11月1日、黒黄と紫紺が織りなす伝統の一戦は、新たな時代への一歩を踏み出す。昨季、慶大が惜しくも2点差で敗れた明大は、その後勝利を重ねて日本一に輝いた。王者に届きかけた経験を糧に、そして、それでも勝利を掴めなかった悔しさを胸に、今年こそ白星を掴み、対抗戦に黒黄旋風を巻き起こせ。
まずは、昨年度の対戦を振り返る。前半は明大にペースを握られながらも要所要所で堅牢なディフェンスを見せて流れを渡さず、2トライ2ゴール差で試合を折り返すと、ギアを上げた後半立ち上がりに2トライを連取し、さらにペナルティゴールを沈めて逆転。しかし、再びトライを奪われて2点ビハインドとなると、最後は懸命なアタックを続けるも得点を奪えず、2点差で惜敗した。悔しさの残る試合となったが、のちに対抗戦優勝、さらに大学日本一に輝くことになる明大相手に大接戦を繰り広げたことは確実にチームの自信に繋がった。

1年前の借りを返す時が来た
次に、今季の両チームのここまでの戦いぶりを振り返る。日本一を目指して「ALL IN」を貫き続ける慶大蹴球部は、今季の対抗戦の戦績を3勝1敗の勝ち点18とし、全体4位につけている。開幕戦となった帝京大戦こそ5-50と大敗したものの、続く青学大戦では9トライ、第3節の立教大戦では8トライを奪う完勝で勢いに乗ると、先週末に行われた日体大戦では悪天候に見舞われながらも接戦を制して3連勝とした。伝統のディフェンスで規律を維持し、安定感のあるセットプレーで試合の主導権を掌握。そこから多彩な手段で得点を狙うラグビーは、シーズンの経過とともに進化している。一方、連覇を目指す明大は、ここまで全勝。ボーナスポイントも全て取り切り、勝ち点24で同率首位につけるなどこちらも絶好調だ。伝統のFW陣だけでなく、BKにもタレントが揃い、昨季の日本一を知るメンバーも多数残留。抜け目のないチームとなっている。

直近3連勝と波に乗っている慶大
続けて、試合のキーポイントを分析する。この試合の鍵を握るのは、FW陣のセットプレーだろう。今季、慶大にとってセットプレーは大きな武器となっている。唯一敗れた帝京大戦も優位に立っており、勝利した3戦では相手ボールのセットプレーでもペナルティを誘発させるなど圧倒。先発の8人だけでなく、リザーブの選手が投入されてもクオリティが落ちることはなく、対抗戦の第2節から第4節までの勝因の大部分を占めていると言っても過言ではない。一方の明大も伝統的に体格の優れたFW陣を強みとしているチームで、セットプレーは十八番としている。今季もその伝統を受け継いでおり、この試合のスタメンFW平均身長は182.9cm、平均体重は104.75kg。そんな紫紺の大型FW陣に対し、これまで同様セットプレーで優位に立つことはできるか注目だ。

セットプレーがカギを握る
そんなセットプレーを率いるのがHO藤森貴大(経4・慶應)。昨年の慶明戦で対抗戦初スタメンを飾り、モスト・インプレッシブ・プレーヤーに選出された藤森は、昨季は課題だったと語るセットプレーでの貢献度を増やしてきた。特に正確なラインアウトスローは慶大の主たる得点パターンの1つであるモールの基盤となっており、その貢献度は計り知れない。また、一貫校時代から長きにわたり慶應ラグビーに身を投じてきた藤森は、「魂のタックル」の体現者でもある。この試合では恩田優一郎(政4・慶應)主将がリザーブからの出場となるため、藤森は先発するFW陣で唯一の4年生として、攻守に八面六臂の活躍が期待される。

藤森貴大(経4・慶應)
強力FW陣とともに明大で警戒しなければならないのが、SO伊藤龍之介(商4・國學院栃木)だ。今年は日本代表に初招集され、そのまま正SOの座をつかみ取った。今季の対抗戦出場は筑波大戦の途中出場のみとなっているが、その筑波大戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得。日本代表のエディー・ジョーンズHCがほれ込んだ「超速」のランと多彩なスキルで明大のアタックに豊富な選択肢を与えるプレーヤーだ。10月中旬も日本代表の活動に参加していたが、慶明戦にあわせてチームに復帰し、リザーブに名を連ねている。疲労が溜まる終盤にフルスロットルで襲い掛かってくる「キング」に自由を与えてはならない。

80分間魂のタックルを浴びせ続けたい
目標である日本一に向けて歩みを進める慶大にとって、このタイミングで迎える昨年王者である明大との対戦は1つのマイルストーンとなる。昨年あと一歩届かなかった勝利を掴み、対抗戦に黒黄旋風を巻き起こせ!
(記事:髙木謙)


