開幕戦を6-0で圧勝した慶大は、2連勝を目指して十文字大と対戦した。開始早々の4分に小川愛(総1・神村学園高)のゴールで先制に成功し、34分には松木里緒(環2・常盤木学園高)のゴールで2-0とした慶大だが、前半はやや縦に攻め急ぎすぎる場面が目立つ。後半、慶大は志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)を投入すると、そこから松木、志鎌、加藤楓琳(総2・常盤木学園高)の常盤木学園高トリオがゴールをマークした。2試合連続の大量得点・無失点が目前に迫っていたが、90分にミスから失点。課題を残しつつの開幕2連勝となった。
第31回関東大学女子サッカー2部リーグ 第2節
2017/09/06(水)16:30KO@慶應義塾下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学 5-1 十文字学園女子大学
【得点者】
1-0 4分 小川愛(慶應義塾大学)
2-0 34分 松木里緒(慶應義塾大学)
3-0 77分 松木里緒(慶應義塾大学)
4-0 82分 志鎌奈津美(慶應義塾大学)
5-0 85分 加藤楓琳(慶應義塾大学)
5-1 90分 河野瑠奈(十文字学園女子大学)
◇慶大出場選手
GK野村智美(総4・作陽高) |
DF佐藤幸恵(総1・十文字高)→83分 齋藤宇乃(理4・慶應義塾湘南藤沢高) |
DF加藤楓琳(総2・常盤木学園高) |
DF熊谷明奈(総1・十文字高)→83分 奥本くるみ(環2・浦和レッズレディースユース) |
DF足立智佳(環1・大阪桐蔭高)→54分 山本華乃(理1・山手学院高) |
MF松木里緒(環2・常盤木学園高) |
MF中島菜々子(総3・十文字高) |
MF工藤真子(総2・日テレ・メニーナ) |
MF小川愛(総1・神村学園高) |
FW勝木日南子(総2・大和高)→63分 志鎌奈津美(環3・常盤木学園高) |
FW鈴木紗理(総1・十文字高) |
開幕戦で流経大に6-0で完勝した慶大。今節は、十文字大との対戦となった。前節の勢いそのままに、開幕2連勝を飾りたい。十文字高出身の中島菜々子(総3)副将、佐藤幸恵(総1)、熊谷明奈(総1)、鈴木紗理(総1)にとっては、かつてのチームメイトも名を連ねるチームとの顔合わせにもなっている。
試合は開始早々に動く。4分、中島が敵陣で五分五分のボールを奪うと、勝木日南子(総2・大和高)のアシストから小川愛(総1・神村学園高)が冷静に相手GKとの一対一を沈めて先制。幸先の良いスタートを切る。しかしこの日の慶大は松木里緒(環2・常盤木学園高)、小川の両サイドハーフが中央に絞り、佐藤幸恵(総1・十文字高)、足立智佳(環1・大阪桐蔭高)の両サイドバックがフリーになっている場面でセンターバックが中央への縦パスを選択する場面が多く、中を固める相手に度々引っかかってしまう。17分にはパスミスからカウンターを受け、数的不利で大ピンチとなったが、ここは相手の判断ミスに救われた。34分、慶大は右サイドの高い位置に中島が飛び出してクロスを上げると、最後は松木が決めてゴール。2-0としたものの、どこかぎくしゃくしたまま前半を終えた。
ハーフタイム、伊藤洋平監督は「バランスが良くなかった」という両サイドハーフのポジション取りを修正。状況の打開を図る。
後半もイニシアチブこそ慶大が握るものの、なかなか決定機を作り出せない時間帯が続く。そんな中、雰囲気を変えたのは慶大の背番号「10」だった。63分、伊藤監督は勝木に代えて志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)を投入。直後の68分、右CKをヘディングで合わせる。これは惜しくもポストに阻まれてしまったが、ゴールの予感を漂わせた志鎌。すると、79分だった。慶大は松木が志鎌とのパス交換から強引に決めて3-0。82分には右サイドをえぐった小川のクロスを志鎌がダイビングヘッドで決めて4-0とする。85分にもCKから加藤楓琳(総2・常盤木学園高)が2試合連続得点を挙げ、これで4得点を常盤木学園高トリオがマークする大活躍。あとはきっちりと試合を終わらせるだけ――。2戦連続の大量得点・無失点が目前に迫っていた90分だった。慶大はミスからロングシュートを沈められて失点。5-1で大勝したものの、やや後味の悪さが残る結果となった。
開幕2試合で11得点を挙げての連勝スタートは、目標とする大学リーグ1部昇格に向けても絶好の船出だ。しかし、野村智美(総4・作陽高)主将が「何でシンプルなプレーをできなかったのかというのはチームでも問題意識がある」と語ったように、終了間際の失点から目を背けてはいけないだろう。この1失点が今後どう響いてくるか、それはシーズンを終えるまで分からない。一つだけ言えるのは、この“宿題”を1部昇格へと繋げなければいけないということだ。
(記事 小林将平)
その他の写真はこちら
試合後コメント
伊藤洋平監督
