日に日に暑さが強まる7月19日、慶大日吉グラウンドで第100回東京大学定期戦が行われた。酷暑にも関わらず多くの観客が詰めかけた中、慶大は序盤から試合の主導権を掌握。メモリアルマッチを71-7の快勝で飾り、春シーズンを完走した。また、試合後には両校OBも参加するアフターマッチファンクションが開催され、チーム、そして世代の壁を越えた交流が行われた。
2026年7月19日(日)第100回東京大学定期戦 vs東京大学 @慶大日吉グラウンド
◯慶大 71{35-0,36-7}7 東大●
第100回東京大学定期戦 | ||||
慶應義塾大学 | 2026/07/19(日) | 東京大学 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
5 | 6 | トライ(T) | 0 | 1 |
5 | 3 | コンバージョン(G) | 0 | 1 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
35 | 36 | 計 | 0 | 7 |
71 | 合計 | 7 | ||
2分 青木(T) 3分 青木(G) 13分 安藤(T) 14分 青木(G) 20分 西本(T) 21分 青木(G) 29分 寒川(T) 30分 青木(G) 36分 石野(T) 37分 青木(G) 47分 平田(T) 47分 青木(G) 51分 木内(T)
62分 弓田(T) 63分 青木(G) 66分 木内(T) 78分 寒川(T) 84分 遠藤(T) 85分 石野(G) | 得点者 |
55分 武村(T) 56分 武村(G) | ||
慶應義塾大学 | ||||
先発 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 寒川 太来登 | 175/89 | 商1 | 慶應 |
2 | 安藤 佑真 | 174/96 | 政2 | 慶應志木 |
3 | 海老原 亮大 | 178/102 | 政1 | 慶應 |
4 | 千北 武典 | 175/93 | 経3 | 慶應 |
5 | 仁尾 天亮 | 177/93 | 商3 | 慶應 |
6 | 弓田 孝太郎 | 177/88 | 商1 | 慶應 |
7 | 平田シャニョン 武郎 | 183/82 | 総1 | 目黒学院 |
8 | 安楽 勇輝 | 172/80 | 商3 | 慶應 |
9 | 山上 賢洋 | 166/73 | 文2 | 桐蔭学園 |
10 | 青木 晟時 | 175/85 | 経4 | 本郷 |
11 | 石野 創太郎 | 171/80 | 理4 | 川和 |
12 | 飯盛 滉之助 | 170/84 | 商3 | 西南学院 |
13 | 奥田 侃 | 178/84 | 商1 | 茗渓学園 |
14 | 木内 悠佑 | 169/77 | 経3 | 慶應 |
15 | 西本 友哉 | 184/85 | 法1 | 桐蔭学園 |
リザーブ | ||||
16 | 玉塚 雄大 | 177/102 | 経2 | 慶應 |
17 | 鈴木 将智世 | 173/97 | 法4 | 慶應 |
18 | 湯口 竜迅 | 170/97 | 文2 | 鎌倉学園 |
19 | 野口 寛耀 | 171/85 | 文3 | 名古屋 |
20 | 遠藤 太陽 | 174/90 | 経2 | 慶應 |
21 | 藤井 太郎 | 171/68 | 経1 | 慶應 |
22 | 吉田 千洋 | 179/82 | 理4 | 徳島県立城東 |
23 | 水澤 鉄平 | 178/73 | 商1 | 修猷館 |
東京大学 | ||||
先発 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 鵜木 幸大 | 176/103 | 経4 | ラ・サール |
2 | 亀井 亮衛 | 168/83 | 理Ⅱ2 | 浅野 |
3 | 原田 皓生 | 173/91 | 農3 | 仙台二華 |
4 | 勝村 英太 | 185/90 | 経4 | 駒場東邦 |
5 | 三上 昭文 | 185/113 | 教養3 | 麻布 |
6 | 和田 裕太朗 | 173/83 | 文4 | 市川 |
7 | 石井 浩貴 | 170/74 | 文Ⅲ1 | 浦和 |
8 | 目黒 麟太郎 | 173/71 | 理Ⅰ3 | 秋田 |
9 | 佐藤 琉海 | 167/72 | 工4 | 修猷館 |
10 | 湊 大樹 | 168/77 | 理Ⅰ3 | 明和 |
11 | 立花 幸樹 | 172/77 | 工4 | 駒場東邦 |
12 | 織田 大夢 | 178/80 | 理Ⅰ2 | 駒場東邦 |
13 | 武村 晋 | 182/90 | 経4 | 灘 |
14 | 久代 凌士 | 176/84 | 法Ⅰ3 | 清風学園 |
15 | 中野 颯志 | 179/85 | 理Ⅱ2 | 国立 |
リザーブ | ||||
16 | 山本 颯一郎 | 170/65 | 文Ⅱ1 | 久留米大附 |
17 | 百瀬 海 | 171/85 | 法4 | 国立 |
18 | 川口 一彰 | 173/85 | 文Ⅱ2 | 旭丘 |
19 | 須藤 哲之介 | 174/80 | 文Ⅱ2 | 駒場東邦 |
20 | 山本 歴児 | 170/68 | 理Ⅰ1 | 北野 |
21 | 森保 敬 | 168/71 | 文Ⅲ2 | 長崎東 |
22 | 高橋 陽之 | 166/68 | 文Ⅲ1 | 清真学園 |
23 | 池田 琥士郎 | 166/71 | 理3 | 旭丘 |
期末試験期間を目前に控え、普段より少し緊張感の漂う日吉の街に、「西瓜ジャージ」を身にまとった戦士たちが乗り込んできた。例年、東京大学との定期戦は8月の山中湖合宿の最中に行われてきたが、第100回目のメモリアルゲームとなる今年は、慶大の本拠地・日吉グラウンドで開催されることとなった。最高気温32.7度という酷暑にも関わらず、歴史的な瞬間を見届けようと多くの両校OBがスタンドを埋め尽くした中、慶大のキックオフで試合が始まる。
開始直後の2分、敵陣で得たマイボールスクラムを起点に青木がトライを挙げ、自らコンバージョンも沈めて慶大が先制に成功する。

