9月5日から7日にかけて、横浜・日産スタジアムにて開催された天皇賜盃第95回日本学生陸上競技対校選手権大会(全カレ)。慶大は、目標であった「男子20点・女子18点」には及ばず、男子7.35点、女子8点の結果となった。
真夏の暑さから一転、10月並みの肌寒さと冷たい雨が続いた3日間。厳しいコンディションの中、選手たちは「大学陸上最高峰」の特別な舞台でしのぎを削った。
「最後の全カレ」となった4年生は苦戦を強いられた。女子やり投の前回王者・倉田紗優加(環4・伊那北)は、連覇を狙うも、最終順位は4位と表彰台を逃す結果に。主将・須﨑遥也(商4・丸亀)も、男子走高跳で惜しくも6位。
そんな中、頭角を現したのは、男子800mの市村瞭太郎(経3・慶應志木)。準決勝ではラストに驚異的な追い上げを見せ、慶大として実に12年ぶりとなる念願の決勝進出を決めた。
〈男子〉7.35点/総合23位
〈女子〉8点/総合22位
| 種目 | 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 男子200m | 予選 | 林 明良 | ― | DNS |
| 三宅 陽立 | ― | DNS | ||
| 男子400mH | 予選 | 沼田 直樹 | 53秒31 | 6着 |
| 男子800m | 予選 | 市村 瞭太郎 | 1分51秒92 | 3着/準決進出 |
| 準決勝 | 市村 瞭太郎 | 1分52秒01 | 2着/決勝進出 | |
| 決勝 | 市村 瞭太郎 | 1分50秒86 | 7位/2点獲得 | |
| 男子走幅跳 | 決勝 | 細萱 颯生 | 7m28(+1.4) | 17位 |
| 男子走高跳 | 決勝 | 須﨑 遥也 | 2m05 | 6位/0.85点獲得* |
| 女子100mH | 予選 | 坂田 涼音 | 14秒98 | 7着 |
| 女子三段跳 | 決勝 | 佐田 那奈 | 12m33(+0.5) | 6位/3点獲得 |
| 女子やり投 | 決勝 | 倉田 紗優加 | 51m51 | 4位/5点獲得 |
| 男子4×100mR | 予選 | 中島 叶雅、三宅 陽立、岩舩 遙信、藤井 清雅 | 39秒54 | 4着 |
| 男子4×400mR | 予選 | 沼田 直樹、荒井 光、圓山 倫生、長谷川 滉 | 3分13秒77 | 5着 |
*6位に、同一記録(無効試技回数も同じ)の選手が7人並んだため、得点は0.85点になる
| 種目 | 選手名 | |||
|---|---|---|---|---|
| 十種競技 | 高橋諒 | 総合得点 | 6940点 | 4位/4.5点獲得** |
| 十種100m | 11秒26(-0.8) | |||
| 十種走幅跳 | 6m80(+1.0) | |||
| 十種砲丸投 | 11m48 | |||
| 十種走高跳 | 1m89 | |||
| 十種400m | 50秒73 | |||
| 十種110mH | 15秒16(-2.3) | |||
| 十種円盤投 | 35m04 | |||
| 十種棒高跳 | 4m00 | |||
| 十種やり投 | 53m40 | |||
| 十種1500m | 4分43秒60 |
**4位に同じ得点の選手が1人並んだため、得点は4.5点になる

予選での市村
800m予選には市村瞭太郎(経3・慶應志木)が出場。スタート直後は全選手横並びの拮抗した展開となるが、400m付近で2位につけると、600mを通過したタイミングで仕掛け、先頭に躍り出る。ハイペースのレースのなか、ラスト200mは粘りを見せて3位フィニッシュし、準決勝進出を決めた。
予選と同日、雨足が強まる中で準決勝が始まる。市村は序盤から集団の前方で積極的にレースを進める。一時集団の後方に下がる場面もあったが、残り200mを切ってから驚異的な追い上げを見せる。ラストの直線で一気に前方の選手を追い抜き、組2着でフィニッシュ。慶大勢12年ぶり、そして本人も今大会の目標として掲げていた決勝へと駒を進めた。

決勝での市村
翌日、男子800m決勝では、激しい競り合いの中で集団の後方に位置取り、冷静にレースを進めていく。一度集団から離されかけるも懸命に食らいつき、必死のラストスパートをかける。ハイレベルな選手たちの中で奮闘を見せ、7位入賞を果たした。

