【ラグビー】屈強なる帝京大に挑んだ慶大蹴球部 悔しさを胸にさらなる成長へ/第47回ジュニア選手権大会第2節 対帝京大学

ラグビー

 前試合の明大戦で滲んだ悔しさを胸に、慶大蹴球部は帝京大学グラウンドへと乗り込んだ。慶大のキックオフで開始したこの試合は、前半序盤から帝京大に先制を許す展開となるも、多彩なプレーで慶大も果敢なオフェンスで応戦する。すると13分、ラインアウトからモールで攻め込み、FL早川湧人(環3・國學院栃木)が相手の隙間に飛び出しトライエリアに飛び込む。CTB百田航(政4・慶應)が冷静にコンバージョンを決め、逆転に成功する。その後もBK陣の小技が光るシーンが多発するが、得点には結びつかず、7-41で前半を折り返した。

 後半も帝京大に主導権を握られる中、慶大は複数のメンバー交代を敢行しながら敵陣で食い下がる。あと一歩のところで自陣に戻される苦しい時間が続いたが、後半33分、WTB草薙拓海(政1・桐蔭学園)が自陣深いところからフリーで一気に駆け上がりトライ。圧巻の走力を魅せつけた。後半にかけて徐々に勢いを増すメンバーであったが、反撃は実らず、14-74で試合終了となった。

 

2025年9月21日(日)第47回関東大学ジュニア選手権大会カテゴリー1 対帝京大学 @帝京大学百草グラウンド

⚫︎慶大 14{7―41、7―33}74 帝京大⚪︎

第47回関東大学ジュニア選手権大会

慶應義塾大学

2025/9/21(日)
13:00 K.O.
@帝京百草グラウンド

帝京大学

前半

後半

 

前半

後半

トライ(T)

コンバージョン(G)

ペナルティゴール(PG)

ドロップゴール(DG)

41

33

14

合計

74

 

慶應義塾大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

山中 優太郎

177/102

商4

慶應

2

安藤 佑真

174/84

政1

慶應志木

3

山北 響己

177/98

経1

慶應志木

佐々木 一帆

190/97

経3

慶應志木

加藤 光

182/100

法2

慶應志木

6

小川 和真

176/78

政1

茗溪学園

早川 湧人

178/90

環3

國學院大學栃木

8

岡田 海世

185/96

環1

清真学園

9

杉山 雅咲

170/75

総3

大阪桐蔭

10

大川 竜輝

172/85

理4

慶應

11

安西 良太郎

180/84

商1

慶應

12

百田 航

182/82

政4

慶應

13

江頭 駿

174/82

経4

慶應

14

草薙 拓海

177/87

政1

桐蔭学園

15

松田 怜大

174/83

環3

桐蔭学園

16

山中 悠伍

177/95

経2

慶應

17

西澤 賢佑

178/109

文4

膳所

18

渡邊 哲暉

175/106

政4

慶應

19

笠原 大介

180/96

商4

慶應

20

矢﨑 隼太

184/97

政4

県立千葉

21

尾関 航輔

166/68

政1

慶應

22

和田 健太郎

168/73

理2

清真学園

23

石野 創太郎

171/76

理3

川和

 

帝京大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

有賀 啓悟

171/102

医療1

尾道

2

沼澤 健一朗

173/103

医療2

名護

松原 結生

177/120

医療4

国学院久我山

鈴木 彪馬

182/103

医療3

御所実業

山口 竜誠

181/102

医療4

国学院久我山

細川 塁

178/90

教育4 

流通経済大学附属柏

榎宮 良明

176/86

医療4

常翔学園

8

藤久保 陸

181/100

経3

東海大学付属相模

9

赤迫 幸知

163/66

医療4

尾道

10

上田 倭楓

180/80

医療1

大阪桐蔭

11

吉田 有佑

186/92

経済3

成城学園

12

新澤 迅太

170/76

医療4

目黒学院

13

関口 流瑞

175/86

医療3

中部大学春日丘

14

神田 陸斗

173/81

医療4

常翔学園

15

石原 幹士

173/80

医療3

東福岡

16

高 晃崇

183/105

医療2

大阪朝鮮

17

田崎 凛太郎

182/110

医療1

長崎北陽台

18

布引 大翔

180/110

医療3

大阪産業大学付属

19

呉山 史桃

190/90

医療3

大阪桐蔭

20

喜久本 志

183/96

教育3

コザ

21

酒井 明人

170/75

医療3

国学院久我山

22

高本 とわ

176/80

医療3

東福岡

23

福田 正武

169/76

医療2

國學院大學栃木

 涼やかな秋の気配漂う風の中、慶大のキックオフでJr選手権の第2節が幕を開けた。開始直後から帝京大の猛攻に押され、先制トライを献上する。それでも慶大は怯むことなく、確かな攻撃力を披露する。圧倒的な走力を誇るWTB草薙がタッチライン際を一気に駆け上がり、敵陣深く切り込む。惜しくも22mライン付近でフェーズが途切れたものの、慶大は着実に攻撃の起点を増やし、得点機を窺い続けた。