青木のトライで先制
東大ボールのキックオフで再開後、自陣でスローフォワードを取られピンチを迎えるが、相手ボールスクラムに圧力をかけ相手のノックフォワードを誘うと、直後のマイボールスクラムでコラプシングを奪い、FW陣の奮闘で主導権を渡さない。
すると13分、敵陣で得たラインアウトからモールを形成してインゴールに接近すると、最後はモールから安藤が持ち出してトライ。点差を14点に拡大する。

インゴールに飛び込む安藤
再開直後、積極的なパス回しでサイドからの突破を試みた東大に対し、最後の砦・FB西本が鋭いタックルでボールホルダーをタッチの外にはじき出し、ピンチの芽を摘む。さらに17分には平田がビッグゲインを見せてチャンスを作り、試合を支配する。

西本のタックルでピンチを脱出
この流れから20分、サイドを突破した西本がインゴールを陥れて追加点。さらに29分、PR寒川が元バックローならではの機動力を見せ、密集を突破してトライ。この試合で初めて黒黄ジャージに袖を通したルーキーたちが躍動し、東大を突き放す。

ディフェンスラインを突破する寒川
一方、ラストイヤーに賭ける4年生の活躍も目立った。前半終了間際の36分には、ゲームキャプテン・石野がトライ。さらに青木がこの日5本目コンバージョンを沈め、前半のキック成功率を100%とした。対抗戦Bグループに所属する東大に対し、終始隙のない完璧な試合運びを見せ、35-0で試合を折り返す。

コンバージョンを沈める青木
後半に入ってからも、慶大は積極的に攻撃を仕掛け、試合の主導権を握る。7分、平田が鮮やかにトライを奪うと、青木が確実にコンバージョンキックを沈めて好発進を見せる。続く11分には、空いたスペースを上手く活用し、最後は木内がトライを決めてリードを広げた。

力強いゲインが持ち味の平田

木内が相手を振り切りトライ
しかし、ここから東大に攻め込まれる展開が続く。東大にボールを支配される時間が長くなり、自陣深くまで攻め込まれる苦しい展開を強いられる。すると15分に東大の猛攻に屈しトライを献上し、点差を詰められる。
嫌な流れを断ち切りたい慶大は、ここから再び攻撃のフェーズを積み重ねていく。22分、弓田が力強くトライを奪うと、青木が再びゴールを成功させて突き放す。

ランを仕掛ける弓田
26分には、鈴木が東大の堅いディフェンスを突破し、外のスペースへとボールを展開。最後は木内がこの日自身2本目となるトライを決め、攻撃の勢いを加速させた。

4年生・鈴木が突破口を開く

この日2トライを挙げた木内
終盤に入っても慶大の攻撃の手は緩まない。38分、相手のペナルティーからクイックスタートで素早く試合を再開すると、その勢いのまま寒川が東大のディフェンスラインを完全に突破し、この日自身2本目のトライを記録。

ルーキー・寒川も2トライ
さらに終了間際の44分には、ゴール前でのラインアウトモールから細かいパス回しを見せ、最後は遠藤がインゴールへと飛び込み、石野もコンバージョンゴールをしっかりと成功させた。

今季のスローガン「ALL IN」を背にキックを蹴る石野
第100回という節目を迎えた伝統ある東京大学との定期戦は、71-7と慶大が東大を圧倒する形でノーサイドを迎えることとなった。
♢石野創太郎(理4・川和)

