【野球】塾高時代の記憶を更新する一打を 新たな右の大砲 渡邉千之亮/フレッシュ5連覇記念&来季注目選手インタビュー

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11月6日に東京六大学野球フレッシュトーナメント5連覇を達成した慶大野球部。5連覇の立役者であり、来季にさらなる飛躍が期待される4名の選手にインタビューを行いました!

第3弾は、フレッシュトーナメント決勝の明大戦で1点差に詰め寄るソロ本塁打を放ち、5連覇に大きく貢献した渡邉千之亮(政2・慶應)です!来季の”右の大砲”として期待がかかる渡邉千選手に、今季の振り返りとともに、この冬に懸ける思いや来季への意気込みを語っていただきました。(このインタビューは12月18日に行いました)

◆今秋の成績

 打数安打本塁打打点四死球盗塁失策
2025秋季新人戦 明大戦4211000

ーー今年を振り返って

故障というか、けがに苦しんだ1年です。秋のフレッシュ前もけがをしていたし、春のフレッシュの前もけがをしているという状態だったので、1年間けがに苦しんだなというのが一番ですかね。その中でも、春はフレッシュ全試合スタメンで出られて、秋もありがたく最後決勝でスタメンで使ってもらえて、それでチームに貢献でき、5連覇という結果に繋がったのはとても良かったなと思います。

 

ーーその中でも、秋季のフレッシュトーナメントの決勝戦で、本塁打を放った。2点差で負けていた中での一発となったが、その打席の心境はどうだったか

高校時代からなんですけど、1打席で流れを変えられるという自信はあって、いい意味でそういう悪い流れに左右されないバッティングが僕にはできると思っています。あの打席というわけじゃないですけど、逆転された後にどこかで「チームに流れを持ってこれるようなバッティングをしてやろう」という気持ちで行った結果、ちょうど2打席目でホームランを打てました。

ーー明大の投手は甲子園の決勝でも対戦があった湯田統真(政経2・仙台育英)投手だったが、湯田投手の印象は

春の選抜でも対戦していて、春のフレッシュでも対戦した投手で、僕はデッドボールとかフォアボールとか抜きだったら、ちゃんとしたヒットをまだ打ったことがなくて。「なんとか打ってやりたい」という気持ちがずっとあった中で、今回やっと打てました。

 

ーー湯田投手の打ちづらさはどういうところにあるのか

速くてキレのいいスライダーが一番厄介ですね。

 

ーー湯田投手の浮いた球を完璧に捉えて、弾丸ライナーを左翼席に突き刺したが、本塁打の感触はどうだったか

やはりスライダーが湯田投手の持ち味で、その前のバッターも、僕も前の打席もスライダーで全部やられていたので、あの打席はスライダーに絞って入りました。その結果、2球目にスライダーが来てちょうどタイミングが合いました。捉えた感覚があったんですけど、神宮でホームランとか打ったことがなかったので、入ったかどうかは走ってる時分からなくて。スタンドの歓声で入ったのが分かった感じです。

ーーその本塁打を受けて、誰が一番祝福してくれたか

みんな祝福してくれたんですけど、高校時代はホームランを打ったら、横浜DeNAベイスターズがやっている「デスターシャ」というのをみんなでやるノリがあって、大学ではなかったんですけど、僕が打ったら「やっちゃう?やっちゃう?」みたいな感じになって、安達(英輝=商2・慶應)が実際にやって、盛り上げてくれたと思います。

 

ーーこの本塁打や高校時代の神奈川大会の決勝の本塁打など、ここぞの場面で本塁打を打っている印象。こういう場面でも動じない要因はどういうところにあるのか

そういう場面になると毎回打てるって思えるというか、緊張もしているんですけど、いい緊張というか、そういう場面になった方が本来の自分のパフォーマンス以上というか最大限なにかを発揮できるような気がするんですよね。

 

ーー渡邉千之亮選手といえば、神奈川大会の決勝戦での本塁打が印象的だが、その本塁打は自身の中でどういう位置づけなのか

あのホームランの前までは、個人的に勝負強いとかそういうのは思ったことがなかったんですけど、あのホームランの後にいろんな人に「勝負強い」とか「よく打ったね」と言われる中で、自分としても勝負強いと思うようになったし、自信もついて、今のプレーができています。今、自分が勝負強いと思えているのは、あのホームランのおかげかなと思います。

 

ーーその本塁打が甲子園出場に繋がり、甲子園でも優勝できたっていうことについては

チームに貢献できて、結果的に優勝できたのはすごい良かったです。でも、あのホームランだけで甲子園に行ったわけではないし、甲子園優勝もみんなの活躍があってのことなので。僕は甲子園であまり活躍できなかったので、その悔しさを持って大学野球の世界に入りました。

 

ーー高校時代やそれよりも前から、心がけていることは

高校時代通して一番大きかったのは慶應義塾高校に入学して、エンジョイベースボールという考え方に触れて、本来の野球を楽しむ気持ちというのを学んだことです。勝つことはもちろんなんですけど、勝つ中でも自分が野球を楽しむことは常に忘れないようにしています。

 

