前日の1回戦で敗れた慶大にとって、このカードで勝ち点を得るためには、ここからの2連勝が求められる。東京都心では30.2度を記録し、真夏日となったこの日。雲ひとつない青空の下、スタンドから選手たちへ“熱い”応援を届けた應援指導部の姿を追った。
5月17日(日)慶應義塾大学◯8ー7⚫️法政大学
〜試合概要〜
慶大は0勝1敗で迎えた法大2回戦に勝利し、勝ち点獲得へ逆王手をかけた。先発の広池浩成(経4・慶應)は1回表、片山悠真(文4・八王子学園八王子)の適時打で1点を先制される。3回裏に小原大和(環4・花巻東)の適時二塁打で同点に追いつくが、4回表に登板した2番手の沖村要(商4・慶應)が勝ち越しを許し、1-2に。その後両軍投手が好投し、試合が動いたのは6回裏、中塚遥翔(環3・智辯和歌山)の逆転2点適時打など一挙6得点で慶大が5点のリードを取る。しかし、8回表に4番手の水野敬太(経3・札幌南)が井上和輝(法2・駿台甲府)に3号3点本塁打を被弾し、2点差に追い上げられる。8回裏の内野ゴロ間の1点で8−5として迎えた9回表、土肥憲将(キャリア4・鳴門)の2点適時打で1点差まで迫られるが、最後は熊ノ郷翔斗(環2・桐蔭学園)が締め、8−7でルーズベルトゲームを制した。
1回裏の攻撃、応援企画責任者のG.Hさんはスタンドの熱気に目を向けた。「いつもの日曜日より応援席のお客さんの数が多い」と普段との違いを感じ取ると、「昨日の試合が悔しくて来ちゃったんですよね」と前日の敗戦を引き合いに出す。「電車の中で明日の応援をいっぱい考えた。そしたら寝過ごしてしまった。それくらい気合いが入っている」と笑いを交えつつ、「今日は絶対に勝つぞ」とスタンドを鼓舞した。

3回裏の攻撃前、野球サブのS.Mさんは「今年の野球応援コンセプトは『逆襲』である。この回で大量得点して逆襲するしかない」と声を張り上げた。「がむしゃらになって、目を見開いて、眉上げて大きな声で」。その力強い言葉がスタンドの熱量をさらに押し上げる。すると2死一、三塁から小原が適時二塁打を放ち、スコアを同点に戻した。

5回には、法大のスクールカラーを意識したユーモアあふれる煽りも飛び出した。「私は喉が渇いた。オレンジを用意したぞ」と切り出すと、「全く甘くないみかん(法政)飲み干すぞ」と会場を沸かせ、真夏日の神宮に笑顔を生み出した。

試合が大きく動いたのは6回だった。無死二、三塁の好機で、4番・中塚が逆転の2点適時打を放ち、慶大が3-2と勝ち越す。応援席に「ダッシュケイオウ」が鳴り響く中、林純司(環3・報徳学園)にも2点適時打が飛び出した。さらに吉開鉄朗(商4・慶應)の犠飛、丸田の適時打で畳みかけ、この回一挙6得点。「若き血」「おおわが慶應」がスタンドにこだまし、応援席の熱気は最高潮に達した。

8回表、法大の攻撃。1死一、二塁の場面で井上和輝に3点本塁打を浴び、スコアは7-5。慶大に傾いていた流れが、にわかに揺らぎ始めた。迎えたその裏の攻撃前、応援企画責任者のM.Eさんは「スコアボードを見てほしい。正直いうと今気が緩んでいたぞ」と、率直な言葉でスタンドへ語りかける。さらに「優勝の二文字の前に、この1勝にこだわるぞ」と呼びかけ、応援席全体で勝利への思いを改めて共有した。その声に応えるように、1死一、三塁から丸田の遊ゴロの間に三走が生還。慶大は8-5とリードを広げ、勝利へ向けて9回の守りへと向かった

9回表、法大の最後の攻撃。2死二、三塁の場面で土肥に中前2点適時打を浴び、ついに1点差まで迫られる。なおも続く緊迫の場面で、慶大ベンチは水野に代えて熊ノ郷を送り込んだ。応援席は総立ちとなり、マウンドへ向かう右腕に声援を送る。スタンド全体の祈りを背負った熊ノ郷は、最後の打者を遊ゴロに打ち取り試合終了。慶大は8-7で接戦を制し、慶法戦の勝ち点の行方は翌日へと持ち越された。

〜試合後インタビュー〜
ーー今日の試合を振り返って
序盤から流れを掴むことは難しかったものの、今日の試合で負けてしまうと勝ち点を落としてしまうという状況の中で、最後は野球部と応援席の執念で勝ち取った勝利だったのではないかなと思います。
ーー前日は悔しい敗戦。どのような気持ちで今日の応援に臨んだか
まずは目の前の一勝を取りに行くというところで、塾生注目でもお話させていただいた通り、とにかく今日の勝利を取りに行くぞという気持ちで、応援席全体で臨めたのではないかと思っております。
ーー明日の意気込み
平日にも関わらず集まってくださった応援席の皆さんにしっかり声を出していただいて、一緒に勝利の景色を見て、優勝にまた1歩近づいていければなと思っております。

(取材、記事:小野寺叶翔 取材:吾妻志穂、小林由奈、野田誉志樹、石黒結文)

