【野球】散った陸の王者 秋に向けリベンジを誓う/第67回全日本大学野球選手権大会 準決勝 VS東福大

6月16日(土)全日本大学野球選手権大会 準決勝 VS東北福祉大

まさかの3発を浴びた

2戦連続のコールド勝ちで7年ぶりのベスト4まで上り詰めた慶大。その勢いで優勝に向けコマを進めたい状況で相対するは前の試合で延長の末、サヨナラ勝ちを収め、波に乗っている東北の雄・東北福祉大。東京と仙台、両者がそれぞれの六大学野球リーグを代表し、一戦を交えた。試合は髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)が6回までに3本のホームランを浴び、7失点。一方打線も、層の厚い相手投手陣の前に相手のエラーが絡んだ3得点のみ。悲願の日本一はお預けとなった。

 

東福大

慶大

 

東福大バッテリー:山野、藤川、三浦、津森―岩崎、笹谷

慶大バッテリー:髙橋亮、田中裕、石井―郡司

 

東福大本塁打:大西1号ソロ(3回)、清水聖1号ソロ(4回)、吉田2号3ラン(6回)

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[7]

河合大樹(総4・関西学院)

[8]

渡部遼人(環1・桐光学園)

[9]

柳町達(商3・慶應)

[2]

郡司裕也(環3・仙台育英)

[D]

橋本典之(環1・出雲)

 

若林将平(環1・履正社)

 

HD

植田清太(総4・慶應)

 

杉本京平(環3・中央中等教育)

[5]

内田蓮(総4・三重)

[4]3

小原和樹(環3・盛岡三)

[3]

嶋田翔(環2・樹徳)

 

H4

田中凌馬(商・長崎東)

[6]

瀬戸西純(政2・慶應)

 

髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)

 

 

田中裕貴(環4・芝)

 

 

石井雄也(商3・慶應志木)

 

大の先発投手はチームをリーグ優勝へと導き、本大会2回戦でも好投を見せたエース髙橋亮。試合開始早々、先頭の吉田を四球で出塁を許し、犠打と内野ゴロで三塁まで進められるも、4番深江を空振り三振に抑え込み、初回のピンチを切り抜ける。対する慶大も東北福祉大先発・山野(2年・高川学園)の前に先頭の河合大樹(総4・関西学院)が四球で出塁、郡司裕也(環3・仙台育英)のレフト前安打で2死一、二塁のチャンスを作ると、迎えるはこの試合5番に抜擢された1年の橋本典之(環1・出雲)。初回から指揮官の期待に応えたかったが、2ボール2ストライクから右飛に打ち取られ、攻撃を終える。

 

相手エラーで一気に生還した渡部

最初に試合が動いたのは3回裏。1死から本大会2試合5安打と好調の8番指名打者の大西に外角低めの直球を見事にさばかれ、打球は風に乗り、先制となるホームランを許してしまう。すぐにでも追いつきたい4回表。慶大は先頭の瀬戸西純(政2・慶應)、河合が連続四球で出塁、渡部遼人(環1・桐光学園)がバントをピッチャー前に転がすと、三塁に投げるが、送球が大きく逸れ、カバーに入っていた左翼手も取れず、誰もいないレフト後方までボールは転がる。その間に走者2人に加えて、打者の渡部も生還。一気に3点を取り、逆転に成功する。

 

援護をもらった髙橋亮だが、4回表に5番の清水聖に甘く入った直球を完璧に捉えられ、左中間にソロホームランを許し、1点差に追い詰められる。リードを広げたい慶大はその裏、内田の右安、瀬戸西のセーフティーバントで2死一、三塁のチャンスを作るも、河合が一ゴロに倒れ、無得点に終わる。5回裏には渡部の内野安打、柳町達(商3・慶應)のセーフティーバント、今春4番に座り続けた郡司が犠打を決め、1死二、三塁のチャンスをつくる。迎えるは橋本典の代打・若林将平(環1・履正社)。しかしここで相手も投手交代。マウンドにはエース津森が上がる。大久保監督は「4年生に賭けた」と代打の代打、植田清太(総4・慶應)を送り込む。しかし、捕邪飛に倒れ、続く内田蓮(総4・三重)も左飛。勢いで作った流れを生かしきれなかった。

 

