7月7日(土)、第17回早慶女子サッカー定期戦が開催される。今季、慶大はチーム目標に「早慶戦勝利」を掲げている中で、史上“初”の早慶定期戦勝利を目指している。そして定期戦を控えた今、大舞台に挑む選手、監督にその意気込みと思いを聞いた。
早慶定期戦を明日に控えた今回は、早慶定期戦特集第5弾として、中島菜々子(総4・十文字)主将、工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)副将による主将・副将対談をお届けする。今季1部の舞台で苦しい時期も互いに支え合いながらチームを引っ張ってきた2人。そんな頼れる彼女たちに今季のチーム、そして来る早慶定期戦について様々な話を伺った。
【取材日:6月18日】
――まず今季ここまでを振り返ってもらえますか
工藤:去年は2部で戦っていて結構勝つ試合が多かったんですけど、今年から1部に上がってやっぱり2部と1部の違いは凄く感じていて、最初の方は5連敗とかしちゃったし勝つことがすごい大変だったっていうのはありました。でも最後の関東学園(2○1)と東洋(2△2)、東洋は引き分けちゃったんですけど、関東学園には勝つことができてそれは良かったのかなって思っています。
中島:まあ今シーズンは徐々に徐々にできることが増えてきているかなっていう印象で、でもやっぱり1部の厳しさっていうのも感じつつ去年2部で戦ってきた蓄積はやっぱりあるなって思っていて、得点力っていうところでは負けていても点が取れていたりっていうところではこの先にもつなげていけるのかなっていうふうに感じています。
――1部で感じる2部との違いはどういう部分ですか
中島:個のレベルっていうのがやっぱり違くて、2部では組織で戦わなくても個で抜けていける試合とかもあったし、球際とかスピード感とかが全然違うなっていう印象です。
工藤:同じく一人ひとりのレベルが高いなっていうのはすごい感じていて、クラブチームの高校生とか技術もあってやっぱりうまいなっていうのはすごい感じます。
――今季ここまでで印象に残っている試合はありますか
中島:印象に残った試合か…
工藤:うーん…
中島:レッズ(5●8)…いや、関学戦かな?レッズかな?
工藤:レッズ戦?
中島:レッズ戦かなってちょっと思っていて、前半自分たちのミスから4失点して、でハーフタイムでいろいろ指示が出て、後半はあの時間帯だけで5点取れたっていうのは一人ひとりの意識がすごい変わった瞬間だったかなって思っていて、課題は多く残るゲームだったけどその後の関学戦とかにも繋がったのかなって思います。
工藤:そのレッズ戦は後半から本当に変わったというか、やればできるんだというのが感じられたっていうのは大きかったと思います。
――ハーフタイムにはどのような話があったんですか
中島・工藤:なんだったっけ(笑)
中島:一番は、前半から声が本当に出ていない試合で、そこの部分とか結構メンタル的な部分の指示っていうのが大きくて、今シーズン1部で戦っている中で失点した後の雰囲気だったりとかっていうのは大きな課題なので、そこの部分での指示が大きかったかなって思います。ケビン(Kevin Bennewirtzコーチ)かな?なんかケビンがいいこと言ってたよね?
工藤:なんか言ってた!なんだっけな
中島:なんか、ここで試合を諦めるか…
工藤:なんだっけ
中島・工藤:(笑)
中島:「この試合を捨てるか、それかもう奇跡を起こすかだ」みたいな、結構響くことを言ってました(笑)
――昨季から戦い方の部分で変えたところはありますか
中島:守備の部分にはフォーカスするようになったかなと思っていて、去年は基本的に攻撃の部分ばっかりを練習していた一年だったんですけど、やっぱり1部になる中でボールを持たれる時間もあるので、守備っていう部分にフォーカスする時間は増えたかなって思います。
工藤:去年とかはボールを持てちゃうんで、あんまり守備の部分で練習してなくても取れちゃうことが多くて、だけど1部は組織で取らないとマジでボールが奪えないので、やっぱりそこで今シーズンはディフェンスに力を入れてるなっていうのはあります。
――前期は徐々にチーム状況が上向いてきたと思いますが、そこについてはどう思いますか
中島:そうですね。試合を重ねるごとに自分たちも先ほど言ったような1部のスピードだったり球際の部分も感覚的に慣れてきたっていうところもあるし、やらなければいけないことが明確化されてきたので、少しずつですけどステップアップできてるのかなって思います。
工藤:同じく、最初は1部のレベルの高さに焦ってた部分もあったんですけど、でも結構味方とコミュニケーションをとって要求し合いながら徐々にそれは改善できているのかなって思って、だから最初はあまりできなかった部分もできるようになったっていうのはあります。
――前期を終えて、それぞれ主将、副将として感じている難しさや、お互いを見ていて感じる部分などはありますか
中島:うーん…なんだろうなー
工藤:菜々子さんに関しては主将だし…
中島・工藤:(笑)
工藤:すごい大変そうだなって思うし、でもその主将の支え方ってすごい難しいっていうか、なんか、何をしたらいいのかっていうか、そこが…なんか…うん。
中島:主将をやっていて難しいなって思う部分は、みんなの意見を吸い上げながらどこまで自分で決めきっていいのかとか、それでみんなに響いてるのかなとかっていうのが分かりづらかったりするのは結構難しいなって思っていて、真子を見ていて難しそうだなって思うところは、まあ去年自分も副将をやっていて、明確に「これをやらなければいけない」っていうことは正直なくて
工藤:そうそうそう(笑)
中島:それも難しいし、突然、今まで何もなかった中で幹部になった時の突然降りかかる責任感とかって結構思いがけなかったりするなって思います。
――工藤副将の気持ちが分かると
中島:はい
中島・工藤:(笑)
――部内の先輩後輩関係はどんな感じですか
中島:ない
工藤:うん
中島:ある?一応…ない(笑)
工藤:一応ない(笑)
中島:一応ある(笑)一応ある?ない?