 両校の多彩な攻防で0-5の膠着状態が約10分間続く中、試合を動かしたのは慶大だった。マイボールのラインアウトからBK陣が華麗にパスを繋ぎ、SO大川が冷静なキックで陣地を押し上げる。

 敵陣5mライン付近で得たラインアウトを起点にモールを形成すると、じわじわとトライエリアへ迫る。ラックサイドの隙を突いたFL早川が鋭い判断で飛び出し、同点トライをもぎ取った。不安定な風が吹く中でもCTB百田が冷静にコンバージョンを沈め、昨年度大学選手権王者を相手に7-5と逆転に成功した。

 しかし歓喜も束の間、約2分後にはディフェンスラインの僅かな綻びを突かれて再び失点。その後も劣勢なスクラム後に守備陣形の乱れを突かれ、さらにBK陣の俊足に翻弄されるなど、帝京大の連続攻撃を食い止められず苦しい展開が続いた。セットプレーの精度も乱れ、前半中盤以降はマイボールの好機を活かせず苦戦を強いられる。それでも、SH杉山・SO大川・CTB百田江頭ら4年BK陣を中心に、後半での立て直しに期待が託された。

 

 前半終了間際の10分間で19得点を許し、何としても相手の流れを止めたい慶大。だが開始早々、後半2分にトライを献上してしまう。

その後もなかなか得点機を見出せない展開が続くが、BKの大川江頭百田を中心としたディフェンス陣は相手FWに対して「2人で1人を止める」タックルで抗戦。ギャップを突かれトライを許す場面もあったが、タックルの強度を高く保ち続けた。

また、後半13分には江頭が敵陣10mラインから前方にキックし、相手トライゾーンの中までボールを転がす。すると、相手BKボールを抑えたところに松田がタックル。このプレーで大きく陣地を獲得することに成功した。得点差をつけられた中でもボールへの執念を魅せた、この試合屈指のビッグプレーだった。

断続的にトライを許し7-69と点差をつけられた後半34分、慶大に前半14分以来のトライが生まれる。自陣22mライン付近でのスクラムがガッチリと止まると、BK陣はパスを回し、ボールは草薙へ。これを受けた草薙は左サイドを爆走し、手薄になった相手ディフェンス陣を一気に抜き去っていく。2人、3人とタックルを躱し、最後はトライゾーン中央まで走りこんでのトライを決めた。CGも百田がしっかりと決め、7点を返すことに成功。期待の1年生がみせた、一矢報いるプレーとなった。

最終的には14-74での敗戦となったが、随所に今後への希望を感じるシーンもあったJr選手権第2節。翌週に控えた対抗戦・筑波戦で春のリベンジを果たすため、チーム一丸となっての戦いは続く。

以下、選手インタビュー↓

⭐️ゲームキャプテン・SH杉山

――今日の試合を振り返って

相手に通用した部分もあれば、課題が残る部分も両方見つかった試合でした。通用した部分で言うと、アタックのところで、自分たちがボール確保して継続してアタックしていけば、相手を崩して最後点を取り切るところまでいけたことです。ただプレーのスピード感に関して、相手についていけていないところがあったので、そこを80分間通してチーム全体の攻撃を上げていかないといけないなと思いました。

――帝京大相手にとのような準備を

帝京はチャンピオンチームなので。自分たちはチャレンジャーというマインドを持って、チャレンジする中でミスも起こるけど、それを全員でカバーするという意識づけをしてきました。あとはディフェンスのところで、タックルとブレークダウンファイト、1人目と2人目でしっかりプレッシャーをかけるというのを準備してきたんですけど、良かった部分もあり、もうちょっとできる部分もあったかなという印象でした。

――個人的に、ゲームキャプテンとして普段と違う意識で臨んだのか

戦術的なところは、普段からみんなで共有してやっているので、自分たちがそれぞれの役割を確認しながらやるって言う感じです。ゲームキャプテンになると、戦術以外のマインドの部分で、みんなのモチベーションをどうやってあげるかというところを常に考えながら、ゲーム前の声かけとか、ゲーム中にも声をかけるとか。自分フォーカスの試合が普段多いけど、ゲームキャプテンになるとチームとしてのモチベーションをどうあげるか考えなければいけない、というのが違いかなと思います。

