【ソッカー(女子)】祝!1部昇格!TEAM2025の軌跡を振り返る!(後編)/ソッカー女子2025年末特別版

ソッカー女子

今季、2部優勝を果たし、悲願の1部昇格を達成したソッカー部女子。

今回は『祝!1部昇格!TEAM2025の軌跡を振り返る!』と銘打って、ケイスポが取材した後期第2節以降の全試合をマッチレビュー形式で振り返る。

後編は、劇的決着の順天堂大戦から2部優勝と1部昇格が決定した最終節までをプレイバック!
感動の記憶が今甦る!

 

年末もソッカー部女子特集をお楽しみください!


前編はこちらから!
【ソッカー(女子)】祝!1部昇格!TEAM2025の軌跡を振り返る!(前編)/ソッカー女子2025年末特別版 | KEIO SPORTS PRESS

~破竹~ 後期第5節まで

後期第5節終了時点での順位表

順位

チーム名

勝ち点

消化試合

得失点差

総得点

残り試合

慶應義塾大学

37

14

36

43

~↑自動昇格ライン↑~

国士舘大学

33

14

18

24

※勝ち点に次ぐ順位決定要項は、得失点差、総得点、直接対決の戦績、フェアプレーポイント、それでも並んでいる場合は抽選、という順になっている

前期第3節に初勝利を挙げ、そこから破竹の12連勝を記録した慶大。2位・国士舘大との勝ち点差は4で、4試合を残している。後期第6節の相手は、4位・順天堂大。14試合を戦ってわずか2敗と粘り強さが持ち味の相手に、勝利することはできるか。

 

~劇的~ 後期第6節 順天堂大戦
2025年10月11日 @順天堂大学さくらキャンパスサッカー場
アウェイ・順天堂大学さくらキャンパス。午前から降り続く雨が勢いを増す中、戦いの火蓋が切られた。
いつものように、後方からショートパスをつないで前進を試みる慶大。一方の順大は、ボールコントロールが難しいピッチコンディションも鑑みてか、激しいプレスをかけ、ショートカウンターでチャンスをつくる。序盤から数多くのミドルシュートを浴びるが、チーム唯一のキーパー・中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)の丁寧なセービングでピンチをしのぐと、24分、CKから宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)のヘッドで先制。その後、試合は落ち着き始め、1―0で前半を終える。

再三の好セーブを見せた中村

後半開始早々、抜け出した岩田理子(総2・十文字)のゴールで追加点。余裕のある2点差とする。

岩田の追加点に喜ぶ選手たち

しかし、ここから順大のペースに。67分に1点を返されると、75分にもゴールを許し、同点に追い付かれてしまう。シーズンで初めてリードを追い付かれた慶大。この試合で敗れると、2位・国士舘大との勝ち点差が1に縮まってしまう。重い空気だったが、途中出場・堀田朱花(商2・山手学院)のスピードを活かしたプレーで流れが変わり、徐々に盛り返していくと、87分、大チャンスを迎える。左のタッチライン際で髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がボールを受けると、相手DFラインの裏へ抜群のスルーパスを供給。抜け出したのは、荒鷲が誇る絶対的ストライカー・野村亜未(総3・十文字)だった。野村は相手キーパーを冷静にかわすと、左足でシュート。これがネットを揺らし、勝ち越しに成功。苦しい展開になってもショートパスをつなぎ続け、『賢く泥臭く』、慶應のスタイルを貫いて掴んだ値千金のゴールに、選手は大喜び。会場に足を運んだファンも、大いに沸き上がった。

終了間際の野村弾で勝ち越し

その後、ハードワークを続け、殊勲の一撃で取ったリードを守り切った慶大。3―2で接戦をモノにし、13連勝を達成した。

2位・国士舘大との勝ち点差は試合前の4から変わらず。次節、10月18日の試合で国士舘大が敗れ、かつ10月19日の試合で慶大が勝利すれば、2部優勝および1部昇格が決まる。

 

【試合結果】

慶大3―2順大

【慶大得点】

24分 宮嶋ひかり(野口初奈) 
46分 岩田理子(野村亜未)
87分 野村亜未(髙松芽衣)

