【ソッカー(女子)】〈戦評〉「ゴール前の精度」に明暗 目標が遠のく敗戦/第40回関東大学リーグ1部後期第8節 VS国士舘大学

ソッカー女子

 日程変更で前倒しとなった関東大学リーグ1部後期第8節。1部・2部入れ替え戦圏の10位・慶大は、ホームで7位・国士大に0−2で敗れた。

 前半は数多くの枠内シュートを放つが、PKを止められるなど、決め切れずスコアレスで終える。後半開始早々、ミスから先制されると、終盤にロングシュートを決められ、突き放された。

 インカレ出場(8位以上)を掲げる中、重い敗戦となった。8位までの勝ち点差は8、1部残留ラインの9位までの勝ち点差も8。慶大は残り6試合。

 10位と11位が入れ替え戦に進み、12位(最下位)が自動降格となる。慶大は9月22日現在16試合を消化し、勝ち点10(得失点差−16)で10位。11位は16試合を消化し、勝ち点10(得失点差−23)の順大。12位は16試合を消化し、勝ち点9(得失点差−27)の帝平大。

 

【試合結果】

2026/9/2(水)18:00キックオフ@慶應義塾大学下田グラウンド

O.R.S 第40回関東大学女子サッカーリーグ戦1部 後期第8節

慶應義塾大学0−2国士舘大学

 

【得点(アシスト)】

50分 国士大 諸節海晴 

80分 国士大 栗原都来穂 (諸節海晴)

 

【慶大出場選手】

ポジション

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

1 四宮里紗(環1・桐蔭学園)

DF

11 森原日胡(総2・作陽学園)

→81分 18 岩田理子(総3・十文字)

2 竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)

5 米口和花(総3・十文字)

4 宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

14 福島紗羅メヘル(政1・昌平)

MF 

8 佐藤凜(総4・常盤木学園)

→63分 13 山田葵(総2・聖和学園)

6 木田遥(総1・十文字)

10 野口初奈(環4・十文字)

FW 

9 野村亜未(総4・十文字)

7 髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

→89分 25 廣本瑞季(文3・学習院女子高等科)

 

 今節は当初、10/10に予定されていたが、10/10〜10/14に開催される国民スポーツ大会の影響で前倒しとなった。イレギュラーな日程での試合となったが、7月下旬から1カ月強の夏の中断期間は「1試合(今節)に向けてフィジカル的な練習も含めて全員で取り組んできた」(佐藤凜(総4・常盤木学園))、「コンディションの部分とか難しいところはあったんですけど、それでもやれることはやってこの試合に臨みました」(竹内あゆみ(看4・日ノ本学園))と振り返った。

 相手は国士大。昨季、慶大は2部優勝で1部に自動昇格し、国士大は2部2位で入れ替え戦を制して1部に昇格した。今季の前期での対戦は前半にCKから先制され、0−1で敗戦した。

試合前日時点での順位表

 慶大のスタメンは変わらず守備時5-3-2、攻撃時3-1-4-2のシステム。中断前ラストマッチの後期第4節で途中出場だったドリブラー・福島紗羅メヘル(政1・昌平)が左WBでスタメンに復帰。アンカーとして定着したルーキー・木田遥(総1・十文字)と、左IHに入るエース・野口初奈(環4・十文字)がボールを引き出し、激しいプレスをかいくぐりながら前進していく。

前期は右CBでの出場が多かったが、シーズン中盤からアンカーに定着した木田

 前半は慶大が相手陣で押し込む時間が長く続く。

 2分、中盤で野村亜未(総4・十文字)がボールを奪取すると、そこから左サイドの福島紗に展開。低い弾道のクロスが弾かれるも、慶大はセカンドボールを回収し、ボールを受けた野口が振り向きざまにチーム初シュートを放つ。しかしこれは威力がなく、相手キーパー正面となった。

組み立てにも積極的に関わる野口

 7分、最終ラインの宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)から一気に前線の野村にスルーパスが通る。受けた野村は相手ディフェンダーを1人かわし、右足でミドルシュートを放つも、キーパーの指先に触れポストに弾かれる。こぼれ球に対して、相手ディフェンダーとの混戦の中、森原日胡(総2・作陽学園)が詰めるもうまくミートできず、ここも得点に至らない。

