「本当の日本一になって今年の慶應が強かったと証明したい」(出原主将)。5年ぶりの全日本女王へ。大学日本一を手に入れた慶大が12月9日(土)から全日本選手権に挑む。この大会に先駆けて、ケイスポでは全3回にわたりポジションごとにインタビューを行った。
第1弾としてお送りするのはDF陣の対談。メンバーはG横田・DF飯豊・大木・櫨本・MF石川・小久保の6人。選手たちから事前にいただいたアンケートを元に、試合への臨み方や今季について振り返ってもらった。
■「みんなのおかげでセーブできてます。ありがとう」(横田)
――学生日本一おめでとうございます。感想をお願いします。
石川:このチームだったら(学生)日本一をとれると思っていたので、めっちゃうれしいという感じではないです。やっと日本一の戦いが始まるなと思います。
櫨本:5年前に慶應が学生日本一をとる姿を見てて、私が同じ舞台にいるのがまだ信じられていないので実感はないです。この17チームが好きなので、このチームで絶対日本一を取りたいです。
小久保:学生日本一とれて純粋にすごくうれしかったのと、自分がいるときに日本一というフィールドにたてたこともうれしかったです。チームとしてもいい経験になったと思います。
飯豊:学生日本一を取って一安心という気持ちもありますが、みんなが言っている通り真の日本一を目指してここまで一年間頑張ってきて、まだそこに挑戦し続けているので気をゆるめられないなという緊張感の中で練習も楽しみたいなと思います。
大木:まず率直にうれしいなという気持ちですが、日本一をずっと目標にしてきて何回も敗れてやっと日本一を取れてうれしいです。私たちが本当に目指すのはクラブチームも含めた全日本の真の日本一を目指しているのでまだまだこれからだなと喜びと緊張感があります。
横田:みんな同じでつまんない。私はゴーリーなのですが、慶應に入ったのもラクロス部で日本一をとりたいからと思って入ったので、まだ学生日本一ですがちゃんと形になってうれしいです。慶應に来てよかったです。実感がなくて11月は4試合あって、ただやることに追われていた結果気づいてたらなってたという感じなので、実感なさ過ぎて「おー」という感じです。
――DF陣として手応えを感じた試合はありますか
一同:明大戦(◯5-2)です
石川:前半あんなにポゼッション時間をとられたのに一点しかとられていないというのは自身になったし、予想以上にいいディフェンスができていたと思います。
――MF対談では「今季のディフェンスはやっていて楽しい」というコメントがあったのですが、参考にしたDFはありますか
横田:参考にしたビデオもなくて、新しい戦術を一年間やってきたのですがコーチの大久保さんがこういうのをやろうと言ってやり始めたのですが、最初は意味わかんなすぎてカオスだったのですが、お手本も何もなくやりながら作って言った感じです。
ここからは事前に選手の皆さんからいただいた質問やコメントに、答えていただきます!(かっこ内は質問した選手名。青がDF陣、緑がMF陣、赤がAT陣から出た質問)
――今までの思い出の試合(横田)
一同:明大戦。
横田:早慶定期戦(◯6-5)も。一番負けると思った。
櫨本:最後の最後は4年の意地だと思いました。得点決めたのも4年です。
小久保:かおるさん(#11・竹村薫)のガッツポーズが良かった。
――ATに1番キレた試合orシーンは (西村)
一同:学芸大戦(◯6-2)かな。
飯豊:南山大戦(◯10-5)もグランドコンディションが悪かったね。
横田:学芸大戦は、試合中だからあんまりキレてもメンタル壊しそうで控えたんですけど、それをこえるしかなかったです。
飯豊:試合中はキレないようにしてます。
大木:どうするどうするだったよね。どうしたらよくなるかっていう…
——みなさんに書いていただいたアンケートの中の「今季ここまでのMVP」という項目で横田選手が第2位となりました。
2位#49横田(出原・白子・伊藤・竹村)
・相手に良い流れを与えない安定したセーブ。ぞねこそ本物の守護神。(出原)
・昨シーズンが終わって今シーズンが始まる時、ゴーリーに不安を感じていたんですけど、今は真逆。ぞねならセーブしてくれるってもう頼られるようになってる。個人的に嬉しいのは、最近切り替えてる私にじゃんじゃんパスを投げ込んでくれるとこ。(白子)
・私が動けているのはぞねすさんの的確な指示のおかげです。ぞねすさんの声を聞くと落ち着けます。シュート打たれてもぞねすさんならとめてくれる安心感があります。(伊藤)
・まずぞねすは本当にこの一年の成長の幅が素晴らしいです。日本一のゴーリーだと思ってます。信頼しています。いつもなんだかんだ言って止めてくれてありがとう(笑)けど欲を言えばもっと指示出しして欲しい。特にブレイクの時に私に声かけて下ろして欲しいからよろしく笑(竹村)
横田:実はほんとにセーブしてないよ。ごめんね。シュートがこないだけで(笑)ここで感謝の意を表したいのですが、DFが去年のマンツーマンなら止めれなくて苦手だし、バッカ―がうまくいって私の得意なシュートばかり打ってくれるので、私のセーブというよりはみんなのおかげだと思います。一人でやってるというより、みんなおかげでできているよって思っていてありがたいです。
一同:いいこというじゃん。
#70飯豊(伊藤)
・誰よりもストイックに相手を研究して、勝ちにこだわっているから。もともとラクロス上手なのに、今シーズンはオールコートオフェンスなどプレー面でも成長して、慶應のDFを引っ張ってくださっている。(伊藤)
飯豊:そんなストイックだと思ってないんですけど。
横田:チームの中で一番自分がストイックだと思うでしょ?
