11月1日13時から、慶大下田グラウンドで関東大学リーグ1部後期第11節(最終節)兼第25回早慶女子サッカー定期戦が開催される。
女子サッカーの早慶戦は定期戦通算24試合を慶大の0勝4分20敗。リーグ戦などの公式戦を含めても39試合を慶大の0勝6分33敗。慶大が勝利したことは一度もない。
1部リーグは9位以上で残留が確定。10位と11位が1部・2部入れ替え戦に進み、12位(最下位)が2部に自動降格となる。
21年以来5季ぶりの1部を戦う慶大は、1試合を残して11位。入れ替え戦以下(10位以下)が確定していて、最終節で12位に陥落して自動降格となる可能性もある。
今回、ケイスポは最後の早慶戦に臨む4年生全8部員に単独インタビューをした。第8弾(最終回)は、チーム19得点のうち11得点を決めている絶対的ストライカー、TEAM2026をけん引する主将の野村亜未(総4・十文字)!
(インタビューは後期第9節から後期第10節の間に実施)
※早慶戦の勝敗記録の出典
伊東武彦,2025,『早稲田サッカー 百年の挑戦』早稲田サッカー 百年の戦績 女子部編,徳間書店,p.103-132.

野村亜未(のむら・あみ)

――サッカーを始めたきっかけとサッカー歴
年長の頃に兄について行って、兄がサッカーを楽しそうにやっていたのがきっかけで始めて、小学生の時は小学校のクラブチームで、中高は十文字で、慶應義塾大学に入りました。現在16年目になります。
――慶應を選んだ理由
漠然とした憧れが大学自体にあったことと、将来を考えてサッカーだけじゃなくて勉強も両立できる慶應を選びました。
――実力としてはプロを目指すこともできると思うが、大学でサッカー人生に区切りをつける理由
プロを目指すこともたしかにできるかもしれないですが、もともと大学でサッカーを続ける時に、最初は大学生の部活だから楽しみながらできればいいと思っていたけど、やっぱりやり始めたら私の性格上勝ちたいとか上を目指したいという想いが芽生えてきました。ここまで本気でやるのは大学といういい区切りもあるし、サッカーはそんなに長く続けられるものじゃないからこそ、いい状態で終わりたいというか、ここまで頑張りたいと思えるような区切りだったと思います。
――オフの日の過ごし方
新しい景色や自然に触れたり、見たことないようなものを見るのが好きですね。旅行に行ったり、温泉も好きです。
――4年生でいっしょに時間を過ごすことが多い選手
恭佳(岡田恭佳(環4・十文字))は(十文字)中高からいっしょで、いっしょに帰って部活の話をしたりだとか、長い時間をいっしょに過ごしているかなという印象です。
――自信のあるプレー
スピードを活かした背後への抜け出しです。
――今季を振り返って
1部の舞台を経験して、レベルの高さや現実を突きつけられたりして、もちろん「これが1部か」と思わされることもあったけど、自分たちのやっていたことが通用する部分もあって、間違っていなかったと思うし、うまくいかないこともあるけど1部に残り続けることが慶應の強さの証明にもなると思います。いろいろな葛藤や現実と理想のギャップに苦しむこともあったけど、最後までやり続けるのが自分らしさだと思うし、サッカーを貫くことがやっぱり求められるんじゃないかと思っています。
――今季は1トップと2トップを併用しているが、FWとして出場する野村選手が感じる難しさや工夫しているところ
自分で言うのは変ですけど、どこの大学にも「9番抑えちゃえば」と言われることが多くて、1トップでやっているときは2センターバックに自分が抑えられたら何もできないし、そこにもどかしさがあって、その中でも自分にできるのは最後までゴールに向かう姿勢や結果で示すところだと思います。もちろん1トップと2トップは守備の面とかも含めて違いはあるけど、自分にできることをやり続けるだけだと思います。
――インタビュー時点で20試合で11得点という数字について
やっぱり自分の中では2年生の時のブログに書いたように「得点王になりたいわけじゃない」ですし、点を取ることよりもチームが勝たないといけないですし、結局それは果たさなきゃいけない使命でもあって、一喜一憂するわけでもなく、試合を振り返れば点を取れたシーンもあるので、数字もですが最後までチームを勝たせるという想いで得点を奪えればと思います。
