7月12日、青空晴れ渡る慶大日吉グラウンドで、第59回ラグビー祭が開催された。現役部員、OB、一貫校の選手たちが一堂に会し、綱引き大会、バーベキューなどを通し親交を深めた。また、ブラインドラグビー体験会も行われ、同種目で日本代表の主将を務める原聡氏が競技の魅力を発信した。
開会式の挨拶には、青貫浩之監督(平19総卒)と4年生のリーダー陣が登壇。青貫監督は「小学校から大学まで一堂に会して集まることができるのは慶應ならでは」とこのイベントの重要性を語り、恩田優一郎(政4・慶應)主将は「自分がチームの中で1番成長することで、チームのまとまりを生み、目標の『日本一』に向けて邁進したい」と抱負を述べた。

恩田主将(手前)と青貫監督
笠原悠真(政4・慶應)副将は「ラグビー人生16年のラストイヤーを塾蹴球部の副将として過ごせることを光栄に思う」と話し、坊碧人(環4・慶應)主務は「マネージャーとして、選手が全力にラグビーに打ち込める環境をサポートしていきたい」とした。

坊主務(左)と笠原副将
BKリーダーの松田怜大(環4・桐蔭学園)は「ディフェンスの面でバックスを引っ張っていくリーダーを目指す」と力強く語り、Jrリーダーの石野創太郎(理4・川和)は「『日本一』という目標に向けて、Jrチームからチーム全体をプッシュしていきたい」と話した。

左から、石野Jrリーダー、松田BKリーダー、坊主務
学生FWコーチの土橋亮介(商4・慶應志木)は「セットピースが安定し、得点力も併せ持つ力強いFWを作るため、山中湖、菅平の合宿でしっかりと鍛え上げたい」と話し、学生BKコーチの勝又菖(法4・慶應)は「『勝ち切るBK』を作り上げ、幼稚舎ラグビースクールから16年間お世話になった慶應ラグビーに恩返しができるよう尽力する」とコメントした。

勝又BKコーチ(左)、土橋FWコーチ
開会式終了後には、ブラインドラグビー体験会が行われた。ブラインドラグビーは、視覚障害者向けに考案されたラグビーであり、音や声によるコミュニケーションを中心にプレーするスポーツだ。7人制で、グラウンドの広さは縦70メートル、横50メートル。試合時間は前後半各7分30秒で行われる。安全性に配慮しタックルはなく、ボールキャリアーが両手でタッチされるとボールを地面に置き、ディフェンスは5メートル下がってプレーが再開される。ボールには鈴が入っており、音で場所がわかりやすいようになっている。

指導にあたるブラインドラグビー日本代表主将・原聡氏
今回の体験会では、参加者は視覚障害者体験用ゴーグルを着用してプレーした。ゴーグルには、視界がぼやけて距離感がつかみにくくなるものや、小さな穴からしか周囲を見ることができないものなどがあり、装着直後はパスキャッチすらままならない状況だった。しかし、コーチから「音を点ではなく線にする」というアドバイスを受け、パスを受ける選手が一度では無く何度も手を鳴らし続けながら動くことで、音の動きからパスを出すべき位置が分かるようになり、徐々に正確にパスが通るようになった。視覚に頼らないからこそ、仲間とのコミュニケーションの取り方や互いの見え方を意識してプレーすることの難しさと奥深さを実感する体験となった。

その後、新入生による自己紹介が行われた。新入生たちは、名前や出身校、ポジションに加え、今後の目標や意気込みを一人ひとり発表し、自身について紹介した。
緊張した様子を見せながらも、真剣な表情で言葉を紡ぐ新入生たち。OBや保護者は、その言葉に耳を傾け、それぞれの個性や4年間に懸ける思いを知る機会となった。

自己紹介では、それぞれの個性が光る場面も見られた。分析兼レフェリーの長内槙治(商1・立命館慶祥)は、「4年間チームに貢献するとともに、ここにいらっしゃる皆さんが4年後、私の顔を見て名前を思い出してもらえるようなビッグな男になりたいと思います」と力強く抱負を語った。

抱負を述べる長内
また、福富陽(政1・慶應)は「スムーズに行きすぎているので、一発ギャグをします」と宣言し、渾身の一発ギャグを披露。会場は温かな笑いに包まれた。

会場を沸かせた福富
今回の自己紹介は、新入生にとって自身を知ってもらう場であるとともに、今後の活動への第一歩となった。それぞれが抱く目標を胸に歩み始めた新入生たちの、これからの活躍に期待がかかる。
その後、綱引き大会やOBによるタッチフット大会、クジの抽選発表なども行われ、会場は大いに盛り上がりを見せた。



昼になると、中庭でバーベキューが始まった。蹴球部員たちは自ら肉を焼き、OBや付属校の生徒たちに振る舞った。
談笑を交えながら美味しそうに頬張る姿が見られ、和やかな雰囲気に包まれていた。

また、学生寮の食堂ではカレーも振る舞われ、何度もおかわりをする部員の姿も見られるなど、活気あふれるひとときとなった。

閉会式では、部員一同で部歌を斉唱し、一体感に包まれながら締めくくられた。
新入生の門出を祝い、OBや保護者、部員が交流を深めたラグビー祭。慶應蹴球部の伝統を感じる一日となり、新たなシーズンへの期待を膨らませるものとなった。

--本日の体験会を振り返って
ラグビー経験者が多かったと思うんですけど、ブラインドラグビーは知らない人は多かったので、ブラインラグビーを知ってもらえたのが良かったのと、みんな最初はどうやってやるのっていう感じで不思議な感じだったんですけど、実際こう弱視ゴーグル(視覚障害を体験できるメガネ)を着用してやることやって、視覚障害者ってこういった感覚なんだと理解が深まることによって、それもプレーにどんどん反映できました。また、時間を追うごとにどんどんプレーも良くなってきて、結果的にみんなが声を出してコミュニケーションを取りながらプレーできるようになったので、すごくいい経験になったと思いますし、僕もやってよかったなと思いました。
--原主将がブラインドラグビーを始めたきっかけ
2019年にイングランドのチームが日本に来るよっていうのが決まって、日本代表を作りましょうっていう話があったんですね。そんな中で埼玉の方で体験会があって、その情報をニュースかラジオかで聞いたんです。もともと何か視覚障害者のスポーツをやりたいなと思っていたので、そこに連絡を取って行ったっていうのがきっかけですね。 もともと小学校から社会人までハンドボールをやっていました。視覚障害だったので視覚障害者のスポーツはないかなと思って探したっていう感じですね。
--ブラインドラグビーの魅力は
ブラインドラグビーは他の視覚障害者スポーツと違って、自分の持ってる視野とか視力でできるっていうのがすごく魅力あるですね。他の視覚障害者スポーツは基本的にアイマスクやアイシェイドっていう目隠しを着用します。そういったスポーツが多い中で、自分の持ってる能力を発揮できる。さらにボールを空中でパスやキャッチをしながら走ることができる。 それがとても面白いです。あと、チームで1つのプレーを頑張ってトライを取った時っていうのがとても気持ちいいので、それがすごく楽しいです。
-- 今後のブラインドラグビーについて
まずは今年の 11月に東京駒沢で世界大会があるので、そこで優勝することと、まだまだ競技人口は少ないので、その中でどんどん競技人口を増やしていって、もっと世界大会を開催できるようになりたいなと思っています。
(取材/記事:浅井外熙、奈須龍成 記事:髙木謙)