飯豊:思わないよ。でも一番似たものを感じるのはのどか(石川)。だからMVPものどかにしました。
#66石川(飯豊)
・勝ちたい、成長したいっていう強い思いが常に伝わってくる。何度失敗してもいつも手を抜かず一生懸命だし、ひたむきに努力していて、この1年で頼もしく感じるくらい成長した。(飯豊)
飯豊:わたしの大切にしてきたこととかチームでの役割はこれだと思って、貫いてきたものが少しでも響いていれば嬉しいなと思っていて、一番受け継いでくれて体現してくれそうだから選びました。
石川:うれしすぎですね。崇拝して、言われたことはちゃんとやろうと思って。
飯豊:それがすごく伝わってくるのがのどか。
石川:私はよくわかんないので、注意してもらってるというやさしさの分も全部体現できたらいいなと思って。
飯豊:大丈夫。体現してるから。
■「試合前は母が作ったパスタを食べています」(小久保)「試合前は良かった試合のビデオを見ている」(櫨本)
――「私たちって本当に脳みそが違うよね(白子)」
――このコメントを聞いてどう思いますか
4年:お前だけだよ。
一同:まあでもみんな変ってるかも。
――それを感じる瞬間はありますか
飯豊:りっきー(#42・力丸絢)。あんなに自分を貫き通す人見たことない。
3年:おもしろすぎます。
櫨本:りっきーさんは自由にやらせて他でがんばるみたいな。
横田:幸せもんだな。
飯豊:大体聞いてない。南山大戦の前日にホテルの部屋が一緒だったんだけど、「おり(南山大・#18・堀崎栞)左利きだよね」って言ったら「へえそうなんだ」って言われてマジ?みたいな。
櫨本:ひろな(飯豊)さんがあんなビデオ取ってくれてるのに。
飯豊:この三人は信頼してるけど、うちらの代はマジ適当。
――セーブした瞬間って何を思うの?(出原→横田)
一同:「とったぞ」って思うの?
横田:いい写真撮れたかな、みないな(笑)Gはいつも写真をあんまり取ってもらえなくてつらいのですが、写真撮ってもらえたかな、でもDFかぶったかな?みたいな。感情はないです。とれるものしかとってないので、ただとる。実力の範囲内をただやってるだけなので、みんながとってきたボールをキャッチするのと同じです。
3年:かっこいい。
4年:よっしゃー!みたいなのないの?
横田:そんなに。できることをやっただけなので、仕事です。
――自分がファールしてフリシュー決められた時ってどんな気持ちなの?(出原→DF陣)
飯豊:ガン萎えだよね。
大木:地獄。ファールじゃなくて3秒とかフリスぺとかは本当に申し訳なくなる。中に入ってやっちゃったってのは、審判とかの兼ね合いも色々あるからごめんねってなるけど、他はほんとに心が痛い。
櫨本:いらないファールでフリシューになった時は、ほんとに申し訳ないです。
大木:あとぞね(横田)ごめんねってなる。
横田:私は気にしない。フリシューは止めれると思ってる。
一同:おおー。
横田:でもとっちゃった人じゃなくて、DFで変にシュートを曲げっちゃったときは結構イライラする(笑)
――試合前に何かルーティンはあるんですか。(小久保・櫨本)
小久保:ご飯は食べる。
4年:みんな食べるでしょ(笑)
小久保:鳥そぼろスパゲティっていう母の得意なパスタがあって、それを絶対に食べるって決めてる。
飯豊:一緒かも。私たらこパスタ。毎回じゃないけど、気合入れたり緊張してやばいってときはたらこパスタ。おいしいから。
大木:私は朝パスタ食べる。
飯豊:食べ物だけじゃなくて、全部同じもの持ってるとかない?私はちなみにヘアバンドは毎回一緒。
櫨本:グローブも靴下も一緒です。
一同:わかる。
飯豊:私はヘアゴム、ヘアバンドも一式全部一緒。試合用に別にしてある。マウスピースも二個あるけど試合用は分けてる。
石川:私は靴下とかもあんまり気にしないです。
横田:グローブは一番きれいなやつ。
――これしたら勝てるみたいなのはありますか。
大木:まだ負けてないから同じものつかうのがいいのかも。
横田:いつもどおりが一番!