坂田涼音(環1・渋谷幕張)
ルーキーの坂田涼音(環1・渋谷幕張)は女子100mHに出場し、予選で7着となった。
男子4×100mR予選には、中島叶雅(商4・慶應)、三宅陽立(環2・県立長田)、岩舩遙信(環3・新潟明訓)、藤井清雅(総3・渋谷幕張)が出場するも、4着となり決勝進出とはならず、競技を終えた。

沼田直樹(法3・慶應)
400mH予選に沼田直樹(法3・慶應)が出場。大雨に見舞われる中、6着となった。

男子4×400mR予選
男子4×400mR予選には沼田直樹(法3・慶應)、荒井光(政1・国立)、圓山倫生(総2・新潟)、長谷川滉(総3・都立駒場)が出場するも、5着で決勝進出とはならなかった。

倉田紗優加(環4・伊那北)
女子やり投では、絶対女王・倉田紗優加(環4・伊那北)が連覇をかけた戦いに挑む。優勝と共に、同競技パリオリンピック金メダリストの北口榛花が持つ大会記録更新に期待がかかる。1投目で50m22をマークするが、降りしきる雨の影響もあり、その後はなかなか記録を伸ばすことができない。それでも5投目、6投目と記録を伸ばし、最終6投目で51m51を記録する。最終順位は4位にとどまり、表彰台にはあと一歩届かず。しかし奮闘を見せ、チーム初得点となる5点を獲得した。

須﨑遥也(商4・丸亀)
男子走高跳には主将の須﨑遥也(商4・丸亀)が満を持して登場。最初の高さとなる2m05を一発目の試技で悠々クリア。しかし続く2m10の高さをクリアすることができず、記録2m05で競技終了となった。朝から断続的に降り続いていた雨の影響もあり記録を伸ばしきることができなかったが、6位入賞を果たした。目標としていたところには届かず、競技終了後には悔しさをにじませた。それでも直後の市村の決勝では、間近で仲間を鼓舞するなど、最後まで主将としての役目を全うした。

佐田那奈(看3・福岡雙葉)

女子三段跳には、佐田那奈(看3・福岡雙葉)が出場。強まった雨で試合が中断となるなど波乱が巻き起こる中、佐田は徐々に記録を伸ばし、3度目の跳躍で12m33を記録。上位選手8名のみで行われる4回目以降の試技に見事駒を進めた。その後の試技では記録を伸ばすことはできなかったが、全体6位で競技を終えた。

細萱颯生(政3・桐朋)
今年大飛躍を果たした細萱颯生(政3・桐朋)は、男子走幅跳に出場。結果は7m28(+1.4)で第17位。全国の舞台で、レベルの高さを見せつけられる結果となった。
十種競技に出場した高橋諒(商3・桐朋)は、1日目、100mは11秒26で7着。続いて走幅跳では、1回目の試技で6m80を出すが、2回目・3回目の試技はファウルとなり、記録は6m80。砲丸投は最終投擲となる3回目に11m48を記録する。3種目終了時点で2146点、暫定12位。ここまで高橋の本領発揮とはならず、上位勢との差が広がっていく苦しいスタートになった。

高橋諒(商3・桐朋)
しかしその後の走高跳では、1m77からスタートし、順調にクリアしていく。1m89まで一度もバーを落とすことなく競技は進み、高さは1m92、挑戦者は残り5人に。高橋はここで3回失敗してしまうが、他2人も同様に失敗したため、無効試技回数が最小であった高橋が種目3位となる。十種1日目最終種目の400mは50秒73で5着。1日目(5種目)終了時点では暫定12位。決して順調とは言えないものの、2日目へと望みを繋いだ。


雨が降りしきり冷え込む中、2日目が始まる。高橋は2日目最初の110mHを15秒16でスタート。続く円盤投では35m04をマークし、この種目6位につけ再起を図る。棒高跳では、最初の跳躍で3m60をクリアして波に乗ると、続けて3m70、3m80も危なげなく突破。最終的に4m00まで記録を伸ばした。やり投では最終投擲となる3投目に53m40を記録し、種目4位で徐々に総合順位を上げていく。最終種目となる1500mで4分43秒60を記録し、無事競技を終えた。最終的には総合4位入賞を果たした。

