【野球】名古屋の地で4年生の活躍が光り、全早大に勝利 第15回オール早慶野球戦

野球イベント・その他

8月28日(水)第15回オール早慶野球戦 @ナゴヤドーム

小原兄弟の活躍が光った

4年に1度開催される名古屋の地でのオール早慶野球戦が今年も実施された。先制したのは全早大であった。1回裏に全慶大先発・髙橋佑樹(環4・川越東)が攻め立てられ、1点を先取される。しかし、3回表に郡司裕也(環4・仙台育英)の左中間への適時二塁打で同点に追いつくと、6回表には柳町達(商4・慶應)の左翼ポール際へのソロ本塁打で勝ち越しに成功する。8回表にも2点を追加し、中継ぎ陣が安定していた全慶大が4-1で全早大を破った。

 123456789
全慶應0010010204
全早稲田1000000001

慶大バッテリー:髙橋佑、石井、小原大、髙橋怜、髙橋亮、津留﨑-郡司

早大バッテリー:田中星、早川、柳澤、上條、柴田-小藤、細山田

慶大本塁打:柳町(6回ソロ)

 ポジション選手名(学部学年・出身高校)      
1[9]中村健人(環4・中京大中京)
2[8]辰巳智大(H25文卒・トヨタ自動車)
3[7]柳町達(商4・慶應)
4[2]郡司裕也(環4・仙台育英)
5[3]山﨑錬(H25商卒・JXーENEOS)
若林将平(環2・履正社)
新美貫太(政2・慶應)
3嶋田翔(環3・樹徳)
6[D]福井章吾(環2・大阪桐蔭)
植田響介(総3・高松商)
杉本京平(理4・中央中等教)
7[5]下山悠介(商1・慶應)
8[4]小原和樹(環4・盛岡三)
9[6]瀬戸西純(政3・慶應)
髙橋佑樹(環4・川越東)
石井雄也(商4・慶應志木)
小原大樹(H29環卒・日本製紙石巻)
髙橋伶介(政4・慶應)
髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)
津留﨑大成(商4・慶應)

普段はプロ野球の熱戦が繰り広げられているナゴヤドームで、第15回オール早慶野球戦が行われた。両軍の内野スタンドには多くのファンが詰めかけ、選手にたくさんの声援を送った。試合前には、華麗なライトアップやチアリーダーによるパフォーマンスなど、煌びやかなセレモニーが行われ、リーグ戦の早慶戦とはまた違った、独特な雰囲気で試合は始まった。

全慶大の先発は髙橋佑。1回裏、1番・瀧澤に遊撃への内野安打を許すと、二塁打や四球が絡み2死満塁のピンチを招く。ここで打席には全早大の正捕手・小藤。2ボール2ストライクで迎えた5球目。変化球を捉えられ中前適時打を許し、1点を失ってしまう。

反撃したい全慶大であったが、全早大先発・田中星を相手に走者を出しながらも、ここ一本で適時打が出ず、2回まで得点を奪うことができない。3回表、全早大エース・早川がマウンドに上がると、辰巳智大(H25文卒・トヨタ自動車)の中前安打と盗塁などで2死三塁のチャンスを作り、4番・郡司が「インコースの真っ直ぐが来ると思っていた」と狙い打ちした打球は左中間を真っ二つに割る適時二塁打となり、同点に追いつく。

全慶大は3回裏からエース・髙橋佑に代わって石井雄也(商4・慶應志木)を投入する。ここで迎えるは全早大のクリーンアップ。3番・福岡を141キロの直球で空振り三振に仕留めると、続く4番・加藤、5番・檜村からも空振り三振を奪い、この回を三者連続三振で終える。石井の投球から流れを掴みたい全慶大は、4回表、先頭の福井章吾(環2・大阪桐蔭)が相手投手の失策で出塁し、無死二塁のチャンスを作るも、続くルーキー・下山悠介(商1・慶應)の当たりが不運にも二塁手正面のライナーとなり、二塁走者・福井が帰塁できず、痛恨の併殺打となってしまい、結局この回は3人で攻撃を終える。

