11月1日13時から、慶大下田グラウンドで関東大学リーグ1部後期第11節(最終節)兼第25回早慶女子サッカー定期戦が開催される。
女子サッカーの早慶戦は定期戦通算24試合を慶大の0勝5分19敗。リーグ戦などの公式戦を含めても39試合を慶大の0勝7分32敗。慶大が勝利したことは一度もない。
1部リーグは9位以上で残留が確定。10位と11位が1部・2部入れ替え戦に進み、12位(最下位)が2部に自動降格となる。
21年以来5季ぶりの1部を戦う慶大は、1試合を残して11位。入れ替え戦以下(10位以下)が確定していて、最終節で12位に陥落して自動降格となる可能性もある。
今回、ケイスポは最後の早慶戦に臨む4年生全8部員に単独インタビューをした。第4弾は、10番を背負う慶應のエース、右足でピッチに虹を架ける野口初奈(環4・十文字)!
(インタビューは後期第9節から後期第10節の間に実施)

野口初奈(のぐち・にいな)

――10月17日の帝京平成大学戦はベンチスタートとなったが、現在のコンディションは
ちょっと体調崩しちゃっただけで、ごはんも食べられるようになって体調も戻ってきたので、またスタメンを取れるように全力で頑張りたいと思います。
――慶應を目指した理由
もともと高校で(サッカーを)辞めるつもりだったんですけど、1個上の守部葵さん(令8環卒)からの誘いがあったのと、横浜FCのサッカースクールがここ(下田グラウンド)でやっていて、自分も小学校の3年生から4年生くらいの時にここでやっていて、その時のコーチが気にかけてくれていたことと、あとは家から近いし…(笑)、受験方法も自分に合っていると思って受けました。
――入学前に早慶戦を観戦したことは
早慶戦を観たことはなかったです。(願書が)9月提出なんですけど受験を決めたのが8月に入るちょっと前くらいで、それまで全く知らなくて1カ月ちょっと対策して受けました。練習会も(十文字高で同期だった)恭佳(岡田恭佳(環4・十文字))と亜未(野村亜未(総4・十文字))と3人で行く予定だったんですけど、体調崩しちゃって行けなくて(笑)。試合は一回だけ観に行きました。高校の部活の帰りにそのまま、家が近いので試合に来て、後半のラスト20分くらいだけ観ました。
――試合を観て感じたこと
保護者の皆さんにすごく良くしてもらって、十文字の格好して行ったので葵さんのお父さんとか明日香さん(野⽥明⽇⾹(令6総卒)) のお父さんに「こっち来なよ」と言ってもらって、試合が終わってからもずっとお話して、そういうのがいいなと思いました。高校の時も保護者と生徒の距離が近くて、全員が自分の親だと思える感じがいいなと思いました。
――高校でサッカーを辞めたら何をするつもりだったか
結構いろいろなことが好きで、ただ学力的に浪人しないといけない感じだったのでそれにもよったんですけど、建築関係と警察関係は楽しそうだなと思っていました(笑)。
――現在、4年生でオフの時間を共にすることが多い選手
あんまりオフに外に出ないんですけど、恭佳と凜(佐藤凜(総4・常盤木学園))ですかね。
――野口選手のご実家の猫エピソード
猫は高校卒業したくらいから飼って、理由としてはそれまで兄もお父さんも単身暮らしで、(実家は)自分とお母さんだけで、大学の部活動も高校の部活動と同じくらい家にいないと思っていたので、お母さん一人だと寂しいと思って(笑)、自分も動物を飼いたいし「猫どう?」と言って。お兄ちゃんは猫アレルギーで、お父さんもどっちかというと犬派なんですけど、事後報告で猫を飼い始めました。結果的に自分も結構家にいられる時間が長くて溺愛しているし、お母さんも、なんだかんだお父さんも可愛いと言っています。自分も結局猫アレルギーだったので(笑)、疲れているときとかは目とか痒くなっちゃいます(苦笑)。ツンデレなところが可愛いです。
――「助長補担」というモットーについて
誰でも一人でやれることが限られているので、サッカーのいいところは誰かの短所を誰かの長所で補えることだと思います。自分も足は速くないけど誰かがその分走ってくれているわけだし、自分は誰かがミスしたときにカバーしてあげようと思っていて、そういう関係がいいなと思っています。その分お互いのことをよく知っていることも大切で、チームスポーツなので、みんなで勝つとか、みんなでサッカーすることが好きです。
――自信のあるプレー
強みはゲームメイクとキックです。
――今シーズンはフリーマン(3−1−5−1のトップ下)でシーズンが始まり、途中から5−3−2のIHで出場するようになったが、ここまでを振り返って
