10月17日(土)、第103回箱根駅伝予選会が立川・昭和記念公園周辺にて開催された。駅伝主将・安田陸人(商4・開成)のもとで、新戦力と共に33年ぶりの本選出場を目指した慶大。成沢翔英(環4・山梨学院)が全体27位(日本人18位)となる快走を見せるも、チームとしての総合力で一歩及ばず、昨年と同様の総合30位で本選出場を逃した。
〈総合結果〉
| 総合順位 | 大学名 | 記録 |
|---|---|---|
| 1位 | 東洋大学 | 10時間31分30秒 |
| 2位 | 中央学院大学 | 10時間33分31秒 |
| 3位 | 東海大学 | 10時間33分41秒 |
| 4位 | 専修大学 | 10時間33分42秒 |
| 5位 | 東京農業大学 | 10時間34分33秒 |
| 6位 | 山梨学院大学 | 10時間35分18秒 |
| 7位 | 大東文化大学 | 10時間35分23秒 |
| 8位 | 神奈川大学 | 10時間36分48秒 |
| 9位 | 日本体育大学 | 10時間39分52秒 |
| 10位 | 法政大学 | 10時間40分08秒 |
| ――― | ―――――― | ―――――― |
| 30位 | 慶應義塾大学 | 11時間06分52秒 |
〈個人結果〉
| 全体順位 | 選手名 | 記録 |
|---|---|---|
| 27位 | 成沢翔英 | 1時間02分48秒(PB・塾歴代2位) |
| 227位 | 石野日向 | 1時間05分30秒(PB) |
| 254位 | 弓田一徹 | 1時間05分58秒 |
| 277位 | 田口涼太 | 1時間06分17秒 |
| 286位 | 芦野清志郎 | 1時間06分25秒 |
| 309位 | 安田陸人 | 1時間06分43秒(PB) |
| 312位 | 杉森星彦 | 1時間06分44秒 |
| 371位 | クリントン・レマション | 1時間08分31秒 |
| 378位 | 村松駿平 | 1時間08分49秒 |
| 388位 | 渡邊航成 | 1時間09分07秒 |
| ――― | ―――――― | ――――――― |
| 390位 | 松波一翔 | 1時間09分17秒(PB) |
| 416位 | 稲生健人 | 1時間10分14秒 |
※予選会では上位10人の記録を合計し、その大学の総合記録を出す
※成沢選手の学年は、競走部での扱いに合わせて4年生と表記しています。大学・関東学連の登録上は3年生です。
年に1度の夢舞台、箱根路を夢見る青年たちが今年も立川の地に集結した。予選会開始直前の午前8時時点の気温は17.8℃と、高速レースとなった昨年とほぼ同じ気温となり、好記録への期待が高まった。一方、直射日光の強さや風がレースに与える影響が気になる状況であった。

立川駅前ののぼり
当日の出走メンバーには駅伝主将の安田陸人(商4・開成)や昨年チームトップのタイムを叩き出した田口涼太(政3・慶應志木)、2年ぶりの予選会復帰となった中距離ブロックの異端児・成沢翔英(環4・山梨学院)や競走部初の留学生ランナーのロソ・クリントン・レマション(環1・M-pesa Foundation Academy)らがエントリー。緊張感が漂う中、午前8時30分の号砲を迎えた。

安田陸人(商4・開成)
風の影響もあり、先頭の5キロ通過は14分42秒と、前回大会の14分24秒に比べるとスローペースとなった。しかし、成沢と安田は14分台で5キロ地点を通過し、日本人トップからわずか10秒ほど後方でレースを進める展開となった。

ロソ・クリントン・レマション(環1・M-pesa Foundation Academy)

杉森星彦(理4・県立中央)
その後方では、石野日向(商3・県立横浜国際)、田口、クリントン、芦野清志郎(理4・高田)、杉森星彦(理4・県立中央)、弓田一徹(環3・法政二高)らが15分20秒前後のラップを刻み、さらに村松駿平(総2・法政二高)、渡邊航成(総1・東海大相模)、稲生健人(経4・慶應)らが5キロを15分50秒前後で、松波一翔(環2・桐蔭)が5キロを16分20秒ほどで通過し、後方でレースを進めるという隊列となった。

