10月17日(火)東京六大学秋季リーグ戦 立大2回戦
「自分たちの野球ができたと思います」――12回の死闘を制し迎えた2回戦。初回いきなり岩見雅紀(総4)に2ランホームランが飛び出し、主導権を握る。投げては今季初先発の関根智輝(環1)が7回途中2失点の好投。春の優勝校相手に文句なしの快勝で勝ち点を3に伸ばした。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
立大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 |
慶大 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | × | 7 |
立大:●手塚、宮崎、田中誠、中川、橋本―藤野
慶大:○関根、髙橋佑、石井―郡司
立大:山根2号ソロ(7回)、藤野3号ソロ(7回)
慶大:岩見7号2ラン(1回)
◆慶大出場選手
ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) | |
1 | [9] | 天野康大(環4・智辯和歌山) |
H | 明渡稜(政4・桐蔭) | |
9 | 中村健人(環2・中京大中京) | |
2 | [5] | 瀬尾翼(理4・早稲田佐賀) |
3 | [8] | 柳町達(商2・慶應義塾) |
4 | [7] | 岩見雅紀(総4・比叡山) |
7 | 杉本京平(理2・中央中等教育) | |
5 | [3] | 清水翔太(総4・桐蔭学園) |
6 | [4] | 倉田直幸(法4・浜松西) |
7 | [2] | 郡司裕也(環2・仙台育英) |
8 | [6] | 照屋塁(環4・沖縄尚学) |
9 | [1] | 関根智輝(環1・城東) |
1 | 髙橋佑樹(環2・川越東) | |
1 | 石井雄也(商2・慶應志木) |
強敵相手に3連勝と乗ってきた慶大。2日連続の雨天中止などで水は指されない。マウンドに上がったのは今季初先発となる関根。先頭の熊谷を3球で見逃し三振にとるなどわずか7球で初回を三者凡退に抑える好スタートを見せる。その裏相手先発・手塚から瀬尾翼(理4)が死球で出塁すると、盗塁を絡めて2死三塁のチャンスを作り、迎えるバッターは4番岩見。追い込まれてからの6球目、やや甘く入ったスライダーを弾き返すと、打球はそのまま一直線でバックスクリーンに吸い込まれた。シーズン最多タイに並ぶ7号2ランは連盟年間最多本塁打を更新する12本目。また、通算21本は単独3位の記録となった。
2回にも倉田直幸(法4)、照屋塁(環4)のヒットから内野ゴロの間に1点。3回は瀬尾のツーベースから立大投手陣の乱れに乗じて、2つの押し出しで点差を5点に広げた。
先発の関根は1回戦の好調そのままにストライク先行のピッチング。「初回から全力で行った」と、威力ある速球をコースに決めていく。大きなスライダーも有効に使い、6回まで被安打2、7奪三振と立大打線に付け入る隙を与えなかった。
しかし、照明が点灯した7回に春の覇者が意地を見せる。好投の関根がここまで唯一当たっていた先頭の山根に一発を浴びると、1死後藤野にも甘く入ったスライダーをスタンドまで持っていかれた。続く代打山岸への初球が外れたところで関根は髙橋佑樹(環2)にマウンドを譲る。ところがその髙橋佑も2死二塁のピンチを招いてしまう。流れを渡したくない慶大は3番手石井雄也(商2)を投入。迎えた代打高田に対しノビのある直球で勝負し最後は空振り三振。ここ一番で見事な火消しを見せた。
直後の7回裏、立大は守護神中川をマウンドへ。上位打線が2者連続見逃し三振に倒れたが、岩見が強烈なセンター返しで出塁。続く清水翔太(総4)が粘って8球目をライトの右へ運ぶと、岩見の代走・杉本京平(理2)が激走を見せて生還し、2対6とする。さらに続く倉田も引っ張って右中間にタイムリーツーベース。中川を2試合連続で粉砕し、立大の流れを完全に断ち切った。
石井は9回にピンチこそ招いたが、最後は低めに変化球を集めて2者連続奪三振。崖っぷちから劇的で華麗な4連勝を飾った。
東大に敗北、法大にも屈したチームはもういない。戦いの中で成長していったのだ。最終回に怒とうの反撃を見せた法大4回戦。それでもわずか1点届かず遠のいた優勝に悔しさが募った。もう「あと1つ」に泣いていられない。その想いを胸に、明治立教相手の4連勝が始まった。ビハインドでの猛攻、2アウトからの得点。あの蒸し暑かった9月よりも戦うその背中は大きく見える。
さあ、支度は整った。春の忘れ物を取りに行こう。陸の王者は2度と止まらない。
【This is YOUR day!!】 伝説、再び 岩見雅紀