今日は安打に3四死球の河合

ここまで苦しみながらも2点に抑えていた髙橋亮であったが、6回表に崩れてしまう。難なく2死を奪うも、内野安打、四球、死球と突然荒れ始め、2死満塁のピンチを背負い、迎えるは清水敬。2ボール2ストライクからセンターの前に打ち返され、走者2人が生還。逆転を許す。ここで踏ん張りたかったが、続く吉田に対しての4球目。内角の直球をレフトに運ばれて、二試合連続となる3ランホームランを放たれ、リードを4点に広げられてしまう。その裏、小原和樹(環3・盛岡三)の中安、瀬戸西の四球、河合の左安で1死満塁の場面を作るも、渡部が中飛、柳町も139㌔の球にバットは空を切り、5回に続き、チャンスを生かせず、無得点に終わる。

 

その後、エース津森の前に慶大打線は沈黙。得点の兆しが見えなかった。迎えた最終回、クリーンナップからの好打順。逆転サヨナラで決勝に進みたかったが、柳町が空三振、郡司は右邪飛とすぐに2死を取られてしまう。最後は代打・杉本京平(環3・中央中等教育)が二飛に倒れ、試合終了。慶大の「日本一」の目標はあえなく散った。

「春を超える」秋に向け、ここがスタートラインだ

今春の慶大は開幕前には戦力を不安視されていたが、自分たちなりの勝ち方、すなわち「総合力」で勝つという野球を体現し、粘りに粘りを重ね、2季連続でリーグ優勝を収めるなど、十分に戦い抜いてきた。しかし、新チームになり、掲げていた目標の1つであった「日本一」はお預けとなった。しかし、春がダメなら秋がある。今春の彼らの躍進を称えるとともに、夏にまた一段と成長を遂げ、明治神宮大会での優勝の胴上げを願い、進撃を続けた今春の慶大劇場の幕を閉めよう。

                       (記事:小林歩 写真:尾崎崚登)

 

◆打撃成績

 

 

[7]

河合

四球

 

四球

一ゴロ

 

左安

 

死球

 

[8]

渡部

二ゴロ

 

一犠野

 

二安

中飛

 

二ゴロ

 

[9]

柳町

右飛

 

死球

 

投安

空三振

 

 

空三振

[2]

郡司

左安

 

一併

 

三犠

 

逃三振

 

右邪飛

[D]

橋本典

右飛

 

遊ゴロ

 

 

 

 

 

 

HD

若林

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HD

植田清

 

 

 

 

捕邪飛

 

空三振

 

 

HD

杉本

 

 

 

 

 

 

 

 

二飛

[5]

内田

 

空三振

 

右安

左飛

 

四球

 

 

[4]3

小原

 

四球

 

捕犠

 

中安

中飛

 

 

[3]

嶋田

 

遊併

 

捕邪飛

 

空三振

 

 

 

H4

田中凌

 

 

 

 

 

 

 

二飛

 

[6]

瀬戸西

 

 

四球

投安

 

四球

 

左飛

 

 

◆投手成績

 

打者

球数

安打

三振

四死球

失点

自責点

●髙橋亮

5 2/3

28

107

田中裕

1/3

石井

13

48

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日の試合を振り返って

悔しいです。相手のミスで本当はああいう点数の入り方したら、流れを渡さずに、一挙に突き放すという形を取らなければいけない展開でしが、ホームランでやられてしまったので、しょうがないです。選手は良く頑張りました。

 

――髙橋亮が打ちこまれてしましました

ちょっと打たれましたね。けれども他に変える投手もいませんでしたし、しょうがないかなと思います。

 

――打線に関しては

5回と、6回の攻撃ですよね。代打のところ、相手投手も変わり若林から4年にもかけたところもあったのですが、上手くいきませんでしたね。

 

――試合前から相手の投手陣を警戒していましたと思います

先発を上手く攻略しかかったところをエースの津森君に粘られてしまいましたよね。点差も含めて、3対2でリードしていれば、違うかな、4点目を先に取っていれば…たらればですね。これが野球です。

 

――今季の野球部の戦いを振り返って

苦しい試合をものにできたりだとか、それは選手が一生懸命頑張った結果と言いますか、ご褒美。相手は慶應なんかノーマークの中で、粘って、運良く優勝も出来ましたからね。2季連続優勝なんて何十年かかってでも出来ないことをやったチームなので、しかも代替わりなのでね、これで何か言いたい人がいたら、彼ら可哀想ですよね。

 