(試合を振り返って)こういう引かれた相手だったので、5点取れたのは及第点じゃないかなと思います。まあ最後の失点というのはちょっといただけなくて、「調子に乗るなよ」というメッセージなのかなと思いますね。(前半は両サイドハーフが中に絞って両サイドバックがフリーになっていたが、センターバックは中央への縦パスを選択して引っかかる場面が多かったが)そうなんですよね。サイドハーフが中の高い位置を取りすぎていて、バランスが良くなかったというか、ボランチとサイドバックを経由するところでサイドハーフが入ってほしかったんですけど、ちょっと攻め急ぎすぎたというか。後半は修正して里緒とか愛が触れたのかなという印象ですね。(狙いとしては必ずしも中を崩すのではなくサイドからだった)そうですね。真ん中を見せながら外とか、そこの駆け引きがちょっとまだ足りなかったのかなと思います。(失点シーンについては)あれもつなごうとしてチャレンジして最後までやろうとしたんで、その姿勢はすごく評価していますね。まあ実際には失点しているんで、しっかりそこの細かいミスについては本人に向き合ってほしいなと思います。(センターバックの加藤選手が非常に調子が良い)そうですね。2試合連続ゴールで。セットプレーでもああいう相手の脅威になれる選手なので、どちらにも貢献してほしいと思います。これからも。(次節に向けて)こうやって1失点最後に教訓のようなものを食らったので、しっかりまた謙虚に3連勝できるように練習していきたいと思います。
野村智美(総4・作陽高)主将
(試合を振り返って)いや~本当に最後の失点だけが、悔いが残ります。私はこの最後の大学リーグで1戦1戦無失点にこだわってやろうと思っていたので、かなり悔いが残っているんですけど、まあ攻撃面では、相手に引かれながらも自分たちのやりたいことをやったり、うまくいかないのを合わせて点を取ったり、交代で出てきた選手が点を取ったり、良いイメージを持てた試合だったなと思います。(前半はボールを支配する中でかなり中央を崩すことにこだわっていた)それは狙いだったわけではなくて、どうしても中盤に収まる選手がいて、例えば工藤だったり、中島もバランスを見ながらボールを捌けるし、高い位置に鈴木紗理もいて、足下に収められる分、スパンと気持ちの良いくさびのパスを通した方がディフェンスラインとしても達成感があるので、自然と中へ中へ行ってしまっていたんですけど、それだとやっぱり角度がなくてシュートまでいけなかったり崩し切れなかったりしたので、前半の途中から「もっとサイドを使おう」と。試合中に修正しながらできたかなとは思いますけど、それを立ち上がりからやっていればもっとうまくいったかなと思います。(これまでもサイドを使って深い位置まで攻め入った時の方が得点を取っていた印象がある)サイドに本当にスピードも体力もある選手を置いているので、一人一人の特長をもっと引きだした攻撃をするには、サイドを有効に使った方が良いのかなと思います。(最後の失点について)全然余裕を持ってポゼッションできていた中で、何のことはないボールに対して、時間帯や試合状況、相手が最後前から行こうと、ピッチ内でも声を掛けていたくらい意図がはっきりしていた中で、何でシンプルなプレーをできなかったのかというのはチームでも問題意識があります。交代で出た選手が意識を合わせたり、細かいところまでこだわっていかないとああいう失点が生まれるのかなと思います。(次節に向けて)次節こそ無失点で、大量得点で。一つ一つの試合の積み重ねが1部昇格につながっていると思うので、今日よりも良いサッカーをして勝ちたいと思います。
中島菜々子(総3・十文字高)副将
(試合を振り返って)前半はなかなか点が入らない時間帯が続いて、自分たちで焦れてしまう場面とかもあったんですけど、結果として5-1ということで勝ち点を積み重ねることができたのは良かったのかなと思います。(前半に松木選手のゴールを生んだシーンも含め、積極的な攻撃参加が目立った)本当に相手のブロックが固まっちゃっていたんで、どこかで誰かが長い距離を走らないと崩れないと思って、あの場面は本当にチャンスだと思ったので、出し手の智佳とも目が合っていたので、ここぞってところで走りました。(前節は後半途中にベンチに退いたが、相当悔しい思いをしたのでは)正直、本当に悔しかったです。でもあの試合は自分の中でもミスとかが多かったり、納得できないプレーが多かったので、本当に今日は気持ちを入れて戦いました。(相手は十文字大だったが知り合いは)同期が2人いて、ボランチでマッチアップとかもしていて、絶対に負けられないという感じでした。(手応えは)勝てて良かった、でももっと得点は積み重ねたかったし、最後にメンバーが代わったところでの失点っていうのはいらなかったなって。この先リーグが続いていく中でたぶんどこかで痛い1点になると思うので、そこはもう1回反省するところだなと思います。(次節に向けて)日曜日が試合ということで、この3連戦は絶対に落とせないし、大量得点で勝たなきゃいけない試合だと思うので、今日出た課題というのをもっと修正して、あとはリカバリーとかもしっかりして、チーム全員で臨みたいと思います。
志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)