工藤:上下関係?全然。うちなめられてます、後輩に
中島:ないね(笑)
工藤:私は特にめっちゃ
中島:真子?
工藤:なめられてません?わたし
中島・工藤:(笑)
工藤:いや、全然いいんですけど
中島:一応「真子さん」って言われるけど…
工藤:たまに「よっ、真子」みたいな(笑)「お疲れ、真子」とか
中島:試合中とかも絶対にないし、普段も全然。たぶんバカみたいなことやっちゃうから(笑) うちらが結構
工藤:なんか私が1年の時は結構4年生恐いっていうか、結構強い存在だったんですけど、でも今は、なんか…
中島:フレンドリーだよね
工藤:うん。たぶん昔よりはフレンドリーというか、丸くなったのかな?
中島・工藤:(笑)
工藤:分かんないけど、雰囲気は良くなったのかなって、1年生の時と比べて感じてます。
中島:仲いいと思います
――1年生の印象はどうですか
中島:4人?かわいい~
工藤:かわいいし、自分のことなめてます、本当に
中島・工藤:(笑)
工藤:なんか、「真子さん、ジュース」とか言って(笑)
中島:(笑)
――中島選手はどうですか
中島:たぶん、真子ほどはなめられてなくて(笑)
工藤:(笑)
中島:本当に結構まっすぐで、みんな。本当にチームが勝つために何しようって常に考えてるなって思っていて
工藤:うん。みんな良い子
中島:良い子で、ほんとかわいいなって思います。なんかちょっとずつ何か抜けてる子が多いんですよ。
工藤:あ~、確かに(笑)
中島:すごいまっすぐなんですけど
工藤:なんかね(笑)
中島・工藤:何かのネジが足りない(笑)
中島:かわいいなって思います
――開幕前の取材ではお互いに仲が良いとお聞きしましたが
工藤:菜々子さんが結構しゃべるんで、もう私は「はい…」みたいな(笑)
中島:え!うそ(笑)
――工藤選手が1年生の時に中島選手は2年生でしたが、4年生のような恐さみたいなものはなかったんですか
工藤:…そうですね
中島:なめられてるわ~(笑)
工藤:(笑) なんか「4年生の恐さ」ってあって、2、3年生は…
中島:たぶん1、4が恐いんだと思う
工藤:卒業したら全然平気なんですけど、私が1年の時は「あ、4年生恐い…」みたいな
――今はだいぶ変わってきましたか
工藤:そうですね
中島:でもどうなんだろ。1年生はどう思ってるのか分からないけど
工藤:うん。確かに
――お二人はプレー中も普段とあまり変わらないですか
中島:違う?