――競技当日(大会3日目)は雨でした。当日のコンディションについて、どのように考えていましたか?またどのような対策をしていましたか?
試合当日が雨予報になることは以前から予想できていたため、雨の中では助走で滑ったり、踏み切りの感覚が変わったりする可能性がありました。助走の段階からしっかりと地面を踏み、力を伝えていくイメージを持ってピットに入りました。
自分は、パワーを生かしてダイナミックに跳ぶタイプだと考えています。そのため、雨という難しいコンディションではありましたが、自分の跳躍の特性を考えれば、十分に戦えるという自信はありました。
――ご自身の結果について、率直な感想を教えてください
記録だけを見れば、決して満足のいくものではないかもしれません。しかし、入賞し、僅かな得点を獲得出来たことは非常に評価できることだと考えています。
――最後に4年間応援してくれていた人、支えてくれた人へメッセージをお願いします
ここまで競技を続け、今回の結果を残すことができたのは、日頃から支えてくださっている皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
一方で、競技者としても、主将としても、まだここで終わりではありません。主将としては、同志社大学との対抗戦や箱根駅伝予選会が控えています。また、個人としても、10月中旬に国民スポーツ大会への出場を予定しています。
最後まで自分の役割を全うしたいと考えています。引き続き、応援・ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

――競技当日(大会3日目)は大荒れの天気でした。競技当日のコンディションについて、どのように考えていましたか?またどのような対策をしていましたか?
大学1年の日本選手権で雨の中、塾記録を出すことができた経験もあり、雨は得意な方だったので自分の投げができれば大丈夫だと思っていました。槍はグリップが濡れてしまうと滑ってかかりが悪くなるため飛距離が出なくなります。そのためタオルや傘を持参して投げる直前まで濡れないよう細心の注意を払っていました。
――ご自身の結果について、率直な感想を教えてください
2連覇を狙っていた中で表彰台にも登ることができなかったことに大変情けなさを感じています。記録的にも優勝が狙えないわけではなかった上に、2〜4位がかなり接戦だったため余計に悔しいです。
――最後に4年間応援してくれていた人、支えてくれた人へメッセージをお願いします
最近は特に、1人ではここまで来ることができなかったと日々感じています。うまく行かない時に自分のことのように悩んでくれてうまく行った時に自分のことのように喜んでくれるかけがえのない仲間がいてくださることで4年間が改めて充実していたなと思います。結果を笑顔で報告したい方がたくさんいるのでこれからもまだまだ自分を超え続けられるよう精進します。

――どのような心境で大会を迎えましたか?
今回で3度目の全国大会で、関東インカレよりもレベルの高い環境の中で自分がどこまで戦えるのかを楽しみにしていました。今年はこれまでと練習方法を変え、約2週間にわたる長めの合宿を行い、良い手応えを得られました。その上で準決勝進出を絶対条件、あわよくば決勝進出を目標に設定して臨みました。
――準決勝では慶大12年ぶりの決勝進出を果たしました。準決勝での走りを振り返っての感想を教えてください。
資格記録は組で下から2番目で、厳しい戦いになることは覚悟していましたが、とにかくレースを楽しむこと、恐れることなく自分らしい走りをすることを考えていました。当日は雨が非常に強く、スローな展開からラストスパート勝負になると予想していました。だからこそ冷静に判断し続け、焦らないことを意識しました。
レースでは「まだいける、まだいける」とラスト100mまで力を温存することができ、ラストスパートで刺すことができました。以前から課題としていたスプリントに対する余裕度と、ラストスパートでの切り替えの部分を克服し、決勝に進出することができました。
全中に出場して以降、「全国入賞」を目標に取り組んできました。中学から約6年間追い続けた最大の目標を達成でき、言葉では言い表せないほどの喜びがありました。自分はインターハイで入賞・優勝を経験した選手ではなく、大学に入ってから伸びた選手です。全カレとなると高校時代から実力のある選手が活躍する舞台という印象がありますが、たとえ高校で大した実績を残せていなくても、慶應という環境の中で活躍できるということを、同期や後輩たちに示すことができたと思います。
――決勝を振り返っての感想を教えてください。
予選と準決勝の疲労が残り、順位争いに絡めなかったことを悔しく感じました。決勝進出そのものが目標になってしまい、決勝の舞台に立った時点で満足していた部分があったと思います。上位の選手との実力差も大きく、決勝に行っただけで満足することはできません。来年、最後の日本インカレでは、順位争いに絡み、表彰台に乗れるよう、残りの1年間を過ごしていきたいと思います。
――今後の目標を教えてください。
日本選手権決勝進出、関東インカレ優勝、日本インカレ表彰台を目標に頑張ります。そのためにはまず、日本選手権の参加標準記録を突破するところから取り組んでいきます。
取材:片山春佳、鈴木拓己、髙木謙、竹腰環、中島冬奈、中原亜季帆、山口和紀