――10月3日の神大戦の後に、主将としての葛藤をインタビューで話してくれたが、神大戦の翌週の国スポでチームを離れてから復帰した後のチームの変化や、10月17日の帝平大戦で勝って現在の雰囲気は
国スポに行かせていただいて、その間のチーム状況については副将の凜(佐藤凜(総4・常盤木学園))とか、火曜日の練習に来てくださる福本さん(福本拓海コーチ)とも連絡を取っていて、その中でも普段声を出している私や(共に国スポでチームを離れた)和花(米口和花(総3・十文字))がいなかった分、みんな頑張ろうとしてくれていたし、雰囲気的には悪くなかったよということも聞いていました。一つ自分が離れることで、私自身もチームを俯瞰して見るというか、いつも熱くなってしまう部分を冷静に見ることができた良さもあって、あとはチームもいい雰囲気でやってくれているということを聞いたからこそ、「このチームでやっぱり頑張りたいな」「これを継続して帝平に勝ちたいな」という想いで国スポの後の練習に取り組みました。その週も完璧と言える練習ではなかったけど、ああいう帝平戦になって(残留争いの大一番を3-1で勝利した)、全員がすごく高ぶっていたし、それぞれの力も最大限発揮されていたかなと思います。一方でまだ残留が決まったわけでもないので、練習の緊張感を保ち続けるように4年生で話していて、まだ(インタビュー時点で)2戦残っている中で自分らしさを貫くことと、勝ち点3を取りに4年生を中心に頑張っています。
――どうしても、勝てていないときに雰囲気が重くなったり、ムラのようなものが出てしまうこともあると思うが、野村主将がそういった状況にどう向き合ってきたか
そこに対してうまくアプローチできていたかを考えると、胸を張ってそうとは言えない部分もあって、結果が出ないといろいろとネガティブに考えちゃうし、それも雰囲気として漂っちゃうし、でもやっぱり周りの部員たちに支えられていたと振り返って思っています。私も得点を決められなかったりプレーがうまくいかなかったら沈んじゃうし、それを外に発散しがちな部分もあったので、そういうときに同期から声をかけてもらったりとか、出ている出ていないに関わらずベンチの選手も声をかけ続けてくれたりとか、私自身はもちろんプレーを最後までやり続ける部分は大事にしつつも、他の部分でうまくできないところは周りに支えてもらっていたと思います。だからこそこの前の帝平戦はとにかく前向きな声をかけようと学年の中ですごく意識していたし、試合の前にもテソンさん(黄大城監督)にも個人的に「やっぱり練習で厳しく求めるのはそうだけど、試合になったらより前向きな、ポジティブな声をかけることを意識するんだよ」とお話しいただいて、そこは意識して帝平戦に臨んで、これまでみんなに助けられた部分とか、テソンさんにもらった言葉を一番体現できた試合だったのかなと思います。
――4年生の佐藤副将、3年生の髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)副将の2人はもともとはあまり声を出すタイプではなかったが声を出すようになったと話していて、今季からDFリーダーになった米口選手もすごく声を出すようになったと思うが、現在のチームの雰囲気や勝ちに向かっていく一体感をどう感じているか
私の発信が大きすぎてしまうことももちろんあるけど、日々の練習から変わろうとしている姿勢をすごく見えるようになっていて、今名前を挙げていただいた選手の他にも紗莉(田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18))とか、理子(岩田理子(総3・十文字))とかも、自分の状況があまりよくなかったとしてもチームに対しての働きかけというところは、名前を挙げた選手以外にもそれぞれの立場で考えて動いてくれているのがすごく伝わっています。やっぱりそれって当たり前じゃないし、この組織だからこそなのかなと感じている部分もあって、もちろん「声がすべてじゃない」というテソンさんの話もあるんですけど、一番分かりやすく変化が見えるのは声だと思うし、いいプレーが出れば自然と声も出ると思うので、活気のところはそれぞれが現状をどうにかして変えようという想いから取り組んでくれていると思うし、自分だけじゃなくて全員でいっしょになってやっているという想いがここ最近すごく感じられています。