――今日の試合を振り返って
まずしっかり大事な試合で勝ち切れたことを嬉しく思いますし、このジャージを着てみんなでチャレンジして勝ち切ることがこんなに嬉しいことなんだと再認識できて。
秋以降も自分から率先してキツいことをして、またみんなで勝って笑いたいなと思いました。
――ゲームキャプテンとして100回目の定期戦に臨んだが、意識したことは
本当に伝統のある100回続いた、100年続いた試合なので、ここは自分がしっかりエフォートして、チャレンジして、このジャージを着るに恥じないプレイをしようと思っていました。
――今日の試合勝利の要因は
この東大戦をターゲットに2週間かけて、ずっとセレクションマッチをしたり、練習でメンバー決めをする際には対人でしっかり(練習を)やってきたので。それから、フォーカスをやり遂げられたことも(要因の)1つかなと思います。先週も一橋戦があったんですが、そこから二週間続けて「エクスキュージョン」というテーマでやってきていて。それは「実行」とか「要所で自分たちで流れを掴む」という意味なんですけど、そういうテーマの下で、キツい時でもしっかりやり切るということを全員で意識していたので、練習でやってきたことが試合でも出たなという印象です。
――夏合宿に向けて意気込みを
このジャージを着て勝つことは特別なことですし、とても嬉しいので、秋にもみんなでこのジャージを着て笑えるように、しっかり自分が一番努力して、一番キツいことをやって、一番成長して行きたいと思います。
♢青木晟時(経4・本郷)

――今日の試合を振り返って
ジュニアグレードは東大戦をターゲットにずっと頑張ってきて。チームとして「セットスピード」と「アーリートーク」というフォーカスを置いていたので、そこの部分で全員しっかり同じ目標を持てたのが良かったかなと思います。
――開始早々初トライを決めた感想は
僕は一貫性のあるプレイをするというのが課題だったので、最初に良い形で入れたのは自分にとってとても良かったかなと思っています。
――コンバージョンキックを蹴る上で意識していることは
ずっとヘッドコーチの和田拓さんから言われている、3歩前に重心移動をするというのを今日ずっと意識していて。それがうまくいって良かったなと思っています。
――100回目の定期戦へどう臨んだのか
伝統ある試合、それから夏合宿前最後の試合で僕自身も復帰戦ということもあって、この一試合でしっかりアピールしてシニアに上がるというのと、ジュニアグレードとして試合に出られなかった他の仲間の分もしっかり勝ち切る、ということを意識していました。
――夏合宿に向けて意気込みを
山中湖合宿が終わったら菅平合宿で、二つのチームに分かれるので、しっかり菅平メンバーに入れるように、個人としても四年生としても頑張って行きたいというように思っています!

この試合に出場した4年生部員たちと、同じく4年の勝又BKコーチ(右から2番目)
左から、石野、鈴木、青木、勝又、吉田千。
試合後、日吉キャンパスのファカルティラウンジで、現役選手とOBが参加するアフターマッチファンクションが行われた。慶應義塾體育會蹴球部黒黄会の川上純一会長による開会の挨拶、そして東京大学ラグビー倶楽部の東明彦会長による乾杯の挨拶の後、両校の選手・OBはノーサイドの精神にのっとり、チーム、そして世代の壁を越えて親交を深めた。


その後、アフターマッチファンクション恒例のマッチレビューが行われた。まず、この試合のレフリーを務めた田中寛也氏が試合を振り返り「両チームともフェアにプレーし、100回目にふさわしい好ゲームだった」と振り返った。次に、東大ラグビー部の川出宗一郎監督は「春季取り組んできたディフェンスの成果を見せたかったが、タックルでもブレイクダウンでも慶應さんの方が強かった。夏合宿を経て、東大も慶應ももう1段強くなって、秋にお互い目標を達成できれば」と話した。続いて、慶大蹴球部の青貫浩之監督は「絶対に勝ち切るという意識で臨んだ結果、春季ベストゲームができたのかなと思う。本来我々がやらなければならない低いタックル、愚直なプレーを東大さんに勉強させていただいた」と、手応えと感謝を述べた。

試合を振り返る青貫監督
東大ラグビー部の鵜木幸大主将(経4・ラ・サール)は「敵陣でプレーする時間こそ多かったが、ゴール前のディフェンスに圧倒され、トライを取り切れずにカウンターでやられるシーンも多々あった。得点を取り切る部分を徹底し、秋の入替戦出場に向けて頑張っていきたい」と語った。
慶大蹴球部第127代主将・恩田優一郎(政4・慶應)は「東大さんの低く粘り強いタックルやブレイクダウン周りの激しいボールキャリーやられてしまった」と振り返り、「自分自身100回目の定期戦に巡り合えたことが誇らしく、これからもお互いのプライドをぶつけ合えるような関係でありたいと思っている」と両校の末長い交流を願った。

試合出場はなかった恩田主将もアフターマッチファンクションに参加
最後に、ペナント交換と両校の部歌斉唱が行われ、記念すべき第100回目の東京大学定期戦は幕を閉じた。

慶大・恩田主将(左)と東大・鵜木主将によるペナント交換
(取材/記事:髙木謙、髙山絵恋、中島冬奈)