工藤:え~?どうなんだろ
中島:プレー中は真子は結構黙々と…(笑)
工藤:なに?(笑)
中島:なんか黙々と戦ってる感じがあるけど、普段はなんか、踊っ…
中島・工藤:(爆笑)
工藤:踊ってはない踊ってはない(笑)
中島:踊ってはないけど、くだらないというか(笑) いや、面白い面白い。すごい陽気だなって(笑)
工藤:(笑)
――それではここからは早慶定期戦についてお聞きします。まずは昨年の早慶定期戦を振り返っていただけますか
工藤:負けちゃったけど、手応えというか、別にそんなに落ち込む試合じゃなかったなって思っていて、そこで結構早稲田と互角じゃないけど、普通に戦えたっていうのは自分たちの自信になりましたし、でもまあ結果として負けてるからそこは勝たないと意味ないと思います。
中島:1年2年の時に比べれば自分たちもボールを持つ時間があったしちょっとはやりたいことができた年だと思っていて、終わった瞬間とかも結構良い雰囲気、まあやり切ったっていう。1、2年の時はもう膝から崩れ落ちる感じだったけど、ロッカールームとかも結構笑顔だったり、その反面ちょっと一人になって考えたら悔しくなって涙が出るみたいな、やっぱり勝ちたかったなっていうのは強くありました。
――具体的にどういうところに手応えを感じましたか
工藤:私が1年の時は全然ボールに触れなかった印象があって、もう点が入る気がしないというかどうやったら点が入るのかなっていうか、その思いでプレーをしていて、でも去年は「いける」っていう、「勝てる」っていうか自信が持てたというか、プレーしているときでもチャンスはあったし、「これはいけるぞ」って試合の中で感じられたことは手応えなのかなって思います。
中島:そうですね…攻撃する機会があったっていうのが結構大きかったかなって思って、いつもだったら守って守って来たら蹴ってみたいな感じだったんですけど、ちょっと自分たちでも繋いで縦突破してみたいなシーンが結構あったなという思いがあるので、そこらへんが手応えだったかなって思います。
――今年は「早慶戦勝利」をチームスローガンに掲げています
中島:早稲田とやれる機会が今年は4回もあって、定期戦は大きなものなのであの舞台で勝った時の喜びってすごいんだろうなっていうのはすごい感じていて、やっぱり4回あって4つ負けるって絶対できないなって思っていて、もう「勝ちたい」っていう感じです。
工藤:私も同じく、今年は早稲田と4回戦う機会があるけど、今週はリーグ戦があって、で2週間後に早慶戦があって、どっちも勝つ。負けたくないんで、絶対勝ちたいです。
――今季は関東リーグ前期第1節(1●9)で早大と戦いましたが、今季の早大の印象はいかがですか
工藤:いや、もう強い、うまいっていうのはあって、やっぱり個の能力っていうのも高いしプラス組織っていうのもあるし、強いっていうのはリーグの第1節で感じました。
中島:やっぱり個の能力とかはありきで、あれだけ全国で4連覇とかしていて、勝者のメンタリティーじゃないけどそういうのも兼ね備えてるなっていうのも感じたし、交代選手とかも、「この時間でその選手出てくるか」みたいなっていうのは結構感じましたね。
――中島選手にとっては今回が最後の定期戦となりますが
中島:そうですね。やっぱり…もう最後ですよね(笑) いや、もうほんとに「勝ちたい!」しかなくて、それこそ他の競技の早慶戦とか行って、アイスホッケーとかも見に行ってたんですけど、歴史的勝利とかやっぱりできないことじゃないんだなって思ったし、もうあの場にいて本当に涙が出るほど感動したというか、自分も優勝カップを持っている姿っていうのをイメージしちゃったし、もうほんとに勝ちたいなっていう気持ちでいっぱいです。
――今回の定期戦でキーになると思う選手はいますか
工藤:私は、一人は華乃(山本華乃=理2・山手学院)。去年は収めるプレーとかあんまりできていなかったんですけど、今年はすごい収めてくれたり点を決めるところで決めてくれたりとか、華乃の存在がすごい大きくなっていて、いまは華乃がいないと点が入らないんじゃないかっていう思いになっていて、結構華乃の足の速さとかヘディングの強さとかそういうのは絶対チームの武器だと思っているので、早慶戦でも華乃の得点に期待しています。もう一人は、志鎌さん(志鎌奈津美=環4・常盤木学園)。やっぱりもともと運動神経が良くて足も速くて、今年からキーパーをやってくれていて、「本当に初心者のキーパーなの?」って思えるくらいジャンプ力もあるし判断とかも、あれは本当にすごいなって思っていて、だから早慶戦でもビルドアップとかセーブに期待しているというか、その2人に注目しています。
中島:そうなんですよ。そこ2人はキーで、敢えて違う人を言うとして、愛(小川愛=総2・神村学園)と、朋(平田朋=環1・日ノ本学園)かな。愛は感情を表に出したりするタイプじゃないんですけど、必要な時に必要な場所にいたりとか点が欲しい時に点が取れたりっていう、なんだろ…影のエースじゃないけど(笑) 本当に大事な存在だなっていうのは凄く感じていて、朋は何かやってくれそうな独特な雰囲気を持っていて、ドリブルのリズムとかもこのチームにないものを持ってるし本当に流れを変えられる選手だなって思っているので、そこの2人に期待します。
――自身のプレーではどういうところを見て欲しいですか
工藤:自分は結構くさびを当てるパスが得意なので、自分のくさびのパスで攻撃のスイッチが入るようなプレーをしていきたいなって思っています。
中島:やっぱり戦うってところかなって思っていて、技術の高い後輩はいっぱいいる中で、自分が一番できることは体を張る部分であったりとか戦うっていうところだと思うので、そこを見て欲しいなって思います。
――最後に早慶定期戦に向けて意気込みを教えて下さい!
中島:本当にもうずっと言ってるんですけど、ほっんとうに勝ちたくて、もう勝ったら本当に何でもいいくらいで、どんな勝ち方でもいいから何が何でも勝ちたいと思っています。
工藤:私も同じで、やっぱり早慶定期戦っていうのは学生も運営に携わってくれるものだし、その期待に応えられるように絶対勝利してみんなで喜び合いたいなって思います。
――ありがとうございました!
(取材:岩見拓哉 写真:高橋春乃)