ーー逆にその大学に入学してから変わったことは

頑固というか自分の考えに囚われることあるのですが、大学に入って堀井監督や先輩から、色々なアドバイスを受けていく中で、様々な気付きとか、アドバイスがいい結果につながったという経験ができました。自分の考えだけじゃなくて、他の人の考えも耳を傾けて、そこから色々なことを吸収しようという成長はできたかなと思います。

ーースキル面で成長したことは

スキル面はバットが金属と木製というところで、高校と大学だと大きな違いがありました。高校の時は正直、全部引っ張ってホームランに入れちゃうみたいな感じでやっていけていたのですが、大学野球になるとピッチャーのレベルも上がるし、木製バットにもなって、崩れた時に逆方向に打てる技術がないと通用しないなというのに気づきました。全然完璧ではないですが、高校時代よりは上達したかなと思います。

 

ーー慶應義塾高校時代の同期の渡辺憩(商2・慶應)、丸田湊斗(法2・慶應)、八木陽(法2・慶應)は一足先にリーグ戦デビューして活躍。それを受けて。

下級生から出るってすごいなという気持ちもあります。高校時代もそうだったのですが、高校2年生の新チームの時は僕はスタメンではなくて、高校3年生の春のセンバツから夏まででスタメンとして出ることができたので、スタートが遅いというのは高校時代も同じでした。ここから先に出てる人よりも、さらに上でやっていく自信はあるので、抜かせるように早く頑張りたいです。

 

ーー新入生紹介のブログで置きティーをしている時が心が落ち着くとあったが、具体的にはどのようなことを意識しているのか。

その時々で課題は色々あるのですが、具体的には股関節とかバットどう動かすかを僕は一球一球意識して打ちたいタイプです。普通の投げるティーだと相手がいて、トスのペースなどもあって、一球一球ちゃんと考えられないので、置きティーだったら、一人でゆっくりできるので落ち着いて練習できるという感じです。

 

ーー参考にしている選手は

あまりいないんですよね。特に参考にしている選手とかはいなくて、その時々にプロ野球選手とか。今だと大谷翔平選手とかの画像を見て、こんな感じなんだと思うことはあるんですけど。そんな一人に絞ってとかはないですね。

 

ーー4年生が抜けて、どのような変化があったか

最上級生が3年生になって、学年的に全員が一学年差になった中で、学年の差がないこともあって、全員に対して距離の差というのをあまり感じなくなったなと思います。

 

ーー来季からは3年生としてチームを引っ張っていく立場に。プレッシャーを感じているか

そんなに感じてはないです。チームとしては高校時代にキャプテンだった大村(昊澄=法2・慶應)とか、秋季フレッシュトーナメントでキャプテンをやってくれた服部翔(政2・星稜)とか、チームを引っ張ってくれる存在がいて、そこは信頼しているので、僕はプレーでチームに貢献できたらと思っています。

 

ーー 六大学野球で対戦してみたい投手は

やはり湯田投手ですかね。やっと1本ホームラン打てたんですけど、総合的にはまだ全然負けているので、これからリーグ戦でいっぱい対戦して、僕が勝ち越せるように頑張りたいです。

 

ーー慶大が優勝から遠ざかっているが、再び優勝するにはどのようなものが必要か

今チームでもやっていることとして、日本一の練習とか日本一の取り組みをしようっていうのをやっています。いい練習ができていると思うので、あとは今のモチベーションをリーグ 戦前まで保つことですかね。

 

ーー常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)が抜けて、右の大砲が少なくなった印象があるが、その点に関しては

それは運良くというか、ライバルがいないというか、今右の大砲枠が空いていると思うので。僕も右の大砲というか、ホームランバッターを売りにしているので、そこを掴み取れたらいいなと思います。

 

ーー外野でのライバルは

外野はいっぱいいますよ。3年生もすごく外野の層が厚くて。今津さん、小原(大和=環3・花巻東)さん、横地(広太=政3・慶應)さん。あとは、吉田(雄亮=商3・慶應)さんとか層が厚いなと思います。あと2年生だったらリーグ戦出てる中塚(遥翔=環2・智辯和歌山)とか、あと1年生の一宮(知樹=経1・八千代松蔭)とかがすごいです。でもラッキーなのは、右バッターが一宮ぐらいしかいないことですよね。だからやはり右バッター枠として入りたいです。

 

ーー来季に向けての意気込み

まずはスタメンでリーグ戦1シーズン出続けることを目標にしたいです。僕の個人の目標としてはホームラン5本で、打率が3割5分から4割です。リーグ戦は今年(春)5位、(秋)5位になってしまいましたが、来季は優勝できるように。そして、チームの目標である四冠を達成するための第一歩になれるように貢献したいと思います。

来季の”右の大砲”として期待がかかる

ーー最後に一言

外から応援してくれてる人にとっては、あの横浜(高校戦)の逆転スリーランで、僕の記憶が止まってると思っています。いろんな人に「ホームランすごかったね」って褒められることがありますが、大学に入ってからはまだ著しい活躍っていうのをできていないと思うので、来年の春からは「やっと来たか」と思わせられるように頑張りたいです。

 

             (取材、記事:奈須龍成)

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