村松駿平(総2・法政二高)

渡邊航成(総1・東海大相模)

稲生健人(経4・慶應)
10キロ地点で成沢は5キロごとのラップタイムを4秒縮めたものの、トップ集団もさらにタイムを縮めたため、少し位置を下げ、日本人トップから40秒ほど後方でレースを進める。5キロ地点で日本人トップとさほど離れていなかった安田は、大幅にペースを落とし、日本人トップから1分30秒以上離されてしまったものの、チーム内では4番手とした。田口、芦野、弓田らもペースを維持して中盤につけた。10キロ地点で、チーム内において2番手となったのが石野である。1年間練習をしっかりとこなしてきた成果が垣間見れた。

成沢翔英(環4・山梨学院)
10キロ地点の順位速報では、慶大は上位20校圏外。それでも成沢は、公園内に入っても好調を維持した。15~20kmをこの日自身最速の14分48秒で駆け抜ける。

石野日向(商3・県立横浜国際)

弓田一徹(環3・法政二高)

芦野清志郎(理4・高田)

松波一翔(環2・桐蔭)
石野と弓田の3年生コンビも粘りを見せ、少しタイムを落としたとはいえ、同区間をそれぞれ15分53秒、15分57秒で走った。一方、安田と芦野の4年生コンビは苦しい走りに。15~20kmのタイムは、最初の5kmと比べて安田が1分26秒、芦野が54秒遅くなった。昨年チームトップの田口も同区間は16分19秒と、最初の5kmから1分以上ペースを落とした。成沢らが前方で健闘する一方、チームとしては厳しい展開が続く。

成沢は個人27位で学連入りを掴み取った
終始日本人3番手集団の中で激走を見せていた成沢は、最後までそのペースを落とすことなく、並いる強豪校の選手たちに交じって62分48秒/個人全体27位でフィニッシュ。「異端」とも呼ばれたケニアでの武者修行の成果を目に見える形で証明してみせた。

石野はチーム2番手でフィニッシュ

田口涼太(政3・慶應志木)の腕には「キメたれ!!」の文字
そして、成沢に次ぐチーム内2番手でフィニッシュしたのが石野だ。湿度が高くコンディションの厳しい公園内でも淡々とそのペースを刻み続け、PBを更新する走りでこの1年間積み重ねてきた練習の成果を発揮した。また、チーム内3・4番手には弓田と田口が入り、3年生ラインが確かな存在感を放った。その一方で、駅伝主将の安田や、20km地点までは弓田と競っていた芦野など、主力となる4年生の失速が目立つ展開ともなった。
レースを終わって振り返ってみれば、慶大の最終順位は昨年同様、総合30位であった。10位で本選出場を決めた法政大学とのタイム差は約27分と、一見するとその差は昨年より縮まったように感じる。しかし、依然として本選への切符を勝ち取るにはまだまだ隔たりがある現状を、改めて再認識させられる結果となった。
昨年の結果との大きな違いは、やはり成沢の快走だろう。予選会敗退校から構成される関東学生連合チームに、個人枠の1番手として成沢が選出された。強豪校のエースたちとも互角以上に渡り合った彼の結果を以てしても順位が昨年と同様だったという点に、今年度の長距離ブロックの課題が顕著に出ているように感じる。主力として活躍する選手たちに食らいつける人材をどのように育成していくのか、そして選手層の薄さを如何にカバーしていくのかが、慶大がこの先さらなる飛躍を遂げられるかの大きな分水嶺となっていくのではないだろうか。

今年出走した1年の渡邊
この2年間、エースとして、そして主将としてチームを導いてきた安田をはじめ、出走メンバーのうち4人が来年はチームを離れる。現在の長距離ブロックの人数を鑑みても、1年生の台頭が待ち望まれる状況である。
来年は「慶應箱根駅伝プロジェクト」の指導から10年の節目の年を迎える。それと同時に、予選会の制度変更に伴い、予選会から本選へと進む学校数が増える。来年の予選会で、長く続いた冬の時代を終え、遂に本選への扉を開くことが出来るのか。華々しい新春の舞台を夢見て散っていった若人たちに最大級の敬意を込めて、そして未来への希望の片鱗を胸に抱いて。これからも、「陸の王者・慶應」の箱根路を懸けた旅の歩みは続いていく。
選手・コーチからのコメント

