今日の彼らのプレーには脱帽です。その上で私たちに必要なことは、ベーシックスキルを磨き続けることだと思います。練習を続けていけば、秋の公式戦で彼らを相手に実力を証明できると信じています。今日は早稲田を称えたいと思います。

ーー初めての早慶戦の感想

とてもエキサイティングでした。会場の設備や雰囲気など、全てのものに感銘を受けました。日本に来て以降ということではなく、今までの人生でプレーした全ての試合の中で最も大規模な試合でした。このジャージに袖を通してグラウンドに立つことに誇りを感じましたし、ファンの方々の声援を聞くことが出来たことも嬉しかったです。

ーー後半開始からの投入となったが、どのような気持ちでグラウンドに向かったか

途中交代の選手はチームにエネルギーをもたらさなければいけないので、インパクトを与えて、チームを押し上げようと思ってグラウンドに向かいました。

ーー次戦・明大戦に向けて

今日の出来事を忘れて切り替えるのではなく、今日の試合を土台として、強いマインドセットを持って、1週間ベーシックスキルの部分で良い準備をしていければと思います。明治もとても強いチームなので、試合ができることにわくわくしています。

(取材/記事:神谷直樹、髙木謙 記事:水野翔馬)

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