4回裏から全慶大のマウンドに上がったのは小原大樹(H29環卒・日本製紙石巻)。小原和樹(環4・盛岡三)と兄弟でのオール早慶野球戦出場が叶う。4回裏には中前安打で走者を背負うも無失点。5回裏は3人でピシャリと抑え、全慶大の攻撃に繋げる。

中盤にかけて投手戦の様相を呈してきたオール早慶戦の流れを変えたのは、やはり柳町であった。6回表、先頭で打席に立つと、全早大の柳澤(H30スポ卒・HONDA鈴鹿)の6球目を「コンパクトに」仕留め、左翼ポール際スタンドに入る勝ち越しソロ本塁打となった。

柳町は左翼方向への本塁打を放った

6回裏の全慶大のマウンドにも小原大が立ち続ける。安打と四球で1死一、二塁のピンチを招くが、後続を左飛、空振り三振に仕留め、無失点で切り抜ける。7回表は柳町の本塁打以降好投を見せる柳澤に抑えられ、安打を放つことができず、無得点に終わる。7回裏、小原大に代わって全慶大のマウンドに立つのは髙橋伶介(政4・慶應)。9番から上位打線に繋がる嫌な打順であったが、二ゴロ、左飛、中飛に抑え、この回を三者凡退で終える。

辰巳は2番中堅手としてフル出場

髙橋伶の好投により流れを掴んだ全慶大は、8回表、二つの四球と安打が絡み、1死満塁のチャンスを迎える。ここで打席には、ルーキー・下山。ボール球をしっかりと見極め、値千金の押し出し四球を選び、リードを2点に広げる。続く小原和も、兄・小原大の好投に応えるかのように、右翼への犠飛を放ち、更に1点を追加する。

リードが3点となった全慶大は、8回裏に髙橋亮吾(総4・慶應湘南藤沢)を投入する。最速150キロの直球や低めの変化球を巧みに操り、全早大のクリーンアップを三者連続中飛という少し珍しい形で抑える。9回表、柳町がこの日2本目となる二塁への内野安打を放ち走者を出すも、後続が打ち取られ、無得点に終わる。

山﨑錬も一塁手として存在感を放った

9回裏の全慶大のマウンドには津留﨑大成(商4・慶應)が上がる。最速149キロの直球を生かし、2死一、三塁のピンチを招くも、無失点に切り抜け、4年生を中心に投打が噛み合った全慶大が41で全早大を破った。

主将・郡司が「OB選手の活躍もあって」と語るように、両軍共にOB選手の活躍が光った第15回オール早慶野球戦。現役選手にとって、刺激になったことは間違いない。振り返ってみると、郡司、柳町の大学日本代表コンビの一打が試合を決めた。来月に迫る秋のリーグ戦も、打点を上げた郡司、柳町を始めとした野手陣、好投を見せた石井、髙橋亮を始めとした投手陣のどちらからも目が離せない。4年生にとって最後となる秋のリーグ戦は、9月21日(土)から始まる。投打の要として慶大をずっと支えてきた4年生と、フレッシュで躍動感のある下山・福井を始めとした1、2年生が上手く融合すれば、少し肌寒くなってきた神宮のグラウンドで大久保監督の胴上げを見ることができるであろう。今後の慶大選手の躍動に期待だ。

(記事:隅田一、写真:小林歩、左近美月、菊池輝)

◆打撃成績

   123456789
1[9]中村健空三振空三振空三振投ゴロ右飛
2[8]辰巳空三振中安二ゴロ一ゴロ遊ゴロ
3[7]柳町四球二ゴロ左本①遊飛二安
4[2]郡司二ゴロ左中2①中飛四球二飛
5[3]山﨑錬四球空三振中安
若林四球
新美
3嶋田二飛
6[D]福井中飛投失中飛
植田響左安
RD杉本
7[5]下山空三振二直二ゴロ四球①
8[5]小原和中安一ゴロ三ゴロ右犠飛①
9[1]瀬戸西遊ゴロ左飛四球四球