立て続けにシュートを放った野村

両足からチャンスをつくる森原

 11分、福島紗がワンタッチでフライパスを出し、ボールはまたも野村へ。ディフェンダー2人に囲まれるも、野村は相手の前に入りペナルティーエリア内でシュートを放つも、惜しくも相手キーパーのファインセーブに阻まれる。

 19分、左サイドから来たボールを宮嶋がワンタッチで中に入れ、これを野村がオープンで合わせるもキーパーに弾かれる。このセカンドボールに素早く佐藤凜(総4・常盤木学園)が押し込むがまたもポストに嫌われる。

2トップに変更後は右サイドでの起用が続く佐藤

 中盤で相手より優位に立ち、前線への縦パスから再三のチャンスをつくるも、なかなか点を決められない。

 28分、慶大の絶好のチャンスが訪れる。佐藤が相手ペナルティーエリア内にドリブルで侵入すると、倒されてPKを獲得する。PKのキッカーは野口。ゴール右隅にグラウンダーで流すも相手キーパーに止められる。

 押し込んでいる慶大にもピンチが訪れる。37分、相手最終ラインからロングボールがつながり、右サイドから攻められる。そこからクロスが上がり、ゴール前でボールを持たれシュートを打たれるも四宮里紗(環1・桐蔭学園)が好セーブ。キャッチしてピンチをしのぐ。

ビッグセーブで盛り立てる四宮

 その後も両軍得点を奪えず、前半が終了。慶大は相手陣でプレーする時間が長く、得点の機会も多くあったものの、それを生かしきることができず、ゴールが遠い前半となった。

 後半は選手交代なく開始。50分、自陣ボックス内でボールを奪われると、キーパーとの1対1を沈められ、痛い形で先制される。

 その後は焦りが出始め、攻め急ぐ時間が続く。黄大城監督からゲームをコントロールするよう声が飛ぶが、なかなかプレーが噛み合わない。56分からは4連続CKのチャンスをつくるが、いずれも得点には至らず。63分、佐藤に代えてセカンドストライカー・山田葵(総2・聖和学園)を右IHに投入。65分、森原の縦パスを受けたFW・髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がダイレクトで右サイドへスルーパスを供給。抜け出した山田のグラウンダーのクロスに髙松が合わせるが、クロスバーを超える。

パスセンスの光る髙松

 後半途中から徐々に落ち着きを取り戻していく。ロングボールを左CB・宮嶋が跳ね返し、押し込んだ際は右CB・竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)がセカンドボールを回収、リベロ・米口和花(総3・十文字)を起点に福島紗に積極的にボールを集めていく。78分、福島紗がカットインでDFを剥がし、デルピエロゾーンから右足でシュートを放つが、キーパーの正面を突く。

ロングボールを跳ね返し続けた宮嶋

足に吸い付くようなトラップでセカンドボールを回収する竹内

荒鷲の心臓・米口

次世代エース・福島紗

 攻勢を強めていた中で、80分、ピッチ中央で縦パスをカットされると、2本ショートパスをつながれたのち、ゴールまで25mほどの位置からロングシュートを決められてしまう。81分、2失点目の前から準備していた右利きクロッサー・岩田理子(総3・十文字)が森原に代わって右WBに入る。

 85分、自陣ゴール前でのパス回しをカットされ、無人のゴールにシュートを浴びる。あわや3失点目かと思われたが、ポストに救われる。

 88分、山田とポジションを変えていた髙松が右サイドで岩田の前方にパスを送る。岩田はゴールライン際から折り返しのクロスを供給すると、2列目でフリーになった山田が合わせる。完璧なこのチームの形だったが、このシュートも枠を捉えられない。

得意の形でチャンスを演出した岩田

完璧な動きからフィニッシュまで持って行った山田

 89分、髙松に代えてポストプレーヤー・廣本瑞季(文3・学習院女子高等科)をFWに投入。山田が再び右IHにポジションを戻す。しかし、最後までキーパーを中心とした国士大の牙城を崩すことはできなかった。