――どのような収穫がありましたか

ピッチャーがリーグ戦2点以内という中でそれを一つの目標値として達成出来たと思います。佐藤(宏樹=環2・大館鳳鳴)という本来エースになるべき投手がいない中で、出来たというのは良かったですね。本当に一生懸命、データも入念にチェックしてやるだけのことをやってやっと互角なのだよ、というのをみんなわかったと思いますし、少しでも緩んだら個の力では対等には勝負出来ないので、またまとまって戦うしかないと思います。

 

――秋に向けて意気込みを

この悔しさというか、完全優勝逃したのもそうですが、もう一つ、スタミナ切れをしないメンタルと体力を成長させて秋を迎えたいと思います。

 

河合大樹主将(総4・関西学院)

――試合を終えての感想は

勝てる試合だっただけに勝ちきれなくて本当に悔しいです。

 

――ベスト4という結果で得たものは

今日も勝てたとは思いますが、選手の能力で言えば向こうの方が上だと思います。リーグ優勝できたというのもあって、力量が劣る中でもチームでやることをやっていけば勝てると感じました。そこを秋はもっと周りも強くなりますし、もっと超えていかないといけないと思います。

 

――足りなかった部分は

やはり接点接点で取りきれなかったり、点を取られてしまったりというのが弱さだと思うので、そこを取りきるということです。チームでやるべきことをやり続けるということがこれからちゃんとしないといけないと思います。

 

――試合後に部員にはどんな話をしましたか

「チームみんなで日本一を取るためにサポートしてくれたのに、勝ちきれなくて申し訳ない」と伝えました。逆にここまで来られたのもみんなのおかげなので、「ありがとう」と伝えました。秋はもっとみんなで強くなろうと話しました。

 

――秋に向けて

2季連続優勝できたので、まず次の3連覇とやっていきたいです。でも厳しい道のりだと思うので、チーム全員で本当に強いチームを作りたいです。

 

田中裕貴(環4・芝)

――今日の試合を振り返って

投手が勝手に崩れて守るべきところを守りきれなかったせいで負けてしまったかなと思います。

 

――ご自身のピッチングは

自分が投げたいボールを一球も投げられなかったので悔しいです。

 

――大会全体を振り返って

1戦目、2戦目はミスが出つつも勝ち切れていたのは本当に良かったですが、今回の大事な試合で勝ちを落としてしまったことが、まだまだ秋に向けての課題を突きつけられたなと思いました。

 

――トーナメント形式でしたが、ブルペンでの準備などはリーグ戦と比べて変化はありましたか

ピッチャーの数が限られているので、一人一人がどれだけイニングを稼げるかという意識でみんな投げていました。

 

――ベスト4という結果について

本当に後2つが遠かったです。最後の2戦勝てなかったことが悔しいので、ベスト4の嬉しさとかは全然ないです。

 

――秋に向けて

ずっと早慶戦もそうですし、今日も大事な試合でピッチャーが守り切れずに試合が壊れてしまっていたので、そこを糧にして秋こそはピッチャー全体でレベルアップして、ピッチャーで勝てるチームにしていきたいです。

 

これで慶大野球部春季の戦いは幕を閉じました。選手・スタッフ・関係者のみなさんお疲れ様でした。また秋の戦いにもご声援をよろしくお願いします!

 

♦春季これまでの軌跡

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社会人相手に互角の勝負も、課題残る一戦に/社会人対抗戦 VS三菱日立パワーシステムズ

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王者の貫禄!零封&二桁得点で大勝 東大①

津留﨑が7回粘投、連勝で勝ち点1を獲得 東大②

 

先制されるも、法大エースから一挙5得点を奪い逆転勝利! 法大①

粘り強さで法大の追い上げ許さず!4連勝で勝ち点2! 法大②

 

最終回に意地を見せるもあと一歩届かず 立大①

初回からリードし逃げ切り 勝負の行方は3回戦へ 立大②

やられたらやり返す!相手エースとの再戦制し、勝ち点奪取! 立大③

 

負けられない天王山 郡司のサヨナラ打で優勝に王手! 明大①

菊地好投も投手戦を落とす 明大②

This is KEIOBASEBALL! 粘って、つないで、ルーキー渡部がサヨナラ打 明大③

 

完全優勝に王手!華の早慶戦で先勝 早大①

崩れた王者 惨敗を喫する 早大②

立ちはだかったW 熱闘の末完全優勝ならず 早大③

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見せつけた王者の貫禄、コールド勝ちで初戦突破!/第67回全日本大学野球選手権大会 2回戦 VS苫駒大

爆ぜよ若き血 2戦連続コールドでベスト4進出/第67回全日本大学野球選手権大会 準々決勝 VS東国大

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