この男はどれだけの記録を塗りかえるのだろう。初回、先制したい場面で豪快な一打を放ち記録をまた塗り替えた。慶大OBの髙橋由伸氏が持つ通算本塁打記録まであと2本として勝負の早慶戦を迎える。4番打者として、たくさんの思いを背負って挑む大舞台。背番号13の一挙手一投足から目が離せない。
記事:尾崎崚登
◆打撃成績
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||
[9] | 天野 | 左飛 | 一ゴロ | 二ゴロ | |||||
H | 明渡 | 空三振 | |||||||
9 | 中村 | 四球 | |||||||
[5] | 瀬尾 | 死球 | 左線2 | 左飛 | 空三振 | 三飛 | |||
[8] | 柳町 | 一ゴロ | 遊ゴロ | 中飛 | 逃三振 | 一ゴロ | |||
[7] | 岩見 | 中本② | 四球 | 死球 | 中安 | ||||
7 | 杉本 | ||||||||
[3] | 清水翔 | 二ゴロ | 中飛 | 投犠打 | 右線2① | ||||
[4] | 倉田 | 右安 | 四球 | 中飛併 | 右中2① | ||||
[2] | 郡司 | 投犠打 | 四球① | 四球 | 中飛 | ||||
[6] | 照屋 | 右安 | 四球① |
| 投犠打 | 四球 | |||
[1] | 関根 | 遊ゴロ① | 遊ゴロ | 逃三振 | |||||
1 | 髙橋佑 | ||||||||
1 | 石井 | 投犠打 |
◆投手成績
投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 | ||
○ | 関根 | 61/3 | 24 | 94 | 4 | 7 | 1 | 2 | 2 |
髙橋佑 | 1/3 | 2 | 6 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | |
石井 | 21/3 | 9 | 28 | 1 | 4 | 1 | 0 | 0 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
(今日の試合を振り返って)ナイスゲームです。ベストゲームにしようといった中で、みんな気持ちが入っていました。ベストに近い内容でやれたんじゃないかなと思います。(打線は7得点を挙げました)初回から岩見の効果的な一発が出て、関根がしっかりと中盤途中までゲームメイクをしてくれました。その中で、相手のコントロールが定まらないところを見れたことが大きかったですね。(関根投手が今日も好投しました)1年生の春に開幕投手を務めたピッチャーです。そこからリーグ戦は長いですし、学校もあるので対応するのに春はちょっと苦労したのかなと思います。秋はなんとなく調子が上がってこず、もやもやしていたと思います。それでも立教の1回戦からいいものを出してくれているので、続けてほしいなと思います。(石井投手も見事な火消しでした)ピッチャーはランナーを出しながらも、持ってるものは出してくれたかなと思います。(バントをするシーンが多かったように見えました)バントをすると手堅いように見えますが、前後の兼ね合いとか試合の流れとかいろんなことを含めての戦略です。今日はそれがたまたま流れを渡さないという攻撃になったのかなと思います。(度々打席前の選手に声をかけていましたが)迷わないように明確にというだけです。(目指してきた3失点以内5得点以上を今季初めて達成しました)珍しいですね(笑)点数は何点あっても心配ですし、ホームランの2点で済んだのが大きかったです。(明治立教相手に4連勝です)ここがゴールではないです。春を超えるということで、自力優勝があるのであと二つ自分たちの手でつかみとれるように、変わらずに負けない野球を貫き通したいです。(4年生最後の早慶戦にもなります)最後まで貫けたので、勝って終わると負けて終わるでは全然違います。緊張感をもって、2週間できるので、いい準備ができればなと思います。
照屋塁主将(環4)
(今日の試合を振り返って)前の反省点もちゃんと生かされて、自分たちの野球ができたと思います。(初めて監督の目指す3失点以内5得点以上をクリアしました)監督も今日ベストゲームをしようということを言っていて、その中でこういう戦い方ができて本当に良かったです。(自身の打席の内容は)出塁することと繋ぐことが出来たので、よかったと思います。(次は早慶戦になります)春は優勝を目前にして、逃して本当に悔しい思いをしたので、今度こそはしっかり2連勝して優勝したいなと思っています。(4年生にとって最後の早慶戦です)負けられないですね。勝ちます!