(試合を振り返って)前半1点入った後と後半の立ち上がりに点が取れない時間が続いて、自分たちのペースではある中で雰囲気が変わらないという感じがあったので、途中から入って雰囲気を変えられるような動きだったり、ひな(勝木)と交代だったんですけど、全然スタイルが違うのでそこで変化を与えられたらと思って入りました。(得点の入らない時間帯をベンチから見ていて感じたことは)最後決め切るというのもそうですし、裏に抜ける選手がいなかったのであまり深さが取れていなかったと思います。足下足下でつなげてはいたけど、最後のところで相手が引いてそのDFのスライドもそんなに速くなくて止まっている感じだったので、そこで1つ相手を大きく動かす動きがなかったかなと思います。サイドバックがもうちょっと広げたり、全体的にもうちょっとピッチを広く使ったら良かったかなと。(交代で出場するとき、監督から指示は)ファーストプレーで点を決めろと(笑)。CKからだったのでそのつもりでは入りました。(ヘディングのゴールが多いが、ヘディングは得意か)そうですね。変なボールに合わせたりとか。何か普通のシュートよりも変なシュートの方が入るので(笑)。まあヘディングとかは得意です。(大学リーグ開幕から2戦連続の得点だが、得点数の目標などはあるか)毎試合取りたいのはもちろんですけど、やっぱり得点王とかも狙いながら頑張っていきたいと思います。(次節に向けて)次節までもそんなに日数がないので、今日は最後失点してしまったので、そういう細かいところを修正して次は無失点大量得点で勝てるように頑張りたいと思います。
松木里緒(環2・常盤木学園高)
(試合を振り返って)自分たちが結構ボールを保持してポゼッションしている中で、なかなかゴールまで攻めきれないことが結構試合中あったんですけど、そういう時間帯も経てポンポンって点が入って結局5点取れているのでそこは良かったんですけど、無失点というのをひとつチームの目標にしていたので、ここからしっかり無失点で90分戦えるようにしていかなきゃいけないなというふうに思います。(自身のゴールシーンをそれぞれ振り返って)1点目は右サイドから崩してっていう感じなんですけど、結構サイドで崩してクロス上げ切っても中で合わせることができないのが何回かあったので、そこは決め切りたいなと思っていたんでクロスから1点取れたのは良かったなと思っています。2点目は志鎌と結構タイミングが合って意思疎通できてゴール前を崩せたので、あれは何かが掴めたような感じです(笑)。(次節まで間が短いが)やっぱり3連戦はコンディションが難しいと思うんですけど、それ言い訳にはできないのでしっかり3連戦全て勝ち切りたいと思います。(次節に向けて)得点にこだわって貪欲にゴールを目指して、常に2点以上取れる選手になっていきたいので、点を取れるようにしていきます。
加藤楓琳(総2・常盤木学園高)
(試合を振り返って)自分自身で決められたのもそうですし、目標としていた5点に到達したっていうのはすごく良かったんですけど、やっぱり無失点で終えられなかったというのが今のチームの課題かなと思います。(前節に続きセットプレーから得点しているが)本当に良いところにこぼれてきて後は詰めるだけだったので、本当に勝ちたいっていう気持ちがプレーに出て良かったなと思います。(次節までまた間が短いが)この3連戦っていうのは本当に私たち自身も疲労も溜まるし、コンディションも難しいっていうのは分かっていることなんですけど、2連勝してるので最後の試合もしっかり勝って、次は無失点で全員で戦い抜きたいなと思います。(次節に向けて)とりあえずCKから1点と、あとは絶対無失点で勝ちたいと思います。
小川愛(総1・神村学園高)
(試合を振り返って)後半の立ち上がりと前半の1点を取ってからは少し点が入らない時間が続いたので、そこであまりうまくリズムが作れなかったんですけど、後半の方ではポンポンポンと点が入ったのでそこは良かったかなと思います。(試合前の狙いは)下から繋いでいく練習をしていたので、こういう相手に対して後ろから繋いでいってゴールまで行くということと、無失点で大量得点で勝つということを目標にしていたんですけど、無失点じゃなくなっちゃいました。(前半と後半で何か変えたことはあるか)やるサッカーは特に変えていないんですけど、監督からはバランスと段差を見てプレーするように指示があったのでそこは意識してやりました。(前半は中に絞る動きが見られたが)サイドバックがワイドに開いてプレーするように言われているので、そこのスペースを開けることを意識していました。(得点シーンについて)ディフェンスラインや後ろの人がボールを持った時に自分がそのままボールを受けてしまうとすごくプレッシャーをかけられてしまうので、1個飛ばして次で関わるということを意識していて、トップのひなさん(勝木)からすごく良いボールが来たので落ち着いて決めることができて良かったです。(久しぶりの得点だったが)給水前に1点取るというのがチームの目標だったのでそれができて良かったです。(後半はサイドを突破するシーンもあったが)相手が中央に密集していたので、サイドを突破してからのクロスが有効だと思っていたし、味方からも良いボールがいっぱい来ていたので、何本か得点にもつなげられてよかったです。(次節に向けて)次節も点を取って、出られていない人もいるのでその人たちの分まで頑張りたいと思います。