初ゴールに期待がかかる廣本

 無得点に終わったのは8試合ぶり。ここまで16試合を戦い、開幕からの14試合で2桁シュートを放ったのはわずかに2試合しかなかったが、直近は2試合連続で2桁シュートを記録している。シーズン中盤から髙松が復帰し、2トップに変更したことでクロスに反応する枚数が増えてきた。少々強引に映るミドルシュートも、ゴールに向かっていく姿勢の良い変化だと思う。しかし、この試合も今までと変わらず、竹内が語ったようにとにかく「決め切れなかった」。

 同じ昇格組の国士大にシーズンダブルを許し、かつこれだけ良い形をつくりながら完封負け、そして何より順位争いの上で重すぎる敗戦となった。「残留とか自動降格というのにもかなり影響が出てしまった」(佐藤)。「落とせない中での敗戦ということで気持ちの整理がついていない」(竹内)。

 次節は9/23、首位を快走する山学大とのアウェイマッチ。山学大戦から中2日、9/26には、慶大が勝ち点差8で追うインカレ出場ラインの8位・東国大とホームで戦う。

 入れ替え戦圏の10位・慶大は、残留ラインの9位・十文字大とも勝ち点差8。残り6試合で、十文字大との直接対決はもう残されていない。

 悔やんでも悔やみきれないプレーがいくつもあるだろう。試合後のミーティングが終わっても、立ち上がることのできない選手が多くいた。入れ替え戦圏脱出がかなり難しくなった上、切望し続けてきたインカレ出場は、よほどのことを起こさない限り届かない位置まで遠ざかった。その中で、このチームは何を変え、何を守るのか。まずは過密日程の次の2試合、TEAM2026の26人の総和の力に、変わらず期待を寄せる。

 

【試合後インタビュー】

佐藤凜(総4・常盤木学園)

――夏の練習を振り返って

 中断期間は長いオフがあってからのこの国士館戦という、ちょっと空いた、変な時期に行われるリーグ戦だったので、その1試合に向けてフィジカル的な練習も含めて全員で取り組んできたのが(夏の)練習だったかなと思っています。

――この日の試合を振り返って

 みんながこの試合を勝たなきゃいけないという認識があった中で負けてしまったのは、自分たちの今後、残留とか自動降格というのにもかなり影響が出てしまった負けかなと思っています。

――この日の試合では中盤で相手より優位に立つ時間が長かったが

 自分たちがやってきたサッカーの中で、中盤というポジションは大事なポジションになると思っていて、特に攻撃ではやっぱりチャンスメイクが求められていたので、そこは意識しながらできたかなとは思っています。

――今後に向けて意気込み

 上(のチーム)との差が開いてしまって、何としてでも勝たなきゃいけないっていう、勝ちしかないっていう試合が続いていくと思います。自分が決められるシーンも多かったので、最後のところのこだわりを持って必ず勝って、まずは残留を目指してやっていきたいなと思っています。

 

竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)

――この試合に向けてどんな準備をしてきたか

 リーグ中断期間での試合だったので、コンディションの部分とか難しいところはあったんですけど、それでもやれることはやってこの試合に臨みました。

――夏の中断期間にチームとしてテーマを持って取り組んできたこと

 特にこの中断期間で新しいことをやることはなくて、いつも通り慶應らしいボールを大事にしながら前進していくことを変わらずやろうという共通認識を持っていました。

――この試合の結果について

 もう悔しすぎて、インカレ出場を目標としている中、このゲームは落とせない中での敗戦ということで気持ちの整理がついていないです。決め切れなかったというのと自分たちのミスで失点してしまったというのはもったいなかったと思っていて、積み重ねの部分がこれから大事になってくると思うので、この結果はもう覆せすことはできないけど、目標は残留という形に変わってしまいますが、また一からチームづくりをしていきたいと思います。

――リーグ戦残り6試合、どんな姿を見せたいか 

 私自身、15〜16年のサッカー人生が終わってしまうので、最後までやり切りたいし、悔いなく終わりたいというのと、これまで支えてきてくださった方々、特に家族には本当にたくさんのことを支えてきてもらったので、その方々に恩返しできるようにやり切って終わりたいと思います。

 

(取材・記事:柄澤晃希、山内悠暉)