岩見雅紀(総4)
(今日の試合を振り返って)勝って優勝の可能性が残ってよかったです。(4連勝でチームの雰囲気は)いいと思います。(先制の本塁打を放ちました)先制の本塁打を打ってチームの勢いがついてよかったです。粘りながら打てた本塁打でした。(早慶戦に向けて)2連勝して優勝するつもりで頑張ります。
倉田直幸(法4)
(今日の試合を振り返って)とてもいい試合ができたと思います。(崖っぷちから4連勝、チームの調子は)法大戦の最後から諦めない姿勢が出てると思います。(バッティングの調子は)打率とかは考えないように一打席一打席ちゃんとヒットを打てるように意識しています。(相手クローザーの中川投手から打ちました)チャンスだったので、点を取ることだけを考えていました。(早慶戦に向けて)2連勝して優勝します。
石井雄也(商2)
(今日の試合を振り返って)勝たないと優勝から遠ざかってしまうので、勝ててよかったです。(ご自身のピッチングは)マウンドに上がったのがランナー二塁の場面だったので1点もやれない状況でとにかく全力で腕を振りました。三振も何個か取れたので自分の力は出し切れたと思います。(相手ペースの場面での登板。流れを断ち切りました)ホームラン2本打たれて相手が乗ってきていた中で、これ以上打たれたら逆転もあり得ると思って全力で投げました。(現在の投手陣の調子は)みんな調子は上がってきているので特に心配はないと思います。(優勝が見えてきました。早慶戦に向けて一言)早慶戦で2連勝すれば確実に優勝できるので、いつ投げるかは分からないけど自分が任されたところは全部抑えられるように頑張ります。
関根智輝(環1)
(今日の試合を振り返って)立教1回戦からベンチ入りの投手数を増やしていたこともあって後ろに投手がたくさん控えていたので、初回から全力で投げていきました。(今季初先発となりましたが)先発すること自体には春から慣れていたので、違和感なく入ることができました。(今日の内容が良かった要因は)捕手が構えたところに投げることができたり、いつもより制球が良かったりしたことだと思います。(なにか気をつけていたことは)球が浮いたら立教打線に長打を許してしまうと思っていたので、低めに投げることを心がけていました。あとは、腕を振ることにも気をつけていました。(今日良かった球種は)ストレートは良い感じに決まったかなと思います。(7つの三振を奪いましたが)今日はコントロールの調子も良く、打者を2ストライクに追い込んでから厳しく攻めていくことができたので、それがこの数につながったかなと思います。(最後は少し崩れてしまったように見えましたが)僕はそこまで意識していなかったのですが、疲れた時にもうひと粘りできなかったということだと思います。(早慶戦に向けて意気込みを)春季では早慶戦で優勝を逃してしまったので、今回こそは2連勝して優勝したいと思います。