12月18日から21日にかけて行われたレスリング天皇杯全日本選手権。3日目となる20日には慶大から3選手が出場した。フリースタイル74㌔級の瀧澤勇仁(経1・慶應)は初戦で天皇杯初勝利を挙げるも、続く準々決勝で敗退。翌日、3位入賞を目指し敗者復活戦に臨む。女子レスリング62㌔級の尾﨑野乃香(環4・帝京)は初戦を不戦勝で勝ち進むと、続く準決勝は接戦をものにし、翌日の決勝に進出。フリースタイル86㌔級の3位決定戦に出場した岡澤ナツラ(法1・慶應)は圧巻の試合運びでテクニカルスぺリオリティ勝ちを収め、銅メダルに輝いた。
2025年12月20日(土)@駒沢体育館
【試合結果】
〈男子フリースタイル74㌔級〉
1回戦
○瀧澤勇仁(慶大)[VPO 6:00=6-2]安藤慎悟(山梨学院大学)●
準々決勝
●瀧澤勇仁(慶大)[VSU 2:31=0-10]髙橋海大(日本体育大学)○
〈女子レスリング62㌔級〉
準々決勝
○尾﨑野乃香(慶大)[VFO]諸星菜夏(法政大学)●
準決勝
○尾﨑野乃香(慶大)[VPO 6:00=4-1]尾西桜(日本体育大学)●
〈男子フリースタイル86㌔級〉
3位決定戦
○岡澤ナツラ(慶大)[VSU 4:00=11-1】秋保大地(文化学園大学杉並高校)●
慶應義塾高時代から全国の舞台に立ってきた瀧澤勇仁(経1・慶應)。昨年は天皇杯FS74㌔級に同階級唯一の高校生選手として出場している。慶大入学後もJOCで2位、インカレで3位に輝くなど、順調な成長曲線を描く新星は、天皇杯の舞台でどのような活躍を見せられるか。

初戦の瀧澤(青のシングレット)
初戦、開始1分頃に右足が攣るハプニングに見舞われる。さらにパッシブで先制を許すが、すぐさま相手の背後を取り逆転。2―1で第1ピリオドを終える。リードを拡げたい第2ピリオド、開始早々にテイクダウンで追加点を挙げる。途中1点を返されるも、終盤に相手のタックルで生まれた隙をついて床に倒し、4点差に突き放すと、そのまま逃げ切った。

相手との距離を保ちながら、効果的に得点を重ねた瀧澤。持ち前の試合巧者ぶりを発揮し、天皇杯での自身初白星を掴んだ。
2戦目の相手は25年世界選手権74㌔級金メダリスト・髙橋海大(日本体育大学)。前日、兄の髙橋夢大(三恵海運株式会社)に慶大・岡澤ナツラ(法1・慶應)が敗れている。慶應義塾高時代からの盟友の雪辱を果たすため、勝利したいところだったが、世界チャンピオンの壁は高く、第1ピリオドでテクニカルスペリオリティ負けを喫した。それでも、間違いなく大きな経験を積んだ瀧澤。この一戦は、今後の3年間の財産となるだろう。
24年のパリ五輪で68㌔級の銅メダルに輝いた尾﨑野乃香(環4・帝京)。28年のロス五輪に照準を定め、本来の階級である激戦区の62㌔級に登場した。
初戦は相手の棄権で不戦勝。続く準決勝の相手は、25年世界選手権59㌔級の王者・尾西桜(日本体育大学)。開始早々、タックルから足を取られるも、ポイントは与えずにしのぐ。その後パッシブから先制されたが、第1ピリオド終盤に2点を取り、2―1で折り返す。
流れを引き寄せたい第2ピリオド。開始から30秒ほど経過した頃、得意の素早いタックルで相手の右足を取ると、テイクダウンに持ち込み、4―1とする。

その後は相手に足を取られる場面があったが、
見事に守り抜いて勝利した尾﨑。翌日の決勝戦へと駒を進めた。
決勝の相手は、62㌔級最大のライバル・元木咲良(育英大学助手)。明治杯、そしてプレーオフでの借りを返すべく、負けられない一戦となる。
ルーキーながら、瀧澤と共に躍動する岡澤。この日は3位決定戦に臨んだ。開始1分20秒頃、足を取られた状態で豪快なそり投げを繰り出し、2点を先取する。その後1点を返されるも、6―1で第1ピリオドを終え、試合を折り返す。
第2ピリオドでも圧巻のスピードとパワーで相手を寄せ付けず、得点を重ねていった岡澤。テクニカルスぺリオリティ勝ちを収め、見事3位入賞を果たした。

【インタビュー】
岡澤ナツラ(法1・慶應)

ーー3位入賞となりました。今の気持ちを教えてください。
オリンピック階級に挑戦した中、準決勝で負けてしまいましたが、その反省を活かしつつ3位決定戦で勝利してメダルを獲れたのは今後の自信にもつながる良い経験だったと思います。
ーー今大会は社会人選手も出場していましたが、どんな大会でしたか。
オリンピック階級の86㌔級に上げてから、初めてシニアがいる大会でしたが、準決勝でシニアの人に負けてしまったので、すごくそことの差を感じています。でも自分が追い付かなきゃいけないのはそこなので、新たな糧にもなりましたし、得られたものはメダル以上に良いものだったと思います。
ーーこのルーキーイヤーは多くの大会で表彰台に上がりました。1年間の手応えや成長を教えてください。
いろいろな大会に参加して、ほとんどの大会でメダルは獲れましたが、金メダルには届かず、差を感じたので、練習から見直す必要があると思っています。ただ、いろいろな勝ち方や負け方を経験して、その度に改善して、4月の時より体格も自分のレスリングスタイルも変わり、今のところいい方向に進んでいると思います。変化があった1年でした。
ーー来年はどんな1年にしたいですか。
チームとしては、リーグ戦と天皇杯、慶早戦で自分が要となって勝たせられるように。個人としては、今年は金メダルから見離されていたので、4月のJOCで優勝して、U20の世界選手権で世界チャンピオンのベルトを獲ることを一番の目標にして、天皇杯でもシニア相手に1勝して、今年の負けを活かせるようにしたいです。
ーー読者の皆さんに向けて一言お願いします。
レスリングはマイナーな競技ですが、我々もがんばって成績を出すので、ケイスポさんの記事を一読していただけると嬉しいです!
(記事:柄澤晃希 取材:野村康介、柄澤晃希)