レース後には涙も見せていた安田
今年は30位という結果で、昨年と同じ順位となりました。ただ中距離ブロックの成沢(=成沢翔英 環4・山梨学院)が日本人11位で帰ってきて、関東学生連合に選ばれました。 個人的には「成沢に絶対負けないぞ」という思いで、ブロック長としての意地を見せて、自分が箱根路を駆け抜けて、後輩たちに結果で示し、支えてくださった皆様に恩返しをしたいと思っておりました。ですが、レースが始まると、自分の体が思った以上に動かず、その現実に苦しみながらも、皆さんの沿道からの声援のおかげで、最後まで自分の足を進めることができました。
この5年間、毎回予選会には嫌われていて、今日もスタートラインに立つまで本当に何があるかわからないという心境で、非常に怖い5年間でした。ただ、来年の1月2日、3日を走りたいという思いから、そしてOB総会などでいただいた「安田が走っている姿を見たい」という皆様のお言葉に少しでも応えたいという思いから、この日まで突っ走ることができました。
今年の予選会は何の痛みもなく、スタートラインに立つことができました。皆さんのサポートのおかげだと感じています。だからこそ、チーム内6位という無惨な結果で終わったことを本当に申し訳なく思っています。僕の挑戦はこれで終わりとなりますが、後輩たちはこれから先、しっかりと新しいチームを引っ張って、ゆくゆくは必ず箱根に僕らを連れていってくれると信じています。僕もこれからはOBとして全力でこの慶應競走部をサポートして、競走部がより発展していく未来を作っていきたいと思っています。
ここにいる15人は箱根を全く諦めていませんし、来年以降も箱根駅伝の挑戦を見据えて、何度でも立ち上がってくれると信じています。チームとしては不甲斐ない結果になってしまいましたが、本選での成沢の走りを見て、もう1度長距離ブロックとして奮起して、来年の予選会では笑って終われるように、僕が卒業するまでの間で残せるものをすべて残したいと思っています。そして来年は見る側の立場として、一緒に「若き血」を歌って喜びたいと思っています。
本当にたくさんの経験をさせてもらった5年間でした。 苦しいことの方が多かったのですが、皆さんが応援してくれることが僕にとってはかけがえのない時間でした。本当にありがとうございました。
今年も朝早くからご声援をくださり、ありがとうございました。部員の皆さんも朝早くから来ていただき、ありがとうございました。 結果は総合30位、11時間6分52秒となり、なかなか昨年(30位)、一昨年(29位)の順位を超えることができず、悔しい思いをしています。
今年は、中距離ブロックに所属している成沢(=成沢翔英 環4・山梨学院)が、「予選会を走りたい」ということで、予選会に合流してくれて、62分台で走ってくれました。成沢がいなかったらなかなか辛い現状だったと思うので、成沢がいてくれて助かったなと思っています。
成沢を除くと、チームトップは石野(=石野日向 商3・県立横浜国際)でした。他の選手と比べると、石野は1年間ずっと継続してトレーニングをしてきていました。その結果のチームトップというところはすごく評価できると思います。石野は高校時代、そこまで力のある選手ではなかったのですが、大学に来てから競技に対する姿勢と情熱を持って、この1年間取り組んでくれました。誰もが石野の取り組みや情熱を真似して、できる範囲でやれることをやれば、これくらい走れるということが証明されたと思います。
結果で皆さんに恩返しをすることはできませんでしたが、また1年間しっかりと強化をして、戦えるようなチームを作って参りたいと思っております。 本当にありがとうございました。

慶大の挑戦は続く
取材:飯田佑希子 、稲垣遥河、小野寺叶翔、片山春佳、小林由奈、鈴木拓己、竹腰環、中島冬奈、中原亜季帆、野村康介、山口和紀