――試合へのモチベーションの上げ方等ありますか?(石川)
大木:ラクロス部のPVを見る。
飯豊:モチベーションビデオがというものがあって、一年に一度つくってくれるんです。それを見てうちら最高!って思いながら。
櫨本:よかった試合を見ます。ひたすら相手のビデオか自分たちの良かった試合を見るようにして寝ます。そうしないとなんか落ち着かない。緊張するので。
横田:逆になんもない。だって緊張しちゃうじゃん。当日も何もしない。音楽も聴かない。
櫨本:ひろなさん音楽聞いてますよね。
飯豊:めっちゃ聞く。ガンガンかけてます。
櫨本:洋楽かな?
飯豊:あと相手のビデオ。明大戦の前は3年前に慶應が明大に負けたときのビデオをめっちゃ見てました。何回も見て絶対に負けない、と思って試合に入ってました。相手のビデオは必ず見るようにしてます。
――1番試合中に意識していることは(小久保・吉岡)
横田:声を出す。コミュニケーションをとって焦った時ほど、目を合わせることと黙らないこと。一点決められても想定内だから大丈夫って強い意識をもって、次は狩るって心に決める。
一同:想定内メンタル大事。
――DFの中でATに誰か差し出すとしたら誰?(実はAT向きな人は?)(西村)
櫨本:でもあの四人組に入る人はいないと思う。
横田:誰も入れないね。のどかが入ってぶち壊す?壊すだけ壊して戻ってきそう(笑)
飯豊:追い出されそう…(笑)
――DFの醍醐味は?(櫨本)
飯豊:狩ること。だよね?奪うこと。自分が作ったターンオーバーで30秒くらいですぐ得点になったら嬉しい。目立たないけど。
櫨本:心の中で思うだけなんですけど、
大木:ATに言っても響かないけど。心の中で喜ぶ。
――DFはどんなゴーリー像を望んでるのか(横田→DF陣)
飯豊、大木:止めてくれたらなんでもいい。
横田:辛すぎ、プレッシャーが…
小久保:安心感じゃない?
櫨本:安心感ほしいですね。
横田:どういう?
櫨本:安心感ありますよ!!
大木:ああ大丈夫、みたいな。ぞねだから大丈夫って。
飯豊:自分に余裕があってほしい。余裕があると安心する。たまにないけど、試合ではすごい余裕ある。
横田:それは写真写りのため(笑)
飯豊:セーブしたネットを片手で動かさない?
一同:シャッターチャンス?(笑)
横田:あれは違う、ブレイク作んないよってこと。
一同:でもちょっと余韻に浸ってるよね。首傾げて…シャッターチャンスだよーって?してるの?(笑)
■「4年はカリスマの塊」(石川)
――学年のカラーについて(飯豊)
小久保:私たち後輩肌で。
櫨本:後輩肌で、4年は先輩肌だなって。
4年:そう?