――チームとして、次戦の筑波大戦に向けて

シーズンを通して、一戦一戦成長できている実感はあるので、今回もスコアで見れば大敗はしたんですけど、通用した部分もあったので、次の筑波大戦までに練習を積み上げて、準備したことを出せるように頑張ります。

試合後の杉山(左)と百田(右)

 

⭐️同点トライを決めたFL早川

――今日の試合を振り返って

慶應としては1人目のタックルと2人目のタックルで、体の大きい帝京相手に押し返して、自分たちのディフェンスからペースを作るというフォーカスがあったんですけど、自分たちのミスだったり、セットプレーだったり、そういった面でトータルして帝京さんに劣っていた部分があり、そこがこの点差に繋がってしまったのかなと思います。反省しています。

――帝京大相手にどのような準備を

ディフェンス面にフォーカスする形で、慶應としては準備してきました。

――個人的に、トライを振り返って

自分のトライというよりかは、FW全体で取ったトライというか。FWとしては、セットプレーであるラインアウトからのモールで取り切りたいという、自分たちで準備してきたものがあったのでそれを出したかったんですけど、いいところまで押すことができて、ちょっと相手が崩れたところでゴール前までいけたので、あとは自分がトライを決め切るだけだなという思いで上手くいったという感じですね。

――セットプレーの手応えは?

一番帝京さんとの差を感じたのはスクラムで、自分はバックローで、フロントローのポジションの競り合いというのはあまりわからないんですけど、体が相手より小さいながらも、自分たちが準備してきたスクラムの低さだったり、そういったスキル面で帝京さんに敵わなかったので、そこは慶應としてもまだまだ成長できるポイントなのかなと思います。

――FWとしてハーフタイムでどのような準備、修正を?

前半で40点差近く突き放されて、慶應としては公式戦ではあるんですけどBチームの試合ということで、チャンレンジして慶應の色を出していくという点とか、1人1人がもっとアピールするというのを、もっとチームとして出していこうと思いました。

――チームとして、次戦の筑波に向けて

今日は自分がトライを取れて、タックルでも体を張れた部分もあったので、それをBチームとはいえ帝京相手にできたっていうのが結構自信に繋がったので、そこを筑波相手にもっと上のレベルでできたらなと思います。

 

⭐️チーム2トライ目を決めたWTB草薙

――今日の試合を振り返って

前半はみんな体を当てることができて、自分たちがフォーカスを置いていた1人目と2人目のタックル、またその後のテイクダウンをして、押していくことができたと思います。前半の前半までは7対7ぐらいで、自分たちがチャレンジすることができましたが、その後は相手のアタックから、自分たちのディフェンスが一発で抜かれてしまったりとか、1個のミスでトライに繋がってしまって、それが何度も何度も積み重なってしまって前半のうちに差を広げられてしまいました。後半も立て直そうと思ったんですけど、相手のアタックが強くて、自分たちのディフェンスが武器にしていたところを出せず抜かれてしまった場面が多かったです。

――WTBとしてどのような意識で今日の試合に臨んだか

まずアタックはボールタッチを増やすというところで、自分はボールキャリーが強みなので、できるだけボールを触って前に行くことを意識して、内側に入ってみたりとか積極的にボールを呼んだりとか意識してやりました。ディフェンスは前回の試合でも課題となった、タックルのところで相手を逃してしまうシーンがあったので、今までの個人練習を重ねて今日はタックル入れて相手を倒し切ることができたので、そこは成長したかなと思いました。

――トライの感触は

点をたくさん取られていた中で一本返して、あまり大きなものではなかったですけど、FWがしかりスクラムを組んで、ボールを出すことができて、内側の人が繋いでくれて最後自分がもらえたという形なので、あのトライはチームで取ったものだと思います。

――ランプレー、ロングゲインは狙っているのか?

自分は走るのとコンタクトプレーが得意なので、できるだけ自分がボールをもらって、スペースに積極的に走り込んで、トライを狙いたいと思っています。

――今後のJr戦、対抗戦に向けて

今回大敗してしまったので、個人的にディフェンスをさらに磨かないといけないですし、アタックでもタッチを出されるところが何回かあったので、自分のフットコントロールだったり、ウエイトだったりで筋力を鍛えるなど、個人的にやることがまだまだたくさんあるので、そこをもっと自主練で重ねて対抗戦に出られるように、そして活躍できるように頑張ります。

 

(取材:島森沙奈美、鈴木拓己)

タイトルとURLをコピーしました