――ここからは早慶戦について、野村選手の運営面での担当は
当日企画のフォーム作成で、来場者へのアンケートをつくっています。
――試合に向けて、1年生から3年生でキーマンを1人
遥(木田遥(総1・十文字))かなと思います。この前の帝平戦も落ち着きがすごくて、「ほんとに1年生?」と思うくらいの(笑)、信頼感も安心感もあって、あとは何と言ってもあのガッツというか、絶対負けないという想いがあふれたプレーとか、彼女もすごく発信するようになった気がしていて、もともとそんなに喋らないことはないですけど想いの熱さも日々伝わるものがあって、キーになると思います。
――早大の警戒するポイントや、戦術的に大事なこと
最後は相手よりもやっぱり自分たちかなと思っています。もちろん戦術もあるけどそこはテソンさんが考えてくれるので、自分たちはできることをやるだけで…あとはセットプレーからの失点は痛いので、そこは全員で意識を上げつつ、逆に自分たちがセットプレーで点を取れるように、セットプレーは大事にしたいと思います。最後は目の前の相手に負けないとか、最後まで走るとか、当たり前の部分をしっかりと突き詰めてやっていきたいと思います。
――早大の千葉梨々花主将とは十文字中・高でのチームメイトだが、千葉主将に向けた宣戦布告を
中高まではお互い仲間として戦ってきて、プレー面も尊敬する部分がある中で、最後に早慶戦の舞台でライバルとして戦えるので、試合が終わった時に結果がどう転ぶか分からないですが、最後まで誇りを胸に戦って、いい試合ができればなと思います。絶対に慶應が勝ちます!
――色紙に書いた「全てを懸ける」という言葉に込めたもの
やっぱりこれまでのサッカー人生を振り返って、一人では成し遂げられなかったものばかりだと思っていて、そういった日頃から支えてくださって、応援してくださる方々の想いや、先輩方が積み上げてくださったもの、自分自身もサッカーの集大成ということで、全てを懸けてこの一戦を戦い抜きたいと思います。
――今季、チームは「尽くす」というスローガンで活動してきたが、野村選手が尽くしてきたことは
主将という立場をやらせていただいて、チームに目を向けるというところが大きく変わったと思っています。最初の頃は「自分が頑張れば」とか「自分が点取ればチームは勝てるんだ」と思って頑張っていたけど、(2年時に)結局得点王になってもチームが1部昇格を達成できなかったことがきっかけで、もっとチームに目を向けて働きかけないと現状は変わらないと思ってから3年生で副将を務めて、4年で主将を務めさせていただくことになって、このチームの現状に対して目を向け続けなければいけない、苦しくてもどうにかしてチームを前に進めなければいけないというところでやり続けて、やってきた過程の中でうまくいかないこともあったけど、それはたぶん無駄じゃなかったと今になって少しずつ思えてきている部分もあるので、常に自分がチームの当事者であり続けて、最後に結果を残して正解だったと思えるように頑張りたいと思います。
――早慶戦の意気込み
両校のプライドがかかった一戦で、慶應は勝ったことがないですし、歴史を変えるチャンスもあるので、自分たちがこれまで積み上げてきたものを最大限発揮して、必ず勝って終わりたいと思います。点決めます!
――サポーターに向けて
どんなに遠方でも来てくださって、声を枯らして応援をしてくださっている姿は自分の中ですごく支えになっていましたし、この前の帝平戦でもすごく感じて、やっぱり自分たちだけじゃないなと改めて感じさせていただいて、間違いなくそういった方々の支えや応援が私たちがどんなに辛いチーム状況でも本当に助けになっていました。最後まで自分たちが現実に抗って戦い続けるので、いっしょに戦ってほしいということと、これからも応援よろしくお願いしますということを伝えたいです。
(取材:柄澤晃希)