◆投手成績

 投球回数打者数球数安打三振四死球失点自責
髙橋佑2113532111
石井131703000
小原大3125122100
髙橋伶131100000
髙橋亮131300000
津留﨑151520000

◆選手コメント

郡司裕也主将(環4・仙台育英)

ーー今日の試合を振り返って

オープン戦ではあまりチームとしていい結果が出てなかったが、今日の試合はOB選手の活躍もあって、いい試合ができて本当によかったなと思います。

ーー打撃賞を獲得されました

打撃賞を取ったんですか(笑)※慶大の選手達は帰りの支度をしており、受賞したことを知りませんでした。

あのツーベース、いいところで打てました。感触もよかったです。

ーー第2打席、大学日本代表でチームメートだった早川投手から適時二塁打を放ちました

早川投手に抑えられたくない、とずっと思っていました。最後にインコースの真っ直ぐが来ると思っていたので、それを狙い打ちしました。

ーー日米野球、六大学オールスター、高校日本代表との壮行試合、そして今回のオール早慶戦と、オフシーズンにも様々な試合に出場されています

疲れとかはあるんですけど、それ以上に本当に貴重な経験ができているので、これからアフターケアをしっかりしながら、この経験を活かしてリーグ戦につなげらればと思います。

ーー秋リーグに向けて

今のチームは早稲田に5連勝という目標もあって、春に1戦目を落として、今3連勝中ではありますけど、その早稲田に2つ勝つということと、最後のシーズンなので優勝して、日本一まで駆け上がりたいな、と思います。

 

柳町達副将(商4・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

早慶戦ということで、負けられない中でしっかり勝つことができて良かったと思います。

ーー最優秀選手賞を獲得されました

あ、そうなんですね(笑)※慶大の選手達は帰りの支度をしており、受賞したことを知りませんでした。

この早慶戦という場所で勝ちに貢献できたことは良かったと思います。

ーー3打席目の本塁打を振り返って

2ストライクと追い込まれていたので、コンパクトに打ち返そうという意識がホームランという結果に繋がったと思います。

ーー大学日本代表でチームメイトだった早川投手との対戦について

早川投手とは仲が良いので、絶対に打ってやろうという意識で打席に立ったのですが打てなかったです。(笑)

ーーボール球を自信を持って見逃していた印象を持ちましたが、色々な経験を積んで大きく変化したところですか?

打席内での落ち着きなどは、色々な経験を積んで身についたものかなと思います。

ーー来月からついに、最後のシーズンが始まります

もうラストシーズンなので、悔いなく終わるために全力で勝ちにこだわってやっていきたいと思います。

 

山﨑錬(H25商卒・JX-ENEOS)

ーー今日の試合を振り返って

久しぶりに慶大のユニフォームを着てプレーするということですごく緊張していたのですが、チームの雰囲気も良くて最終的に勝つことができて、とても楽しい時間でした。

ーー3打席目には安打を放ちました

チャンスで凡退していただけに次の打席は何とか出塁しようという気持ちがヒットにつながったと思います。

ーー竹内大助助監督や辰巳智大選手とは同期ですが

自分は8年前の名古屋も大学3年生の時に出させていただいて、その時は大助(竹内大助助監督)も辰巳も一緒に大学生ということで参加させてもらいました。今回は全く違う立場で一緒に早稲田に立ち向かっていったということが新しい感覚というか、立場が変わった中で戦うというのがすごく面白かったです。

ーー後輩たちと話したりはされましたか

積極的にコミュニケーションをとって、良い雰囲気でプレーしようと心がけました。

ーー現役の頃から変わったことや変わらないと感じたことは

雰囲気などはチームなので全然違うのですが、早稲田に勝とうという気持ちなどは変わらないなと思いました。

ーー秋のリーグ戦に向けて後輩たちにメッセージをお願いします

日本一になれる実力はあると思うので、目の前の1試合1試合ベストを尽くして頑張ってほしいなと思います。

 

辰巳智大(H25文卒・トヨタ自動車)