【試合後インタビュー】

ーーご自身の決勝ゴールで勝利しました。今の率直な気持ちを教えてください。
野村:率直に、自分のゴールでチームを勝利に導けたというのがほんとうに嬉しいです。シーズン後半が始まってからなかなか得点出来ない時期が続いていて、やっぱり自分は点を取ることでチームの勝利に貢献するということを一番の目標として掲げていたので、今回の決勝ゴールはほんとうに自分の中で大きな成果だと感じています。

ーー大きな勝利を挙げました。今の率直な気持ちを教えてください。
岩田:再開してからのアウェイでの3節が自分たちの大一番・山場だと考えていました。国際武道、立教と2連勝して、あとは順天堂だけと考えていましたが、相手も集中応援で気合が入っている中、チーム全員で勝てたというのは、今シーズン通しても大きな勝利だったと思います。

 

~足踏~ 後期第7節 上武大戦
2025年10月19日 @上武大学伊勢崎キャンパス
前日、国士舘大が勝利したため、2部優勝および1部昇格は次節以降に持ち越しとなって迎えた上武大戦。リーグ戦再開からのアウェイ4連戦のラストマッチに臨む。
慶大はほとんどの時間でボールを握り、ゲームを支配するも、スコアレスドロー覚悟でブロックを敷く上武大の守備に苦戦を強いられる。19分、コーナーキックの混戦から守部葵(環4・十文字)がヘディングシュートを放ち、ネットを揺らすが惜しくもオフサイドでノーゴール。

雨が強まり、冷え込んできた後半。

さらに攻勢を強め、相手ゴールに幾度も迫るが、決死の守りに阻まれ続ける。アディショナルタイム、森原日胡(総1・作陽学園)のシュートがゴールマウスに収まり、ついに先制かと思われたが、これもオフサイドの判定。計26本のシュートを放ちながらも、得点にはつなげられず。引き分けで13連勝がストップし、2位・国士舘大との勝ち点差は2に縮まった。

 

【試合結果】

慶大0―0上武大

 

~進歩~ 後期第8節 武蔵丘短期大戦
2025年10月26日 @下田グラウンド
3ヶ月ぶりのホーム・下田グラウンド。残り2試合はいずれもこの地で、歓喜の瞬間を待つ。この試合で慶大が勝利し、かつ同節で国士舘大が引き分け以下に終われば、2部優勝および1部昇格が決まる。
無得点に終わった上武大戦から1週間。課題を踏まえて、チームで“得点”に向き合ってトレーニングを積み、武蔵丘短大戦に臨んだ。
 
試合は序盤から圧倒的な慶大ペース。8分、野村のシュート性のボールを髙松が押し込んで先制すると、その4分後にもゴールを奪う。

その後も攻撃陣が爆発。27分に主将・小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース、RB大宮アルディージャWOMEN内定)がCKを頭で合わせ、追加点を挙げると、小熊は5―1で迎えた41分にもヘディングで得点。前半だけで6―1とし、試合を折り返す。

後半は野村が大活躍。まずは49分にゴール。さらに74分、安達梨咲子(商3・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)からパスを受けると、独走からハットトリック達成となる3点目。さらには77分に4点目を挙げた。

丁寧なシュートと、こぼれ球への素早い反応。見事な攻撃で9点を奪い、前節の悔しさを晴らす大勝となった。しかし、国士舘大が勝利したため、2部優勝および1部昇格決定は最終節に持ち越しとなった。

 

【試合結果】

慶大9―2武蔵丘短大

【慶大得点】

8分 髙松芽衣(野村亜未)
12分 野口初奈(小熊藤子)
27分 小熊藤子(野口初奈)
31分 野村亜未(髙松芽衣)
39分 森原日胡
41分 小熊藤子(野口初奈)
49分 野村亜未
74分 野村亜未
78分 野村亜未

【試合後インタビュー】

――前節は攻めながらも、スコアレスという結果に終わりましたが、チームとしてこの1週間重点的に取り組んだことはありますか?
坂口:前回は26本打ったけど入らなかったということで、責任を感じて涙を流している選手もいた中で、そういうこともあると割り切りつつ、自分たちの順位、自分たちがやらなければいけない基準を落とさないという2つのことを意識して、みんなで勝ちに行こうという意識で1週間作っていきました。

――最終節に向けて、力強い意気込みをお願いします。
守部:勝てば優勝が決まりますし、今まで自分たちがやってきたことを出して、勝てばいいだけだと思うので、ベンチメンバーも含めて全員で勝って、そして優勝して笑顔で終わりたいと思います。

 