フリーマンは去年からずっとやっていて慣れてきたところがあったものの、1部でやっぱり難しいところはあって、(試合の)後半になるとゲームメイクのところであまり関われなかったという反省点があります。IHになってから一個落ちたので、今まではDFから中盤、自分と一個挟んでいたけど今はDFからそのまま自分がもらったのを前に届けるという役割の変化がありました。守備も難しくなって、まだ探り探りではあります。フリーマンの時よりかはボールを触る回数がちょっとだけ増えたので、そこでどうゲームメイクしていくかというのが与えられた役割で課題の一つなので、次節はフリーマンになるかIHになるか分からないけどどちらになっても自分に来たボールでチャンスをつくりたいと思います。
――ポジションの変化の難しさ
高校まではずっと下のポジションで、前に供給するだけというか、リズムをつくるだけだったんですけど、大学に入ってからはもう一個運ばなきゃいけないし、自分でなんとかする作業が増えて、プレースタイル的にも成長しなきゃいけないところなので難しいと感じているところです。
――5−3−2での野口選手の守備
2ボランチの時はコースを限定したりこぼれていたボールを拾うのがメインだったんですけど、3ボランチの時は自分が一番にプレスをかけに行かなきゃいけないというところ、それって結構疲れますし(笑)、スプリントする回数は増えましたね。でも、考えずにただ走ればいいというのは楽だと思っています。3ボランチの難しいところは自分が一番目じゃないとき、逆サイドにあるときは絞らないといけないですし、4枚じゃない状態でなんとかしないといけない、逆サイドに振られて3ボランチの2人が置いていかれて自分しかいないような状況は難しいところですね。
――野口選手はコーナーキックのキッカーを務めるが、昨季までのターゲットの一人だった小熊選手(小熊藤子(令8環卒、現RB大宮アルディージャWOMEN)) が卒業し、今季はフィジカルの強い1部を相手にさまざまなショートコーナーを試しているが、難しいところや工夫は
ショートコーナーは、思い通りに相手が動いてくれないというか(笑)、臨機応変に対応できるかというのがショートコーナーの難しさで、「こうなったらこうだよね」というのは話し合っているもののやっぱり難しいですね。上げるときも最近はニアばかりで、いきなりファーに蹴るのが難しくて、ニアとファーの蹴り分けができるような精度をつくってきました。去年までは中だけだったので、同じイメージで蹴れば良かったものの、今年はいろいろなところに蹴らないといけなくて、力加減も変わってくるので、そこが難しいところです。
――黄大城監督から今シーズンどんなことを伝えられてきたか
もっと、10番だったり、4年だったり、司令塔的役割を与えている意味をもっと考えろというのはよく言われます。試合中に悪い流れになったときに、先頭を切って踏ん張らなきゃいけないし、流れを変えなきゃいけないというのは個人的にも思っているし、テソン(黄大城監督)さんから思われているところなので、残りの試合ではちゃんとできるようにしたいところです。
――ここからは早慶戦について、運営面での野口選手の担当は
グッズの物販です。
――販売場所は当日かオンラインか
当日販売です。
――グッズの内容
記念Tシャツと、ユニホーム型のキーホルダーと、缶バッジ、ステッカー、ポーチ、あとはそれらグッズのどれかが当たるガチャガチャです。
――物販をいっしょに担当している部員
自分が慶應の責任者で、他には遥(木田遥(総1・十文字))と七海(早坂七海(政1・常盤木学園))、あとはマネージャーの絢子ちゃん(馬場絢子(環1・慶應湘南藤沢) )がデザインを手伝ってくれています。メインは自分と早稲田の4年生と、早慶のデザインを担当するマネージャーの4人で話しています。
――グッズのこだわりポイント
記念Tシャツは今までずっと慶應だったら黄色、早稲田だったら臙脂だったんですけど、2色にすると2色分の料金がかかってしまうのもあって、その色からは離れた色にしました。普段着というわけではないけど、軽くコンビニとか外に出られるような格好がいいよねというのをコンセプトにしました。ガチャは自作でやったので、楽しく回してもらえたら嬉しいです。
――下級生からキーマンを一人
芽衣(髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18))です。最後まで走るし、ガッツがあるというのはみんなにいい影響を与えているのと、個人的にはボールの供給が上手だと思っていて、受け方とか受けるタイミングとか、あとは誰が芽衣と組んでもプレーしやすそうなのがすごいと思います。人と合わせてプレーするのは難しいけど、芽衣の場合は「こういうふうにしようね」というメッセージを込めたパスが分かりやすいので、みんないっしょにプレーしていてやりやすいんだろうなと思っています。まだ点を取ってないけど、点取れるギリギリのところまでいけていて、去年はほしいときに点を取れていて、今年ももうちょっとしたら取ると思うので(笑)、期待しています。