石川:引っ張ってくれるので私もついていきますって(笑)
櫨本:そう。引っ張ってくださるならついていきます感がつよい。
飯豊:え?引っ張ってるつもりない。
大木:引っ張ってもらってると思ってる。逆に3年に支えられてるなって。ありがとうって思ってるよ。
3年:引っ張ってもらってるから来年やばいよねってなってる。
横田:自由に遊びみたいにやっちゃってるから、また4年やってるよって思ってるんだろうなって思ってた。
飯豊:4年で引っ張っていこうっていう話はあんまりしたことない。みゆう(#96・白子未祐)が言ってたけど、自分たちのやりたいラクロスをして純粋に楽しんでいればおのずとついてくるかなって言ってる。
石川:4年はカリスマの塊みたいな。私たちはフォローをやるみたいな。地味目みたいな(笑)
櫨本:4年がスカウティングもしてくれて、練習も怠らないから私たちも頑張らなきゃって思ってやってる部分はすごく強いと思う。
飯豊:スカウティングもやりたいから。心配。
櫨本:ひろなさんがあれだけにやってるんだから、私たちもこんなんじゃダメだって。
飯豊:それを無視するのが4年(笑)
横田:まあひろなだしねって。
――来世、ラクロスという競技がありません。何に熱中しますか?すると思いますか?べつにスポーツじゃなくていいです (大木)
石川:キックボクシング。
櫨本:大学生活で世界一周。
小久保:時間があったら旅行する。
横田:国連の職員になる。
一同:(爆笑)
横田:高3で受験が終わって薫と私だけ経験者だったので、3月から練習していたのですが、3つ上のGの先輩と将来について話をしたときに、「私国連に入りたいんですよ」って言ったらドン引きされて。なんでドン引きしてるんだろ。
大木、飯豊:ねえー…
横田:その時はそういう人だったの(笑)大木のおかげで新しい世界を知った。馬鹿な世界を(笑)よかったな巡り合えて。
飯豊:この二人が一緒にプレーしてるのヤバイ。天才とバカ(笑)。
――ラクロス部のメンバーで家族構成作ってください(大木)
一同:まーぴ(小久保)はペット。りっきーもペット。
櫨本:りっきーさんはパパがいい。
小久保:ひろなさんはお姉さん。
4年:いらない、いらない。
飯豊:家族構成に唯一はいらないの私だと思う。どこからも受け入れられない。
大木:近所にも置きたくない(笑)
飯豊:こら(笑)
3年:あみ(#32・友岡阿美)がお兄ちゃん。
飯豊:みゆうと同じ家族にはなりたくない。楽しいから近所の人で隣の家がいい。
一同:お母さん誰だろ。
横田:お母さんは、とむ(友岡主務)でいいよ。
一同:いいねー。
■「このチームで負ける気がしない」(大木)「今まで倒してきた学校の分まで」(飯豊)
――学生と社会人のアタックの違いはどこですか
櫨本:自分に自信もってる人が多い。
飯豊:技術と経験値が高い。
小久保:パススピード早い。
石川:持ちが長い。
櫨本:いいプレーをしようとする。学生は泥臭くてもいいから一点決めようという感じがあるのですが、社会人は技術力がある分余裕を持とうとする。
一同:学生の方がスピード感はあるかな。
4年:負ける気がしない。
3年:このチームで負けるビジョンが見えない。4年いるしみたいな。
4年:いやいや。
――社会人チームの印象は
櫨本:くせが強いからわかりやすい。
――くせとはどのようなところですか
櫨本:プレースタイルがはっきりしているので、スコアリングやビデオを見るとこの人こう言うプレーが好きなんだなというのがよくわかりやすいです。こっちもその分対応しやすいかなって。
――どういう勝ち方を目指したいですか
飯豊:足をつらせるくらいは走らせたい。
一同:圧倒的運動量で勝ちたい。疲れさせたい。
――日本一に向けて
石川:ここまでやってきたら勝つしかないので、絶対勝ちます。
櫨本:経験したこともないことかもしれないけれど、ステップ自体には不安も感じてないし、このチームで自信を持って戦えると思います。最後まで自分が作りあげてきた理想のチーム増をどれだけ見せつけられるかが勝負だと思います。
小久保:今年のチームは圧倒的運動量でアップも含め練習でやってきたので、クラブチームを圧倒して圧勝したいです。
飯豊:日本で17チームが続いているのは慶大と同大だけで、慶大が倒してきた相手の学校のためにも、学生が絶対日本一を取るという強い気持ちで勝ち切りたいと思います。
大木:負ける気がしないです。今までやってきたことをいつも通り発揮していつも通りプレーすれば絶対日本一をとれると思うので、17チームを最後まで楽しんでプレーしたいと思います。
横田:勝つと思います。最後だし全員が、自分がやりたかったプレーとか会場が沸くようなプレーをしてこれ以上ないと思って引退したいなって思います。
――お忙しい中ありがとうございました! (取材:反保真優、写真:江島健生)
◇G横田真央(#49・経4・渋谷幕張)
◇DF飯豊広奈(#70・政4・慶應女子)
◇DF大木茉莉(#3・総4・慶應NY)
◇DF櫨本美咲(#62・経3・慶應女子)
◇MF石川のどか(#66・政3・品川女子学院)
◇MF小久保磨里奈(#97・政3・慶應NY)