~王手~ 残り1試合

残り1試合の自動昇格争い

順位

チーム名

勝ち点

得失点差

総得点

残り試合数

慶應義塾大学

44

44

55

~↑自動昇格ライン↑~

国士舘大学

42

22

29

※勝ち点に次ぐ順位決定要項は、得失点差、総得点、直接対決の戦績、フェアプレーポイント、それでも並んでいる場合は抽選、という順になっている

最終節の慶大優勝&昇格条件

国士舘大(勝ち点42)

慶大(勝ち点44)

慶47,国45

慶47,国43

慶47,国42

→優勝決定

→優勝決定

→優勝決定

慶45.国45

慶45.国43

慶44.国42

→得失点差によって変動

→優勝決定

→優勝決定

慶44,国45

慶44,国43

慶44,国42

→2位でシーズン終了、入れ替え戦へ

→優勝決定

→優勝決定

慶大勝ち点44、国士舘大勝ち点42で迎えた最終節。勝てば2部優勝、1部昇格が決まる。

2022年から始まった2部での戦い。“1部昇格”という4年越しの目標を達成し、TEAM2025の有終の美を飾ることができるか。

 

~成就~ 後期第9節 流通経済大戦(最終節)
2025年11月2日 @下田グラウンド
悲願が達成されれば、TEAM2025にとって、4年生にとってラストマッチとなる最終節。ホーム・下田グラウンドには保護者や男子部の部員、OG、OG保護者ら100人もの大観衆が駆け付けた。

最終節も3―4―2―1のシステム。中村がGK、小熊がCB、守部が右ボランチ、坂口芹(総4・仙台大学附明成)が左WBと、4年生全員がスタメンに名を連ねた。

15分、左サイドからのCKを獲得する。幾度となくチームを救ってきた野口初奈(環3・十文字)の右足から蹴り込まれたボールは、相手のオウンゴールを誘い、先制に成功する。さらに29分、坂口からの受けた守部のパスを起点に追加点を挙げる。前半終了間際、今度は右サイドからのCK。野口は低いセンタリングをニアサイドに供給すると、宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がダイレクトボレーで合わせ、3点目。3―0で前半を終える。

ゴールの宮嶋(左)とキッカーの野口(中央)

このリードを守り切れば、目標である『1部昇格』が決まる後半。TEAM2025の集大成にふさわしいポゼッションサッカーを展開する。日々の練習からこだわり続けてきたショートパスでボールをつなぎ、多彩な攻撃パターンで相手ゴールに迫る。

主将・小熊がパスサッカーをけん引

54分、素早い切り替えからこぼれ球を拾った野口がダブルタッチで相手をかわすと、ファーサイドへ右足でシュート。これがサイドネットを揺らし、4-0とさらに点差を拡げる。69分に失点するも、後半の慶大の流れは留まるところを知らず、ここからゴールラッシュが始まる。75分、荒鷲の翼・坂口の左サイドからのクロスは相手にカットされるも、野村がすぐさまプレッシャーをかける。相手のクリアが小さくなったところを坂口が拾うと、デルピエロゾーンから右足インフロントにかけたファーサイドへのシュート。これがサイドネットを揺らし、4点差に戻す。

4年・坂口の追加点

77分にはカウンターが炸裂。髙松がセンターサークル付近でボールを持つと、野村が目にもとまらぬスピードで相手を置き去りにし、スルーパスを受ける。最後はキーパーとの1対1を冷静に流し込み、6-1とする。85分には右サイドから佐藤凜(総3・常盤木学園)がアーリークロスを上げると、髙松がドンピシャのヘディングで合わせ、7点目。

髙松(7番)のゴールに喜ぶ選手たち

さらに88分、竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)の浮き球のパスに反応した米口和花(総2・十文字)がオーバーラップでサイドを攻め上がり、キーパーとディフェンスラインの間へセンタリングを供給すると、野村が合わせてゴール。8-1とし、勝利を決定づけた。

野村(9番)を迎えるベンチ

TEAM2025の集大成にふさわしいパスサッカーが機能し、勝利した慶大。2部優勝、そして、1部昇格の夢を叶えた。

試合後の選手たち

主将・小熊を胴上げ

 

【試合結果】

慶大8―1流経大

【慶大得点】

16分 オウンゴール
29分 オウンゴール
43分 宮嶋ひかり
54分 野口初奈
75分 坂口芹
77分 野村亜未
85分 髙松芽衣(佐藤凜)
88分 野村亜未(米口和花)