髙松(左)、野口(右)
――早大は十文字高出身の選手が多い
後輩も含めて多いんですけど、そういう人たちと対戦相手だけどまたサッカーできるというのはすごく楽しいですし、お互いによくプレースタイルを知っているので、付け入る隙はたくさんあるのかなぁ…と(笑)、思っています(笑)。
――岡田選手と野村選手とは10年間いっしょにプレーしてきて、まもなく終わりを迎えるが
まだそんなに実感は湧いていなくて、結局卒業してもどっかで会うだろうという感じなので(笑)、同期会を企画すればみんな集まってくれますし、あまり寂しいとかはないですが、サッカーで言ったら最後になるので、楽しく終われたらいいなというところです。亜未にはずっとアシストを送って、亜未が決めるというのがこの4年間あったので、そのコンビネーションは最後の試合でも出せたらいいなと思います。恭佳に関してはけが続きで、1年生の時は自分がけがしていて、自分が復帰したら恭佳がけがでいなかったので、4年間で恭佳とプレーした時間は少なくて、最後は長くいっしょにプレーしたいですね。一番サッカーへの想いが強い彼女が、最後に彼女らしくサッカーできるように、自分も隣に立ってサッカーできたらと思います。
――色紙に書いた「10番の意地」という言葉について
10番は2年生の時からつけているんですけど、試合での役割としてもずっと司令塔をやっていて、ただ今シーズン個人としては全然結果も残せていないし、プレーも正直良くはないので、最後の試合でずっと背負ってきた10番の意地を見せたいと思います。得点もまだしていなくて、この日まで取っておいたんだよという意味も込めて(笑)、最後に点取って終わるよというところです。
(インタビューの次の試合の後期第10節の日大戦で今季初ゴールを決めた)

――今季、チームは「尽くす」というスローガンで活動してきたが、野口選手が尽くしてきたことは
ピッチ内のことに関してはあまりやることは変わらなかったですが、ピッチ外に関しては後輩をもっと大事にしたいなと思って…後輩に尽くしました(笑)。リレー日記も後輩をテーマに書いたんですけど、大学に入るまでは後輩と接するのが得意ではなくて、末っ子だったのもあって先輩や同期に良くしてもらっていて、年下との関わり方や距離感がよく分からなかったですし、中高では同期が30人くらいいたので同期といるだけで良かったけど、大学に入ってからは全学年で20人くらいしかいないので必然的に全員と関わらないといけなくなりました。1年生の時に感じたのは、OB・OGを含めてすごく後輩想いだということで、自分はこんなに後輩に尽くせるのかなと思っていて、2年生に上がっていざ後輩ができた時に距離感が分からなかったですし、高校の時から後輩だった理子(岩田理子(総3・十文字))に関してはずっと高校時代の馴染みで岩田呼びだったし、のんちゃん(米口和花(総3・十文字))に関してはずっと「初奈さん初奈さん」と絡んできてくれていたのに距離感が分からなくて、話しかけられるのは嬉しかったけど難しかったです。3年生になってから後輩の方が人数が多くなって、(当時の)4年生が結構食事の場をつくってくれて、食事の場を通じて後輩と喋れるようになりました。和気あいあいと学年関係なく喋れるのが慶應のいいところだと思ったので、4年生になってからはごはんに連れて行ったり、後輩に絡みに行ってコミュニケーションを取るようにしていました。今年は絶対に苦しい時期になるのは覚悟していて、そういうときこそ結束力が大事になると思ったので、それもあって後輩との距離を近くして、3〜4年生だけが頑張るんじゃなくて1〜2年生といっしょに頑張りたいと思って、後輩に尽くしました。
――早慶戦に向けた意気込み
自分たちは結構運がいい代だと思っていて、1部で試合をできている運と、早慶戦が最終節だという運と、勝ったら初勝利だという運。自分たちの年なんだなと感じています。いろいろ重なって運命的なので、その運命をちゃんと掴み取れるように頑張りたいと思います。点も取りたいし、勝ちたいです!
――次は安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)選手の記事が投稿されるので、安達選手の紹介と早慶戦で期待すること
結構現実を見ているというか、スポーツにおいて「努力すれば」みたいなのって言われがちだけど、彼女はそういうのはあまりなくて、自分の実力も理解しているし、そのための努力もちゃんとしているし、目的から逆算して努力している人だと思っています。プレーは1年生の頃から梨咲子のプレーが好きで、受け方もいいところに立っていて、ボールを持ってドリブルするところで面白い発想を持っているので、そこに注目してほしいです。
(取材:柄澤晃希)