ーー慶大のユニフォームを着ての一戦でした。

やはり早慶戦は特別だなと思いました。社会人ではこういうことないので幸せだなと思いました。2年前も呼んでもらって慶應のユニフォームは2回目なのですが、もう最後かなと思ってやりましたが、やっぱりいいなと思いました。

ーー同期の竹内助監督とはどんな話をしましたか

同期で同じトヨタ自動車でやってきて、僕は外野手なので色々教えてほしいと言われたのですが、それ以上に自分が教えられたことのほうが多かったです。それはベンチの雰囲気とか野球に対する熱さとかです。大助(竹内大助助監督)からは「教えて」と言われましたが学ぶことの方が多かったです。

ーー安打も放ちました

結果的には5打数1安打だったのですが、内容は悪くなかったです。結果以外のところで大事にしているところが結構あるので、現役選手に少しでもそういう泥臭さを感じてもらえればと思いました。満足はしてないですが、やるべきことはやったかなと思います。

ーー特に印象に残った現役選手は

もちろん本塁打を放った柳町やキャッチャーの郡司は存在感があると思いました。けれども、全員の一体感がなかなか出せないだろうなと思って、出ていない選手も「俺出たい」と思ったらチームのために動かなくなってしまうものなのですが、このチームはそんなことなくて、出ていない選手も負けないくらい熱くやっているところにチーム力を感じまして、誰がとかではなくて全体的に意識出来ているのを感じました。

ーー今後に向けて

今日みたいにいつまで経ってもみんなみたいに熱くなって、小さいところにこだわって引退するまでやりたいなと思いました。それは意気込みではないですが勉強したことなので、自分が出ていようが出ていまいが熱く野球に取り組む姿勢は見習ってやっていきたいと思いました。

 

小原大樹(H29環卒・日本製紙石巻)・和樹(環4・盛岡三)

ーー今日の試合を振り返って

大樹:緊張しました。

和樹:なんとか勝ちきれてよかったです。

ーー久々の兄弟共演でした

和樹:一番最後が早慶戦の第2戦で、結構打たれてたイメージでした。久々だったのでどうかな、と思っていたのですがストライクだったのでよかったですね。

大樹:(弟が後ろにいるのは)不思議ですね。でももう一緒に野球やることもないと思うので、今回選出していただけて本当にありがたかったです。

ーー大樹さんは今日、最優秀投手賞も獲得されました

大樹:そうなんですか?笑 4年前もいただいてて、ふざけて今日も狙うって言っていたのですがその通りになりましたね笑 うれしいです。また呼んでいただければその時も取りたいですね笑

ーーナゴヤドームの印象は

大樹:4年ぶりのナゴヤドームでしたが、人も多いですし、あれくらい固いマウンドで投げることも中々無いので、途中で足をつってしまったりしたのですが、本当に貴重な経験でした。

和樹:僕はドームで試合をするのが初めてだったので緊張もそうですし、神宮とは全然違うので本当にいい経験になりました。

ーー途中、和樹さんが大樹さんに話しかけるシーンも見られました

和樹:僕が早稲田の選手をよく知っているので、もちろん郡司が(捕手として)いるんですけど、僕が声をかけました笑

ーー久々の慶大野球部の印象は

大樹:やはり、野球って楽しいなと感じさせてくれるのが慶大野球部なので、卒業して3年経ちましたが改めて慶大でよかったなと実感した試合でした。

ーー秋季リーグ戦に向けて

和樹:大学の野球が最後のシーズンになるので、早稲田に勝って、チームを優勝に導けるように全力で取り組んでいきたいです。

ーー弟さんにエールを

大樹:最後くらい、いいところを見せろよ、と。それにつきますね。

和樹:がんばります。

 

※全早大の細山田選手よりコメントをいただきました。

細山田武史(H21スポ卒・トヨタ自動車)

今回のオール早慶野球戦出場させていただきありがとうございます。結果として慶大に負けてしまったのでとても不甲斐ないのですが、やはり早慶、お互いがユニフォームを着るという喜び、これが一番大事だと思いますね。お互い切磋琢磨して頑張りましょう!

タイトルとURLをコピーしました