【試合後インタビュー】

ーー今の率直な気持ちを教えてください。
小熊:試合終了直後はあまり実感が湧きませんでしたが、たくさんの人と喜びを分かち合ったり、今までの出来事を思い出したりすると、「自分たちが優勝したんだな」という実感が湧いてきました。

ーー『細部に宿せ』というスローガンを掲げ、「こだわる」ことを徹底した1年間でした。このスローガンは達成できたと思いますか。
小熊:(力強く)思います!昨年までもこだわっていなかったわけではないのですが、今年は1日ごとに自分たちの取り組みを見直して、「受け手がトラップする足を考えてパスを出せたのかな」とコミュニケーションを重ねられたことが良かったです。
また、夏のリーグ戦中断期間の遠征中に、自分たちがどこまでこだわれているかを客観視して、もう一段階こだわらなければならないと立ち返ったことが、再開後の(5勝1分という)結果にもつながったと思います。

ーー今の率直な気持ちを教えてください。
中村:ほんとうに嬉しいということに尽きます!私にとってはキーパーを始めたのが2年前だったので、2年間の努力が報われるような結果になって嬉しいです!

ーーその「キーパー転向」という決断が2部優勝・1部昇格という結果につながりました。あの決断を今の中村選手が振り返って、どのように思いますか。
中村:みんなが結果をもたらしてくれたので、この決断が正解だったと思いますし、この決断をして良かったと思っています。

ーー今シーズンの『賢く泥臭く、虜にさせる』というビジョンは達成できたと思いますか。
中村:はい、達成できたと思います !いつも見届けてくださる保護者の方々や観客の方々にプレーを通じて見せることができたと思いますし、結果という形でも表現できたと思います。

ーー1部での戦いとなる来シーズンに向け、力強い抱負をお願いします。
黄監督:正直なところ、すごく苦しい戦いになると思います。4年生に助けられてきましたし、(唯一のキーパーである4年の中村が卒団するため)キーパーがどうなるか分からないという点でも、ほんとうに厳しいと思います。ただ、ここまで確立してきた自分たちのスタイルを来シーズンも貫いていきたいですし、ソッカー部での4年間を通して何を学べるかということは変わらず大事にしていきたい部分です。だからと言って結果が出ない理由には全くならないので、自分の中で掲げているロマンと勝ち点を取るというところのそろばんをどのように弾いていくかを考えて、選手たちと一日一日向き合いながら、1部でも躍進したいです。

 

~細部~ 夢のインカレ、早慶定期戦初勝利へ

関東大学女子サッカーリーグ戦2部 最終順位

順位チーム名勝点得失点差総得点
慶應義塾大学47155163
~↑自動昇格ライン↑~
国士舘大学45142432
順天堂大学34101530
~↑昇格入れ替え戦ライン↑~
国際武道大学33102851
尚美学園大学31101234
立教大学2819
流通経済大学2010ー724
武蔵丘短期大学1313-3518
~↓降格入れ替え戦ライン↓~
上武大学15-44
~↓自動降格ライン↓~
10日本女子体育大学15-47

2021年の失意の降格から始まった2部での戦い。選手・スタッフが試行錯誤を繰り返し、もがき続けた4年間だった。今シーズン、なんとしてでも昇格を果たすために掲げたスローガンは、『細部に宿せ』。日々の練習から、1本のショートパスに「こだわる」ことを徹底し、チーム内で厳しく要求し続けてきた。

そして、今シーズンのチームがビジョンしていたのは『賢く泥臭く、虜にさせる』サッカー。キーパーからビルドアップを始め、相手の陣形を見ながら選手たちが動き回り、華麗なパスワークで崩す賢い攻撃。ピンチの場面では体を張り、90分間走り続ける泥臭い守備。見る人を虜にさせるサッカーで、『1部昇格』という4年越しの目標を結実させた。

2026年で、ソッカー部女子は体育会加入20周年を迎える。4年生が叶えられなかった“インカレ出場”、歴史を紡いできた先輩たちが叶えられなかった“早慶定期戦勝利”。ソッカー魂を受け継いだ荒鷲が、細部にこだわり続け、夢を実現させる。

 

 

【ギャラリー】

 

(写真:神戸佑貴、吾妻志穂、柄澤晃希)
(記事:柄澤晃希)

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